月刊!スピリッツにて『ブルタックル』を連載中の超大物ルーキー飛松良輔先生に赤鮫が噛み付いてきました!
(『ブルタックル』のあらすじ)
自分のやりたいことってなんだ?
そんな悩みを抱えていた銭湯屋の息子、“うしお"は大学でラグビーに出会う。
球技か、格闘技か――
激しいぶつかり合いのため「闘」の字を冠されたスポーツ、
闘球=ラグビー。
その魅力にとりつかれたうしおは、薪割りで鍛えた筋力、そして持ち前の“大胆不敵さ"を武器にして、仲間達と日本一を目指し始める!
実は崖っぷちだった
飛松良輔先生(以下 飛松):いきなりなんですが、じつは崖っ淵だったんです。
レッドシャーク(以下 R):えっ、どういうことですか?
飛松):『ブルタックル』の連載が決まるコンペ中に、親から「もうそろそろ漫画家以外の道も考えてもいいんじゃない?」って言われてたんです。
R:たしかに崖っ淵ですね。
飛松):「このコンペの結果がダメだったら考えるから」みたいな感じのやり取りをしてたんです。
R:いきなりすごい告白ですね。詳しく聞かせていただいてもいいですか?
飛松):高校のころから絵で食べていこうとしか思ってなかったので、大学卒業してすぐに東京に出てきたんです。(※先生の出身は九州で大学は大阪芸大) 上京して1年はスポーツクラブのインストラクターして、そのあとに「こざき亜衣」先生のところでアシスタントをはじめました。
R:アシスタントをされながらコンペに参加してたんですね。
飛松):コンペに何度も落ちて、悩んでるときに2年前のあのラグビーワールドカップの試合を観て「これだ!」と思って描いたのが『ブルタックル』のもとになるものだったんです。
R:あの試合で先生の人生が変わったんですね。
飛松)はい、ラグビーのおかげで連載までいただけました。
R:先生自身、ラグビーはやられてたんですか?
飛松):じつはやってないんです。 好きなことは好きなんですけど。
R:てっきりラグビーをやられてるものだと。 というのも『ブルタックル』を読んで、先生自身がラグビーが好き過ぎてたまらなくて、一人でも多くの人にラグビーの楽しさを知ってもらいたいというのが滲み出てる気がしたんです。
飛松):ありがとうございます。 もともと広めたいと言う気持ちはあったんですが、ラグビーの取材を通じて、そういう思いがますます大きくなってきました。
大学ラグビーの実態
R:印象に残った取材体験などありましたら。
飛松):大学ラグビーというのは特殊で大学の部活なんですけど、1つの社会になってて、それがすごくデカいんです。 そのデカい社会の中でサポートする人達がたくさんいて、そんなみんなの気持ちを選手は背負って試合に挑んでいるのが印象的でした。
R:印象に残った取材などありますか?
飛松)全部の大学がそうじゃないと思うんですけど、ある大学は1年生は学校や練習に慣れるために、上級生が洗濯や雑用全部してるところがあったんです。 その姿をみて下級生は尊敬する、それが受け継がれていくというのが印象深かったですね。
R:あっ、僕も格闘技ジムでありました。練習終えたら絶対に1箇所は掃除して帰るというルールだったんですけど、プロ選手のほうがトイレとかシャワーとか大変な場所を掃除するというのがありました。 有名な選手がトイレ掃除とか一生懸命やってる姿を見ると練習生は尊敬しますよね。
飛松):体もゴツくてしっかりしてて、僕より年上に見えるくらいなんですけど、そんな彼らに「彼女いるの?」って聞くと、ニヤニヤしだして20歳くらいの青年にもどってすごく可愛いんですよ。 彼女いるよっていう奴も、ラグビー漬けなんで彼女になかなか会えなくなって、たいてい別れちゃうらしいです。
R:大学ラグビーのレギュラーなんて、めちゃくちゃモテそうなんですけどね。
飛松):ラグビーにはフォワードとバックスというポジションがあって、フォワードが守りの要になって、バックスは攻めて目立つ、なのでバックスのほうがモテるみたいです、フォワードの選手たちが口を揃えて「あいつらはさー」って言ってるのも可愛かったです。
R:すいません、あまりラグビーを知らなくてポジションについて教えて欲しいんですけど。
飛松):簡単に説明するとフォワードとバックスにわかれます。 フォアードが守って、バックスで攻める。 筋肉モリモリの地味な仕事人のフォワードもラグビーファンからは支持されるんですけど、やはりトライを決めたりするバックスが注目されやすいんです。
R:そうなんですね。サッカーだとフォワードは攻めなので、ラグビーはまた違うんですね。
飛松:)僕もまだまだ勉強中で、日本ラグビーフットボール協会さんに取材に行ったときに試合を観戦しながら説明をしていただけたんですけど、ラグビー見てると今のタイミングでなぜ拍手が起こったかわからないとところがあって、「あそこはフォワードが相手の攻撃を押し返されずに踏ん張れたから起こった拍手」みたいな。
R:ラグビー詳しくない僕はやっぱりボールを持ってる人だけを見ちゃうと思うんです。
飛松):ラグビーは特殊でポジションポジションの役割がはっきりしてて、トライのために敵チームを抑える人とか、フォローする人ととか、スクラムで押す人など、1つのトライをとっても、何をみんながやったかなど役割を知ってると見所がたくさんあって観るのが面白くなると思うんですよ。
R:あっ、だから「One for all All for one」なんですね。 そうかそうか、あの言葉の意味をはじめて理解できました。 取材でしたものを漫画に置き換える難しい部分はありますか?
飛松):海外では自分で考えるトレーニングというのが主流で、日本にもだんだんそういうのが流れになってきてるんですが、それを漫画に置き換えるのが難しいです。
R:コーチから言われるだけのトレーニングでなく、自分たちで考えて効率のいいトレーニングをするということですか?
飛松):はい、そうなんですがラグビー初心者の“うしお”に自分で考えてやれっても難しいので、監督やコーチがいかに指導するかで主人公たちが強くなれるのも漫画の魅力だと思うので、その塩梅が難しいですね。 それともう一つは、ラグビーのルールをよくわからない人がまだまだ多いということです。 サッカーや野球はルールを知ってる人が多いので、意外な指導方針などは分かりやすいんですけど、ラグビーで意外な指導方針を漫画の中で出しても、もともとのルートを知らないから意外にならないとか。
『ブルタックル』1巻が発売
R:ラグビーの練習ってそういうもんなんだなって思ってしまいますもんね。 『ブルタックル』の1巻が28日に発売されましたが、見所などを教えてください。
飛松):“うしお”がラグビーにどんどん本気になっていくさまを観ていただきたいです。 そして読書にもラグビーっておもしろいなって、“うしお”と一緒にのめり込んでいってもらえるよう、そして楽しんでもらいたいです。
R:飛松先生にとって漫画とはなんですか?
飛松):うーーーーーーん(かなり悩んで)。みんなが楽しめるもの・・・・・。 自己満足なら同人誌でいいわけで、プロの漫画家としてみんなに楽しんでもらうためにエンターテイメントでなければならないと思ってます。
R:本日はお忙しいところありがとうございました。
飛松):こちらこそありがとうございました。 『ブルタックル』第1巻4月28日より発売中です。よろしくお願いいたします。