もっとも「杓子定規」なジャベといえば | ■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記

もっとも「杓子定規」なジャベといえば

今ジャベだね、わたしにいわせれば。


「神の決めた道をゆくのだ 季節ごとにめぐるのだ 同じように」という厳格さ、「つまずけば痛みという代償を誰でも払うのがこの世の決まりだ」という容赦のなさ。ジャベールの杓子定規な考え方を象徴する二つの歌詞が一番しっくりはまるのは、やっぱり今さんだなあと、20日のスターズ聞きながら思った。自分の拠って立つところを信じて疑わない頑なさが、外見からも歌からも感じ取れるから。裏を返せば、拠って立つところを失って己が崩壊することを常に恐れるがゆえの頑固さなんだろうけど、1幕ではまだ、今ジャベの心はそこまで透けて見えることはない。


心の奥をあらわにするのは、「自殺」の橋の上で。「♪ 俺の世界消えうせた」のところかな、両方の手のひらを見つめて、「ああ、もう何もない」と愕然としてる演技が、まったく過剰ではなく、ジャベールの悲痛さがダイレクトに伝わってきた。「♪ 天使か悪魔か あいつは」で暗い空に伸ばす手も、あいかわらず好きだ。自分のすべてだった厳格な世界が消えてしまったと自覚した男が、最後に何を求めて手を伸ばしたのか。救いの心? バルジャンという人? 


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ここから先は、おまけ。

この日の今ジャベ、惚れたポイントは、実は別にありまして…。

スターズ歌い終わったあと、コート翻して立ち去る姿のかっこよさ。聴く者が余韻に浸ることを許さず、長居は無用とばかりに、自分の影をさっと闇に消してしまう。しびれた!