軽ワゴン de 京丹後ツアー! 〜 episode 5.京丹後の宿(風呂と設え)

2023.5.28-29


曇り空でも十分に明るいうちに宿に到着。

京丹後市丹後町間人(たいざ)。

丹後半島の先端(経ヶ岬)から 西へ16kmの距離。


古い施設、露天風呂あり。

料理を売りにしているので期待出来そう。

その程度の事前認識だった・・・評価が上がり始めるまでは。


外観は普通、むしろ施設の古さを印象づける。


ロビーから外を眺める。

古さを逆手に取った、レトロモダンなインテリア。

沈みがちなコーディネートを

窓の外に緑化が全体を生き生きと見せている。


たったこれだけの緑が窓の外にあるだけで、

窓際のテーブルが半屋外空間の様な特等席になる。

手の込んだ事は一切しておらず、コストも掛けておらず、

単に『見せ方』が上手い。


大浴場、朝1番の貸切状態で撮影。

吹抜けの大空間の古い木造骨格を剥き出しにして、

対照的にみずみずしい植栽のコントラストを演出している。


窓の外も目に入る部分は緑化されており、

森林の中でひなびた温泉に浸かっている演出がされている。


見上げると、吹抜けで天井が高い。

天井を貼っていないので小屋組が剥き出し。


木材が適当に吸湿している為か、

ポタリ不快な水滴は落ちて来ない。


脱衣室。

細い格子を基調としたレトロモダンな仕上げ。

輝度が高いのでLEDかも知れないが、

電球色の照明が全体の印象を決定づけている。

床には節が目立つフローリングを採用しているのも演出か。


ここにも緑。

透明ガラスとすりガラスの組合せ方がレトロっぽい。

板貼りに隙間や破れ部分も演出か。


写真上部、欄間の縦桟が真っ直ぐでない。

こんな所にコストを掛けている。


壁にランダムに配置された棚は脱衣カゴ置き場。

ここまで来ると、遊んでいるとしか見えない笑。


先程の縦桟が真っ直ぐで欄間を通り抜けた光が、

壁に柔らかい影を落とす。

おそらく計算し尽くされている。


プロデューサーとかデザイナーとかコンサルとか、

全体を監修する『見せ方のプロ』がいると確信して、

支配人らしき人に尋ねて見ました。


案の定、名前は教えて貰えなかったけれど、

とある彫刻家のプロデュースらしい。


その他、うっかり見落としてしまいそうな部位に

凝った竹細工が施されています。


次は露天風呂です。

こちらも貸切状態で撮影。

ガラスの手前が内湯、向こうが露天風呂。


全面ガラスで光は取り入れながら、

中央の円以外はすりガラスで、

『閉じながら開く』『開きながら閉じる』

内と外を絶妙なバランスで繋いでいます。

このあたりに彫刻家のセンスを感じます。


ガラスの向こうは露天風呂、2槽。

ラチスはデザイン的に安っぽい。

構造上やむを得ず、妥協の産物か。

見下ろす景色は上等。


ここからは彫刻家の演出ではないと思われる部分。

客室、古びた和室。

但し、清潔感はある。

畳の端が擦り切れていたり焦げていたり、

壁に染みがあったり、そんな減点ポイントは見当たらない。


これは おそらく個人的趣向だが、

窓からの風景が気に入ってしまった。

理由は思いつかないが、ずっと眺めていられる。


昭和の文豪気分でしばらく滞在しながら、

この窓際に陣取ってリモートワークしたいと思った。

(ここにしばらく滞在するには財力が必要 笑。)


次回は、

料理の演出について語ります。


旅は続く、流れる雲のように。