新庄知慧のブログ

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私のいろんな作文です。原則として3~4日に一度投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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「ちくしょう、へんな注射しやがって」

 

「注射?」

 

「変な医者が来て、変な注射しやがった」

 

マリは怒っているようだったが、その声には元気がなかった。

 

「秋山氏ですか、その医者って」

 

「名前なんか、知らねえ・・・」

 

「そう・・・」

 

「あんた、探偵だろ」

 

マリは急に表情を変えた。心細いような顔だった。目を細めて、いった。

 

「テツオから聞いたよ。あんた、あたしがラリって、ビルから飛び降りようとしたのを、助けて、くれたんだってね」

 

「まあ、そういうことでしょうか」

 

「なに、かっこつけて。へへ、でも、どうも、ありがとう」

 

マリは舌を出して笑った。しかし、その笑いに力はなかった。

 

「あたしねえ・・・いっとかなくちゃ」

 

「え?」

 

「いっとかなくちゃ」

 

マリは妙に透き通った笑顔で、いった。

 

「テツオを守ってやってね。あたしは、つかまっちゃったけど、あいつ、なんとか、うまく逃げたよ。

 

あいつ、つかまったら、絶対、殺されるから、守ってやってね。

 

あいつ、正義のために、戦ってんだよ、ああ見えても」

 

「・・・・」

 

「あたしね、市長候補とは、何もなかったんだよ。自殺のときに書いた手紙もウソだ。

 

ああいうウソをついて、あたしが死なないと、テツオが殺されるっていうから、あたしが、ああいうウソをついたんだ・・・

 

市長候補は、そんな人じゃない。悪いのは藤原なんだ。エロじじいなんだ」

 

「藤原っていうのは、対立候補の・・・」

 

そうたずねても、マリは答えず、自分の世界に浸りきったように、しゃべり続けた。

 

「あたしたちは、つかまった。警察につかまった。なんでつかまるの?

 

あたしが、ヤクをやってたからだってさ。でも、探偵」

 

マリは手をあげて、空をつかむように、その手を泳がせた。

 

「探偵、どこにいるの。助けてよ。あんた、正義の味方じゃないの?」

 

「探偵は、ここにいますよ」

 

「どこよ?」

 

マリは、様子がおかしかった。

 

「いっとかなくっちゃ。ねえ、よく聞いといてよ」

 

「イエス」

 

「馬鹿。はやく、ジョーを捜してよ」

 

「ブラック・シーガル・ジョー?」

 

 

・・・・つづく