新庄知慧のブログ

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私のいろんな作文です。原則として3~4日に一度投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

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ミミクソの断定的なセリフが耳によみがえった。

 

さきほどの警官の答えとはうらはらに、警察に犯人をつかまえることはできないという。

 

警察について、なぜあんなに断定的なことがいえるのか。わからない。何かがあるのだ。

 

ミミクソという少年の背後も、私にははまだ良くわかっていないのだ。

 

警察へと向かう、埋立地沿いに走る産業道路で、信号停車した。

 

平日の昼間でも、この道を走る車は比較的少ない。今は、私の車のほかには、中型トラックが一台走っているだけだった。

 

私のクルマの背後から、騒音が近づいてきた。

 

ルームミラーを見ると、オートバイが数台、追いかけてくる。

 

ぐんぐん近づいてくる。

 

ものすごい騒音をたてながら走ってくる。エンジン音が増幅される仕掛けのしてあるバイクらしい。

 

「最近のやつらの走りを見ろ。最低だぜ。あんなのは。あんなのは、バイクの乗り方じゃないぜ」

 

私の耳に、ハーフ・ブラック佐瀬の言葉がよみがえった。

 

「いつも群れていやがる。あの暴走族ども。あんなやつらは、バイク乗りじゃねえ。

 

あいつらにジョーの走りをおがませてやりたいぜ。

 

あんなやつら、このヨコハマを、バイクライダー面で走る資格なんか、ねえんだ!」

 

手塚正夫の葬式のとき、ジョーの話のついでに最近のバイクライダーたちが話題になったとき、佐瀬は本当にいまいましそうな顔で、暴走族たちのことを、こきおろしたのだった。

 

佐瀬の嫌悪した、その最近のバイクライダーたちが、ぐんぐん私のクルマの後ろから接近してきていた。

 

「礼儀も品も何もあったもんじゃねえ」

 

佐瀬の言葉は、苦々しく私の脳裏で響いた。私は佐瀬にたずねたはずだ。

 

「ジョーには、礼儀とかそういうものが、あったんですね」

 

「当たり前さ。そうだな、何よりも、大切なのは勇気だ。勇気があった。

 

たった一人でも、何様にでも立ち向かう。勇気さ。

 

へっ。最近のやつらに、勇気、なんていったって、小ばかにして笑うだけだろう。

 

ひょっとすると、勇気なんて言葉も知らねえかもな」

 

佐瀬とのやりとりを思い出しながら、私はルームミラーを見ていた。

 

私のクルマのすぐ後ろまで来ているのに、スピードは緩まない。

 

追突されるのではないかと思ったせつな、不意にルームミラーの視界から、バイクが消えた。

 

彼らは二手に分かれ、私のクルマを両サイドから挟み込んだ。

 

私の運転席のすぐ隣に接近したバイクライダーが、革手袋をはめた拳骨で、窓ガラスを激しく叩いた。私はライダーを見上げた。

 

ライダーは、おそろしい剣幕で私をにらんだ。

 

私は危険の度合いを測定しながら、ゆっくりと、慎重に、窓を開けた。

 

 

・・・・つづく