新庄知慧のブログ

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私のいろんな作文です。原則として3~4日に一度投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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「やあ」

 

私は秋山に手をあげて挨拶した。秋山は私の顔を見て、最初は驚き、それから急に怪訝そうな顔になり、私を無視した。

 

ベッドに駆け寄り、マリを診察しはじめた。マリの脈をとり、まぶたを指で開かせて、彼女の瞳孔の様子を確認する。

 

「・・・・」

 

秋山医師は沈痛な面持ちで、声にならない渋い声を出した。

 

そして、マリオの顔を見上げて、ゆっくりと首を横に振った。

 

マリオは眉ひとつ動かさず、秋山の無言の発言内容を了解した。

 

「・・・そうか」

 

しばらく間をおいてマリオはそういい、軽くうなずいた。

 

「やはり死んだのか」

 

私は静かに、いった。静かだがその声は、われながら激しい怒気に満ちていた。

 

また少し間があった。マリオが声を発した。

 

「探偵さん。あなたの捜していた、ヒロエのひき逃げ犯人の一人は、ヤク中の発作で死んだ。

 

病院の介抱の甲斐もなく。

 

残念だね。

 

しかしこの女はひき逃げの主犯じゃない。

 

主犯は手塚だ。そっちをつかまえなくてはね」

 

「・・・そうかね?」

 

マリの寝顔のような死に顔を見ながら、私は興味なさそうにつぶやいた。

 

そのそっけない反応を見て、マリオは冷たい表情で私を見た。

 

私はマリの顔を、まんじりともせずに見つめていた。

 

マリがしきりに私に話しかけてくる声を聞いていた。

 

― ジョーを捜して。はやく捜さないと、あたしたちは、みんな、あいつらに、やられちゃうよ ―

 

そうだ。ジョーなんだ。

 

ブラック・シーガル・ジョーを捜しださなくては、何も見えはしない。

 

ヒロエ殺しの犯人も、それにつながる真の敵も。

 

それは、いまやミミクソの敵というだけではなく、私自身の敵になりつつあった。

 

「わかったよ!」

 

私はマリに向かって、いった。

 

私のその奇怪な様子を、マリオがひときわ冷たい目で見ていた。

 

秋山医師は、自分の恐ろしい役目を終え、おびえきって、そそくさとその場を去った。

 

私はしかし、あきもせずに、マリを見つめていた。

 

・・・そうだ、ブラック・シーガル・ジョー。すべてはそこからだったのだ。  

 

・・・・つづく