武富士・元取締役責任追及訴訟・第1回期日&二次提訴
今日は,武富士の元取締役に対する責任追及訴訟の第1回期日と第二次提訴がありました。
私も,弁護団の末席を怪我しておりますので,期日に出席してきました。
ご存じの通り,武富士は現在,会社更生を申し立てており,過払金の3.3%を支払うだけで許してもらって会社を存続させてほしい,と言っています。
これを否決すべきことについては,近日中に書こうと思いますが,今日は,武富士の取締役責任追及訴訟について書こうと思います。
武富士は,サラ金大手として,長い間暴利を貪ってきました。
過払金訴訟が最近になって話題になったこともあり,過払金というのは,最高裁が最近になって認めたものと思っている人がいますが,そうではありません。
昔から,サラ金はおしなべて,利息制限法を無視した貸付を行っており,弁護士から指摘されたら渋々利息制限法に基づく計算に応じるなどしてきていました。その際も,わざと3年分の取引履歴しか開示しないで計算を困難にするようにしてみたりと,違法行為を続けていたのです。
私が弁護士になったのは平成12年のことですが,その頃から当たり前に,過払い請求や利息制限法に基づく充当計算は認められてきました。
何か,分かる人にしか分からない説明になってしまいましたね・・・まとめて言うと,
武富士を初めとするサラ金は,何十年も,違法なのを承知で高利の貸付を続けてきていた
ということなのです。
そして,その違法収益を返しきれなくなったので,武富士は会社更生を申し立てました。過払金は,兆単位でした。長年にわたり,何千億では済まない違法収益を重ねてきたわけです。
ところで・・・税務訴訟での勝訴でご存じかと思いますが,創業者一族や取締役は,うまく行っていた頃の収益を手元に取り込んだまま,豊かな生活をしています。税金の還付が2000億。当然のことながら,資産はそんなものではないでしょう。
違法な収益によって発生した1兆円の負債を,3.3%の返済ですませつつ,創業者一族はその前にお金を会社から抜いてしまう。このような状態を許すわけにはいかないとの思いから,全国の弁護士が,実費が出るかも怪しいような費用で(広島の場合受任時には1人5000円。勝訴の場合には報酬をもらう)訴訟を起こしています。
法理論的には,株式会社の負債を取締役が負うことはありませんので,訴訟としては,厳しい部分がないわけではありません。しかし,違法な利息を取り続けて得た利益を保持したまま逃げ切ることは,どう考えても許してはいけないことのはずです。
これから,徹底的に責任追及をしていきたいと考えています。
DV防止法の意義と問題点
DV防止法というのをご存じでしょうか?DV被害者の身体の安全を守るために,10年ほど前に制定された法律で,その後改正を経て現在の形になっています。
DV(家庭内暴力)の危険がある場合に,被害者の申立によって裁判所が保護命令を出します。
保護命令の種類は3種類。
退去命令
自宅から退去することを命ずる。2ヶ月
接近禁止命令
被害者に近づくことを禁ずる。半年
接触禁止命令
電話やFAX,メールなどでの接触を禁ずる。半年
の3種類です。
それまで,DVを繰り返し受けているけど,逃げたときの報復が怖くて逃げるに逃げられない,という事態を回避するためには,画期的な法律であり,必要性は高いと思います。
そして,万が一の事態を想定するため,裁判所は,ほとんどノーチェックに近い状態で保護命令を出す傾向にあります。一応,手続保障として,加害者の申し開きを聞く「審尋」は行われるのですが・・・。申し開きをまともに聞く気はないようです。
何年か前に弁護士会で研修会を開いたとき,講師だった当時の担当裁判官は,「審尋で反論を聞く気はありません。送達(命令を受け取らせる)のために審尋をしています」と公言したくらいです。
暴力による被害を絶対に排除する必要があるというのはその通りで,この運用自体が間違っているとは思いません。
ただ,この運用を前提とすると,
退去命令が2ヶ月はあまりに長すぎて加害者に酷
だと思います。
それだけのことをやったのだから,という考え方もあり得なくはありませんが・・・。
今の運用だと,鬱状態の奥さんがさんざんなじり,暴力もふるい,という状態が何年も続き,遂に耐えきれなくなって平手でほほを1発だけ叩いた,という事例でも,保護命令は発令されます。
また,夫の実家に同居していたり,二世帯住宅だった場合にも,退去命令は発令されます。2ヶ月もの間身を寄せる場所も資金もない人は,どうすればいいのでしょう?
元々退去命令は,着の身着のままで飛び出した被害者が,自宅に荷物を取りに帰るための期間として想定されたもので,自宅に住む期間ではありません。このため,設定された期間は2週間でした。これでは不十分だということで,2ヶ月になったのですが・・・。そんなに自宅から退去させられるには,運用があまりにノーチェック過ぎると思うのです。2ヶ月を裁判所の裁量で短くすることもできません。
制度として必要なのは間違いありませんし,接近禁止や接触禁止は,しっかり認めればいいと思いますが,退去命令だけは,何らかの形で再考が必要だと思います。
