「パリ・十年後」の謎、再び | ■RED AND BLACK■レ・ミゼラブル2015日記

「パリ・十年後」の謎、再び

うひ。プルベール役の萬谷さんが「パリ・十年後」で演じるヒモのお芝居 が、名古屋で復活してました。舞台の構造のせいか、奥のほうでテナルディエ一味に床に転がされて追い剥ぎに遭っているところが帝劇のときよりもよく見えて、得した気分。


悪党たちに痛めつけられたヒモは、肩を押さえながらほうほうの体でマドレーヌちゃんのもとに戻りますが、やがて反撃に出ます。ここまでは以前観たのと同じ。今回自分にとって収穫だったのは、バルジャンがやってきた混乱に乗じて、ヒモが阿部バベをいたぶっているところを、目撃できたことかな。


エポニーヌの「♪ 警察だわ、あいつはジャベール!」に反応したバルジャンが、自分を押さえつけているブリジョンとバベ(だよね? 違ってたらすみません)の腕を振り払うと、後ろに弾き飛ばされたバベは舞台中央に転がります。それを目ざとく見つけたヒモは「さっきの仕返しだ!」とばかりに駆け寄って、バベを思いっきり蹴飛ばす、蹴飛ばす! ただし、ジャベールが背後からずんずん近付いてくるので、バベがやられているのは、そんなに長い時間ではありません。


25日ソワレでは、このシーンの最後に、ヒモがバベの帽子をかぶって橋を渡っていくのが見えました。いつの間に帽子をせしめたんだろう。その瞬間を観たかったな。


翌日の千秋楽も、同じ場面に大注目して観ました。前日と同様、ジャベールに捕らえられたバベの頭には、登場時にかぶっていた帽子がありません。「じゃあ、ヒモがバベの帽子を持っているのかな」と思って見てみたら、彼も持っていない。あれ? 帽子はどこにいっちゃったの? 舞台上に目をこらしても見つからず。


やがてスターズのイントロが流れ始め、ヒモは手ぶらで橋を渡りだしました。そこで、ふと橋の下に目を落とすと… あ! 乞食の女がバべの帽子持って振り回してるじゃないの! なるほど、今日はこっちに帽子を取られてしまったというわけね。


いつも決まった段取りになっているわけではないところが、ヒモの芝居の面白みかも。今度はきっと、ヒモがバベの帽子を奪う場面を見るぞ! だけど萬谷さん出てても、このお芝居しないときもあるからな… 運任せだわ。