~ 27 ~
「その様な事になっていたのでございますか」
ゴンザは香り良い紅茶を静香の前に置きながら、驚いた表情を見せている。
「しかもね、皆"ゼルナの祝福"を貰った後だったでしょ。だから色んな技も今まで以上に威力が凄くって、防御結界や黒騎士の人達に斬られても消えなくて、漣山のあちこちで爆発まで起こるようになちゃって。これにはシグマさんが激怒したのと、ミオさんの術印術まで飛び出すようになって、セシル様とアテナ様が急遽新たな結界を張って下さらなかったら、もうどれだけ悲惨なことになってたかと思うと今思い出してもゾッとしてしてしまいます」
綺麗なカップを両手を持ちながら、静香は情けない笑みを浮かべた。
ソファの前にあるセンターテーブルに自らのカップも置くとゴンザは静香の向かいに座り、それはそれは大変でございましたな、とその真っただ中に居たであろうことを労った。
「ゴンザさんも見てたんですよね」
「はい、レオ様がご用意して下さいました魔道具にて拝見させて頂いておりましたが、鋼牙様がカオル様に口付けられた辺りから画面が一時黒くなりましてな、"しばらくお待ちください"という魔戒文字が表示されておりました」
「そうだったのね。確かにあの状況は見せられないものね」
「その様でございますなぁ。映像が再開されたときの皆様のご様子が、大層お疲れの感じでございましたのでどうされたのかと思っておりました」
「最後の最後でなんとか"婚礼の儀"だけはすることになったんだけど、その頃には鋼牙さんと遼生さんは魔法衣までボロボロになってるし、銀牙達もヨレヨレになってて式典の形だけはとったんだけど、ちょっと見た目は悲惨だったかも」
「私も長い間鋼牙様のお世話をさせて頂いておりますが、あのようになった鋼牙様の魔法衣を見たのは初めてでございます」
ゴンザは香り良い紅茶を静香の前に置きながら、驚いた表情を見せている。
「しかもね、皆"ゼルナの祝福"を貰った後だったでしょ。だから色んな技も今まで以上に威力が凄くって、防御結界や黒騎士の人達に斬られても消えなくて、漣山のあちこちで爆発まで起こるようになちゃって。これにはシグマさんが激怒したのと、ミオさんの術印術まで飛び出すようになって、セシル様とアテナ様が急遽新たな結界を張って下さらなかったら、もうどれだけ悲惨なことになってたかと思うと今思い出してもゾッとしてしてしまいます」
綺麗なカップを両手を持ちながら、静香は情けない笑みを浮かべた。
ソファの前にあるセンターテーブルに自らのカップも置くとゴンザは静香の向かいに座り、それはそれは大変でございましたな、とその真っただ中に居たであろうことを労った。
「ゴンザさんも見てたんですよね」
「はい、レオ様がご用意して下さいました魔道具にて拝見させて頂いておりましたが、鋼牙様がカオル様に口付けられた辺りから画面が一時黒くなりましてな、"しばらくお待ちください"という魔戒文字が表示されておりました」
「そうだったのね。確かにあの状況は見せられないものね」
「その様でございますなぁ。映像が再開されたときの皆様のご様子が、大層お疲れの感じでございましたのでどうされたのかと思っておりました」
「最後の最後でなんとか"婚礼の儀"だけはすることになったんだけど、その頃には鋼牙さんと遼生さんは魔法衣までボロボロになってるし、銀牙達もヨレヨレになってて式典の形だけはとったんだけど、ちょっと見た目は悲惨だったかも」
「私も長い間鋼牙様のお世話をさせて頂いておりますが、あのようになった鋼牙様の魔法衣を見たのは初めてでございます」
それもそのはず、鋼牙と遼生はもう意地のぶつかり合いの様なそれはそれは激しい遣り合いとなり、剣同士は勿論、その上殴る蹴るなど互いに体術も駆使した正に男同士の喧嘩の華を咲かせ、更に衝撃波や烈風切なども繰り出した挙句、鎧バトルまでやっていたのだ。
しかも何故かそんな2人目掛けてミオがリリンに放ったあの、術印術捕縛結界を再度放ったのだが流石は牙狼と無牙と言うべきなのか、最初の魔導文字の乱爆を受け2人の魔法衣がかなり激しい損傷を受けた後、こういう時だけ力を合わせて内側から強固な結界を2本の剣で叩き壊したのだ。
しかし残った2文字の乱爆は結界が破壊されてからも続き、周りにいた称号騎士達が被害を被ったのは言うまでもない。
それでも2人の喧嘩は収まらず、止めに入った騎士達まで巻き沿いにしてもう相手が誰でもいいような状態となり、名誉ある称号騎士に有るまじき罵詈雑言も飛び交い手当たり次第に殴る蹴るソウルメタルの狂音もけたたましく騎士同士、鎧同士、騎士対鎧などもう訳が分からない大乱闘となっていったのだ。
称号騎士達は互いにこんな風に力比べをすることなどない為、それが楽しいのかさっきのような中途半端な遣り合いではなく、正に力と力がぶつかり合う激しい戦いを始めてしまったのだ。
しかも何故かそんな2人目掛けてミオがリリンに放ったあの、術印術捕縛結界を再度放ったのだが流石は牙狼と無牙と言うべきなのか、最初の魔導文字の乱爆を受け2人の魔法衣がかなり激しい損傷を受けた後、こういう時だけ力を合わせて内側から強固な結界を2本の剣で叩き壊したのだ。
しかし残った2文字の乱爆は結界が破壊されてからも続き、周りにいた称号騎士達が被害を被ったのは言うまでもない。
それでも2人の喧嘩は収まらず、止めに入った騎士達まで巻き沿いにしてもう相手が誰でもいいような状態となり、名誉ある称号騎士に有るまじき罵詈雑言も飛び交い手当たり次第に殴る蹴るソウルメタルの狂音もけたたましく騎士同士、鎧同士、騎士対鎧などもう訳が分からない大乱闘となっていったのだ。
称号騎士達は互いにこんな風に力比べをすることなどない為、それが楽しいのかさっきのような中途半端な遣り合いではなく、正に力と力がぶつかり合う激しい戦いを始めてしまったのだ。
静香はその時のことを思い出してしまい、額に手を当てて大きな溜息を吐き出した。
「静香様とカオル様は、さぞかし怖い思いをなされたのでは?」
そんな騒動の真っただ中に居たであろう2人を気遣いゴンザが改めて掛けた言葉に、静香は何とも言えない表情を浮かべた。
「最初は銀牙と優斗さんが守ってくれてたんだけど、2人も段々騒動に巻き込まれて行っちゃって。途中からは戻って来てくれたリリンが、もう向かって来るものは騎士の人達だろうと何だろうと全部薙ぎ払ってくれてたの」
「まぁなんと申しますか・・・まことに大変でございましたなぁ」
静香とゴンザは互いにはぁ~と息を吐いてから、香り高い紅茶が冷めてしまわない内にとカップを持ち上げた。
「静香様とカオル様は、さぞかし怖い思いをなされたのでは?」
そんな騒動の真っただ中に居たであろう2人を気遣いゴンザが改めて掛けた言葉に、静香は何とも言えない表情を浮かべた。
「最初は銀牙と優斗さんが守ってくれてたんだけど、2人も段々騒動に巻き込まれて行っちゃって。途中からは戻って来てくれたリリンが、もう向かって来るものは騎士の人達だろうと何だろうと全部薙ぎ払ってくれてたの」
「まぁなんと申しますか・・・まことに大変でございましたなぁ」
静香とゴンザは互いにはぁ~と息を吐いてから、香り高い紅茶が冷めてしまわない内にとカップを持ち上げた。
昨日の状態が余りにも悲惨だった為か、称号騎士達や式典を支えていた全ての法師達には今日は急遽休暇とされ、体力の早急なる回復が命じられていた。
なので静香も零とぐっすり朝寝をしていたのだが、そこに突然アテナがリリンを振り切って乱入して来たのだ。
『零、危急の指令だ!直ぐに元老院まで来い!』
と指令書ではなく自ら現れたかと思えば、寝ぼけている上半身裸の零を魔法衣や剣など一式と共に連れて行ってしまったのである。
一人ベットに残され唖然としている静香に、
「お休み中のところ大変申し訳ございません」
とアテナに代わってリリンが深々と頭を下げていた。
「どうしたの?何かあったの?」
「昨日ゼルナ様が施されておりました結界が解除されました後、各地で想定以上のホラーが溢れ出したのでございます」
「え?だったら私も」
「それには及びません。静香様のお許しさえ頂ければ、私が早急に排除して参ります」
「でも・・」
「称号騎士達も動ける者は、絶狼、破狼、是遠、蒼河、龍水、牙射の6名程だとか、その他の者達は昨日の状態を鑑みて今日に限り休ませるとアテナが申しておりましたので、静香様もどうか本日はお休み下さい」
「そうなのね、分かったわ」
「ですが私が不在の間、静香様にご不便をお掛けする訳にはまいりません。出来ましたらカオル様のお屋敷までお連れ致しますので、どうかそちらで私が戻るまでお待ち頂けないでしょうか。ゴンザにはすでに伝えてございます」
ということで静香は10時ごろにはここ北の屋敷に来ていたのだった。
「鋼牙さんもカオルも、今日は起きて来ないかも」
「左様でございますなぁ」
2人はなんとなく上の方を見上げて、そう呟いた。
昨日の偽物とは言え"カオルの死"が鋼牙に与えた衝撃は相当大きかったらしく、"婚礼の儀"を行っている最中も大乱闘直後に抱きかかえたままの状態で、式典全てをなんとか終わらせほっとしているレオ達を余所に、結局そのまま一度もカオルを降ろすことなく速攻で連れて帰ってしまったのだ。
「いくらカオルの願いを叶える為とはいえ、鋼牙さんには本当に申し訳ないと思ってるの」
静香が辛そうに視線を落とすと、ゴンザは穏やかな顔で、大丈夫ですよ、と語り掛けた。
「鋼牙様ならきっと、静香様のお気持ちもお分かりでございます。それに今回のことを必死で考えて下さったレオ様のことも、無下にお叱りになったりすることはないはずでございます」
静香が辛そうに視線を落とすと、ゴンザは穏やかな顔で、大丈夫ですよ、と語り掛けた。
「鋼牙様ならきっと、静香様のお気持ちもお分かりでございます。それに今回のことを必死で考えて下さったレオ様のことも、無下にお叱りになったりすることはないはずでございます」
「ああ、気にすることはない」
突然降って湧いた声に、2人が慌ててドアの方へと顔を向けると、そこに戦闘服姿の鋼牙が立っていた。
いつからそこに居たのか、ゴンザにすら気配を悟らせなかったのだ。
「鋼牙さんっ!」
「鋼牙様!」
ゴンザは慌てて立ち上がると、直ぐにお食事をご用意致します、と早々にリビングを出て行った。
静香は申し訳なさそうに座ったままの状態で鋼牙を見上げているが、鋼牙はそんな静香の周りを見回してから口を開いた。
「零とリリンはどうした?」
静香の側には必ずリリンが居り、今日は零も休みのはずだから共に来ているはずだと思ったのだが、辺りを探ってもどこにも2人の気配がなかったからである。
「銀牙は"危急の指令"で、アテナ様が連れて行っちゃいました。リリンも同じ用件で出掛けています。それでリリンにここに居るようにって言われて。ごめんなさい。勝手にお邪魔してしまって」
いや構わない、と返しながら鋼牙はテーブルのいつもの席に座ると、ふっと優しい表情になった。
「そんなに固くならいでくれ」
「でも・・・私・・・」
「昨日のことなら本当に気にしなくていい。カオルからも煩い位に説明されている。それより、アテナが零を連れて行った"危急の指令"とは何だ?」
聞いているか?、とこれまた穏やかな声で問い掛けた。
いつからそこに居たのか、ゴンザにすら気配を悟らせなかったのだ。
「鋼牙さんっ!」
「鋼牙様!」
ゴンザは慌てて立ち上がると、直ぐにお食事をご用意致します、と早々にリビングを出て行った。
静香は申し訳なさそうに座ったままの状態で鋼牙を見上げているが、鋼牙はそんな静香の周りを見回してから口を開いた。
「零とリリンはどうした?」
静香の側には必ずリリンが居り、今日は零も休みのはずだから共に来ているはずだと思ったのだが、辺りを探ってもどこにも2人の気配がなかったからである。
「銀牙は"危急の指令"で、アテナ様が連れて行っちゃいました。リリンも同じ用件で出掛けています。それでリリンにここに居るようにって言われて。ごめんなさい。勝手にお邪魔してしまって」
いや構わない、と返しながら鋼牙はテーブルのいつもの席に座ると、ふっと優しい表情になった。
「そんなに固くならいでくれ」
「でも・・・私・・・」
「昨日のことなら本当に気にしなくていい。カオルからも煩い位に説明されている。それより、アテナが零を連れて行った"危急の指令"とは何だ?」
聞いているか?、とこれまた穏やかな声で問い掛けた。
鋼牙にとっても静香は特別な存在である。
零の最愛の伴侶であり、何よりカオルが今もっとも信頼し、心より大切にしている友なのだ。そして静香自身もそんな立場以上に素晴らしい女性だということを、鋼牙もよく分かっていた。
それに零はいつも命懸けでカオルのことを守ってくれていた。そんな零の為にも鋼牙は静香を大切にしようと決めていたのだ。
それだけに、決して悲しい顔などをさせる訳にはいかないのである。
万が一、静香を泣かせたなどど零やリリンに知れたら、それこそどんな目にあわされるか分かったものではない。
特にカオルを本気で怒らせるなど、頂けないにも程がある。
今の鋼牙にとってカオルから嫌われるとか相手にされないというような状況は、何より避けたいことなのだ。
零の最愛の伴侶であり、何よりカオルが今もっとも信頼し、心より大切にしている友なのだ。そして静香自身もそんな立場以上に素晴らしい女性だということを、鋼牙もよく分かっていた。
それに零はいつも命懸けでカオルのことを守ってくれていた。そんな零の為にも鋼牙は静香を大切にしようと決めていたのだ。
それだけに、決して悲しい顔などをさせる訳にはいかないのである。
万が一、静香を泣かせたなどど零やリリンに知れたら、それこそどんな目にあわされるか分かったものではない。
特にカオルを本気で怒らせるなど、頂けないにも程がある。
今の鋼牙にとってカオルから嫌われるとか相手にされないというような状況は、何より避けたいことなのだ。
「あ、はい。それは・・」
と静香が語った内容に、なるほどな、と頷き、
「ならば俺も行くとしよう」
と言い切ったのだ。
静香の疑問に、これまたきっぱりと言い切る鋼牙に一瞬戸惑った静香だったが、次の瞬間には一気に顔を真っ赤にした。
「零には言うなよ」
「・・・鋼牙さんが今日行っちゃうと、それだけでバレルと思いますけど~」
くっと笑って言う鋼牙に、静香もふふと口元を綻ばせて楽しそうに返した。
「アイツは変なトコロが妙に鋭かったな」
「そうなの!子供の頃から勘が鋭くて・・」
と鋼牙と静香が楽しそうに話しているところにゴンザが戻って来て、そんな2人の様子に顔を綻ばせた。
そして、
「もうお昼でございますから、静香様も鋼牙様とご一緒にお召し上がり下さい」
と静香もテーブルの方へと誘い、2人の前に美味しそうな昼食を並べ始めた。
と静香が語った内容に、なるほどな、と頷き、
「ならば俺も行くとしよう」
と言い切ったのだ。
「え?でも鋼牙さんは今日お休みですよね?それにカオルが・・」
「カオルなら当分起きることはない」
「零には言うなよ」
「・・・鋼牙さんが今日行っちゃうと、それだけでバレルと思いますけど~」
くっと笑って言う鋼牙に、静香もふふと口元を綻ばせて楽しそうに返した。
「アイツは変なトコロが妙に鋭かったな」
「そうなの!子供の頃から勘が鋭くて・・」
と鋼牙と静香が楽しそうに話しているところにゴンザが戻って来て、そんな2人の様子に顔を綻ばせた。
そして、
「もうお昼でございますから、静香様も鋼牙様とご一緒にお召し上がり下さい」
と静香もテーブルの方へと誘い、2人の前に美味しそうな昼食を並べ始めた。
