ゆうわファミリーカウンセリング新潟  臨床心理士・赤坂正人

ゆうわファミリーカウンセリング新潟  臨床心理士・赤坂正人

こころの心理相談で臨床心理士による公園カウンセリングや訪問カウンセリング、面会交流の相談・援助などを行なっています
お問い合わせ、ご相談、ご予約はメールyuwa0421family@gmail.comまでご連絡ください

 樋口有介さんの『少女の時間』(2019、創元推理文庫)を読みました。

 この本も旅先の旭川の本屋さんで買いました。

 久しぶりの有介ワールドです。

 そして、柚木草平シリーズの11冊目。

 あいかわらず、とても面白く、そして、少しもの哀しいです。

 樋口さんがめずらしく書いているあとがきに、重い内容だから、ユーもアを大切にしたい、とあるとおりですが、これは樋口さんのデビュー作から一貫している特徴だと思います。

 これこそが有介ワールドの真骨頂なのでしょう。

 今回もあらすじはあえて書きませんが、いろいろな人物が登場し、それぞれがとても魅力的です。

 そして、生きていることが少し哀しいです。

 美女も大勢登場しますが(?)、美女も美女なりに悩んでいます。

 また、面白くって、ところどころにユーモアが効いていますので、この本も電車の中で読むのは危険です。

 哀しくなったり、笑ったり、唸ったり、忙しい本です。

 旅先でも、いい本を読めて、幸せです。

 

 たぶん2016年ころのブログです。

       *

 中井久夫さんの『「つながり」の精神病理』(2011、ちくま学芸文庫)を再読しました。
 単行本の『個人とその家族』(1991、岩崎学術出版社)の時も含めるとたぶん5~6回目だと思いますが、もの忘れのせいか(?)、今回も全く新鮮な気持ち(!)で読めました。
 読んでいると、ところどころにアンダーラインや付箋の個所に出会うのですが、ほとんど内容を記憶しておらず、全く新しい本を読んでいるようで、なにか得をした気分のようでしたが、しかし、よく考えると、うれしいような、かなしいような、複雑な気分でした。
 そんな中で、今回、一番のインパクトがあったところ、それは精神病者の人格についての考察の文章でした。
 このところ、同じようなことを考えていたので(でも、ひょっとすると、以前、中井さんの本で読んだ内容が、今ごろ私の中で熟してきただけなのかもしれません)、とても参考になりました。
 例えば、多重人格の人は人格の分裂が過激、とか、境界例の人は人格の統合性が不十分、などと述べられ、一方、健康な人は人格が柔軟に分裂しているのではないか、と述べられています。
 そして、統合失調症の人は(昔は精神分裂病といわれましたが)、人格が分裂しているのではなく、適度な分裂ができずに、かえって解体の危機に直面をしているのではないか、という仮説を述べておられます。
 まさに卓見だと思います。
 中井さんが述べておられるように、精神的に健康な人とは、人格を状況に応じて柔軟に分裂できる人、人格の分裂に耐えられる人なのではないか、と思います。
 今後もさらに深く勉強を続けていきたいと思います。

 東川町にいます。

 今朝の気温17℃、涼しいです。

 昨日、今日と風がやや強く、上空の雲を吹き飛ばしてくれて、大雪山がきれいに見えます。

 恥ずかしがり屋さん(?)の旭岳も今朝はばっちり、その美しい姿を見せてくれています。

 幾筋かの雪渓や小さな噴煙もきれいです。旭岳はだいぶ昔に噴火をした活火山です。

 さらには、十勝岳。こちらは大きな噴煙がもくもくと。こっちは今も元気な活火山です。

 山を見ながら散歩をしていると、なんだかエネルギーをもらえる感じがして、元気になります。

 新潟ではほとんど散歩をしないじーじですが、東川町に来るといい景色とおいしい空気のせいか、毎朝の散歩が楽しみです。

 このところだいぶ大きめになってきたお腹も、少しはへっこむかもしれません。

 もっとも、おいしい空気の中で呑むビールがまた格別ですので、お腹がへっこむのはだいぶ先のことかもしれません。

 少し複雑な、しかし、楽しみな気持ちで、毎朝の散歩をしでいるじーじです。

 2018年2月のブログです。
      *

 宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(2018、文春文庫)を読みました。
 2016年の本屋大賞受賞作で、読むのを楽しみにしていましたが、ようやく文庫本で出ましたので、さっそく読みました。
 期待にたがわず、とてもいい小説です。
 17歳の秋、たまたますばらしい調律師と出会い、その感動のあまり、自分もそんな存在になりたいと調律師になった青年のこころと魂の成長をていねいに描いた小説です。
 あこがれの調律師だけでなく、職場の先輩調律師や女性事務員さんも、それぞれがひとくせもふたくせもありながら、主人公の純粋さと真剣に向き合ってくれます。
 主人公は、ひとことでいうと、ねくらで奥手な青年。
 北海道の山奥で育った田舎者の青年で、不安や焦りや少しの希望で胸がはち切れそうな状態。
 そんなナイーブな青年が少しずつ周囲に助けられて成長していきます。
 わたしが一番好きだった場面は、主人公のおばあちゃんが亡くなったお葬式の場面。
 大学生となって家を離れた弟が悲しみと不安に耐え切れずに森で泣き出すと、主人公も初めて大声でこころから悲しみの感情を爆発させます。
 哀しい時にこころから泣けてよかったな、とつくづく思います。
 そんなふうな、若者や人びとの人生や生き様に大切なことがらがぽつりぽつりとちりばめられていて、まるでこころの宝石箱のような小説です。
 けっして明るいだけの小説ではないですが、読む価値はあります。
 読んで考える価値もありそうです。
 いい小説に出会えたことに感謝します。  
      *   
 追記

 2月20日の「ケサランパサラン読書記-私の本棚-」さんのブログでも本書が取り上げられていて、いい文章です。ぜひご一読を。

      *   
 2018年9月の追記
 この小説は今年夏に映画が公開されましたが、撮影地が東川町など大雪山周辺で、地元ではおおいに盛り上がっていました。¥
 映像がとても美しいようで、ぜひ一度、観てみたいと思っています。
 

 2017年のブログです。
      *   

 日下紀子さんの『不在の臨床-心理療法における孤独とかなしみ』(2017、創元社)を読みました。
 日下さんの本は初めて読ませていただきましたが、少し難しかったものの、テーマが興味深く、一所懸命に読ませてもらいました。
 メインテーマは、心理療法における不在について、ということだと思いますが、それに伴うクライエントの孤独と悲しみ、そして、「待てる」ようになることの意味、などではないかと思います。
 日下さんはこれらのテーマを、ケースをもとにていねいに説明されています。
 日下さんは、まず、現代社会は、「待つ」ことができにくい社会になっていることを指摘し、フロイトの、いないいないばあー、やウィニコットの、ひとりでいる能力、などを挙げて、「待てる」ことの大切さを説明します。
 さらに、心理療法における、喪の作業、に言及し、悲哀を味わうことの大切さを指摘されます。
 そして、葛藤を葛藤として抱え、持ちこたえることで、心理的に成熟することを説明されます。
 その際、セラピストがふらふらになりながらも、なんとか生き延びること、これが重要だ、と指摘されています。
 悲しみを味わうこと、葛藤を抱えて生きること、なんとか生き延びること、などは、私もこれまで、いろんな場面で大切なことだと感じてきましたし、ブログの中でも少しは触れてきていると思いましたが、日下さんの本を読んで、これらが一本の線で結ばれてきたような印象を持ちました。
 まだまだ読みが甘いと思いますし、自分のケースとの照合も不十分だと思いますが、これからも実践を深めて、さらにこれらのテーマを考えていきたいと思いました。 

      *   
 2019年2月の追記
 今ごろになって気がつきましたが、よく考えると、「待つこと」も「わからないことに耐えること」につながりそうです。

 臨床の世界は奥が深いです。


 

  新潟市と北海道東川町(夏期)で臨床心理士による心理カウンセリングを個人開業しています。
   こころの心理相談で公園カウンセリングや訪問カウンセリング,メールカウンセリングなどを行なっています。また,子どもさんの面会交流の相談・援助も行なっています。
  公園カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリング(心理相談・心理療法)や親子・ご夫婦の家族カウンセリング(家族療法・親子カウンセリング・夫婦カウンセリング),子どもさんの子どもカウンセリング(遊戯療法)などで,お近くの公園や広場,森や海など,自然のすがすがしい空気の中で,じっくりとご自分のことやご家族のことなどを考えてみます。料金は50分2,500円です。
  訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや親子・ご夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの子どもカウンセリングなどで,ご自宅やお近くの屋内施設,ショッピングセンター,道の駅などで行ないます。料金は公園カウンセリングと同じです。
  メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,1週間に1往信で行ない,1往信600円です。
   子どもさんの面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,50分2,500円,同じく援助はお近くの公園や遊戯施設,ショッピングセンター,あるいはご自宅などで行ない,60分5,000円~120分1万円です。
   カウンセリング,相談・援助とも土日・祝日をのぞく平日の午前9時~午後5時に行なっています。
  わたしのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください(そういう意味ではあまり深くないカウンセリングになるのかもしれませんが,しかし,逆に,現実感覚を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています)。
  料金は面接室がまだ準備できていないので低めに設定させていただいています。月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに料金の割引を相談させていただきますので,ご遠慮なくお問合せください。ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。
  お問い合わせ,ご相談,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

  なお、7月19日(金)~8月29日(木)の間は東川町や旭川市でカウンセリングを行ないます。ご希望のかたはお気軽にお声がけください。 

 

 神田橋條治さんの『医学部講義』(2013、創元社)を再読しました。

 これも久しぶり、しかしながら、大切なことがいっぱいです(再読が遅くなって、神田橋さん、ごめんなさい)。

 例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、マニュアル診察の弊害。

 マニュアルをチェックするだけの診察が横行していて、誤診が多発している状況に警告を発しています。

 そうではなくて、患者さんの全体を診て、診察をする大切さを強調されます。同感です。

 二つめは、これとも関連しますが、サリヴァンもいう「関与しながらの観察」の重要性。

 パソコンの画面を眺めるより、患者さんをよく見て、関わることの大切さを述べられます。

 これに関連して、「患者様」という表現に違和感を感じる、とも述べられます。これにも同感です。

 言葉だけを丁寧にしても、患者さんを丁寧にすることにはなりません。しかも、丁寧にしすぎで、人間味がなくなっています。

 ここで、中井久夫さんの『看護のための精神医学』(2001、医学書院)を薦められていて、いいタイミングです。

 そして、三つめは、神田橋さんも自身の失敗を隠さないこと。

 他の大家と同様ですが、すばらしい臨床家の資質の一つのようです。

 大切なことをいろいろと教えられ、また深く臨床を考えることができました。感謝します。

 新潟市と北海道東川町(夏期)で臨床心理士による心理カウンセリングを個人開業しています。
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 カウンセリング,相談・援助とも土日・祝日をのぞく平日の午前9時~午後5時に行なっています。
 わたしのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください(そういう意味ではあまり深くないカウンセリングになるのかもしれませんが,しかし,逆に,現実感覚を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています)。
 料金は面接室がまだ準備できていないので低めに設定させていただいています。月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに料金の割引を相談させていただきますので,ご遠慮なくお問合せください。ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。
 お問い合わせ,ご相談,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。
 なお、7月19日(金)~8月29日(木)の間は東川町や旭川市でカウンセリングを行ないます。ご希望のかたはお気軽にお声がけください。
 

 2016年のブログです。2017年7月に一部修正をして再録しました。

       *   

 素朴で,穏やかで,温かい小説をたくさん書いておられる宮下奈都さん。
 そんな自然体の宮下さんが北海道での自然たっぷりの生活を記したエッセイ集『神さまたちの遊ぶ庭』。
 とても面白く,興味深くて,一気に読んでしまいました。
 北海道を愛する夫の希望で,福井からトムラウシに移り住んだ宮下さんご夫婦と3人の子どもたちの笑い話のような,しかし,大自然での素敵な生活を綴ります。
 エゾシカやキタキツネ,さらには,ヒグマも出てくるという知床並みの秘境。
 トムラウシは日本百名山トムラウシ山のふもとにあり,大雪山国立公園の真ん中にあるので,当然といえば当然ですが,びっくりすると同時に,うらやましくなります。
 ちなみに,「神さまたちの遊ぶ庭」とは,アイヌ語の「カムイミンタラ」の訳で,大雪山のことを指します。
 大自然とその中にある小さな学校と温かい地域の人々の中で,子ども達はどんどんたくましくなり,おとなたちも変化してきます。
 広い大地と自然豊かな環境は,いつのまにか人々を癒し,成長のエネルギーを与えてくれるのかもしれません。
 近くのスーパーまではなんと車で30分!
 しかし,通勤に2時間以上かかる都会に比べて,どっちが不便だ?!,と著者は静かに訴えます。
 便利さに馴れて,大切なものを見失いがちな私たちに,いろいろなことを考えさせてくれる一冊だと思います。

 たぶん2016年のブログです。
       *   

 土居健郎さんの『甘え・病い・信仰』を再読しました。 
 たぶん10年ぶりくらいだと思います。
 ずいぶんとご無沙汰してしまいました(土居さん、ごめんなさい)。
 今回読んでみてよかったのは、「甘え」と「うらみ」と「ねたみ」の関係がとてもよく理解できたことです(今ごろになってわかったのか、とあきれられそうですが…)。
 「うらみ」は私がずっと気になっているテーマの一つなのですが、土居さんによれば、「甘え」が十分に満たされないと「うらみ」になるということで、「うらみ」のほかに、「すねる」「ひがむ」「ひねくれる」などという感情も「うらみ」に近いものだ、といいます。
 そして、これは、「甘え」が満たされない状態ではあるものの、いずれも「甘える」と「甘えられない」ということの間のどこかには位置するもののようです。
 一方、「ねたみ」ということは、「甘え」が全然ない状態で、憎しみだけでいっぱいの状態だと説明されます。
 こうなると「甘え」が通じにくく、その感情の解消にはかなりの心的作業を要することになりそうです。
 私などは「うらみ」だけでもかなりてこずっていますが、さらに「ねたみ」という強敵がいることはまだまだ十分にはわかっていませんでした。
 いずれ、「ねたみ」の人との出会いもあるのだろうと思います(じつはもう会っているのかもしれませんが、気づけないでいるだけなのかもしれません)。
 少しでもいい援助ができるよう、今後も、さらに勉強を続けていきたいと思います。