気になる動き、 ふたつ | ■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記

気になる動き、 ふたつ

○藤岡マリウスの 柵登り


プリュメ街55番の庭で、とうとうコゼットに会った藤岡マリウス。そーっと彼女に近付くと思ったら、「♪ ああ君の名前も知らない」で急に恥ずかしくなるらしい。あわてて引き返し、庭へ入るときに越えてきた門の柵に手足を掛け、一瞬のうちにしゅるりと登ります。柵に吸い付くみたいに、ぱっと乗り移る動きのしなやかなこと! でもその後すぐ続く「♪ 教えてどうか僕に」は、ちゃんと地面に下りて歌っています。歌と、小走りと、柵の登り降りを、ほぼ同時にやってのけるなんて、やっぱり若さゆえかしら。

好きな人に近寄っては逃げようとして、また戻ってくるという流れ自体は、どのマリウス役者さんにも共通なのですが、藤岡マリウスの場合はエネルギーがあり余っているのか、ステージからはみ出しそうな勢いです。思い込んだら一直線なのね。「マリウスの若く純真な感じがうまく表現されていていいかも」と、ほほえましく観ています。


○山口バルジャンの 「♪ 旅立つ時がきた」


マリウスに自分の過去を告白したバルジャンは、コゼットに知られぬ間に去ろうとします。ここで山口さんの場合、「♪ 旅立つ時が来た」と歌いながら、おもむろにマリウスの隣の椅子に座り込むのです。「旅立つ」という歌詞に合わせるなら、逆に椅子から立ち上がるほうが自然なのでは? でも山口バルジャンは、そうしません。もしかしたら「誰だ、私は?」とマリウスに問いかけるときに、視線を同じ高さで合わせるためでしょうか。そのほかの理由は、ちょっと思いつきません。日生劇場で観るうちに、分かるようになるかな。