~ 06 ~
アテナは鋼牙から放り投げられたゼルナを一瞬叩き落としそうになったが、慌てて気を取り直してしっかりと両の手で受け止めた。
ちなみに、ゼルナに対する鋼牙達のこの扱いにリリンが何も言わないのは、ゼルナ自身が”今の絶狼達とは仲間のように接したい”という言葉があったからだ。
果たしてこれがそれにあたるかどうか疑問ではあったが、リリンはゼルナが楽しそうなので放置することにしたようだ。
果たしてこれがそれにあたるかどうか疑問ではあったが、リリンはゼルナが楽しそうなので放置することにしたようだ。
『待たぬか鋼牙。お前はまた大回廊を破壊するつもりか』
ゼルナを両手で持ったまま、どうしたものかと思案しながらアテナは取り合えず鋼牙にそう苦言を刺す。
そんなアテナの横の空間に煌めきが起こり、白い輝きに囲まれた姿が現れた。
この場に居るゼルナとリリン以外で、アテナの結界を超えて来れる者など1人しかない。
アテナが持っているゼルナに向けて優雅なお辞儀をすると、ゼルナはその白い姿目掛けて飛び込んだ。
アテナが思い他強く掴んでいたので、苦しかったようだ。
───── グレス、今の騎士達は本当に”逸材揃い”だね ─────
グレスに優しく抱きかかえられてゼルナもやっと落ち着けたのか、満足そうにそう告げた。
『では優斗にも称号騎士の鎧をお与え下さったのですね。それは私も是非拝見しとうございます』
『しかしグレス様・・』
アテナはグレスがまさか鋼牙に賛同するとは思ず、急いで立ち上がると言葉を挟もうとした。
『分かっていますよアテナ。もちろんここでということではありません。これ以上元老院の業務を妨げられては困りますからね』
そこには、やんわりとだがこの場に者達を諫めるモノが含まれている。
『リリン様もよろしいですね』
「迷惑を掛けて悪かった。今後はこのようなことがないよう気を付けるとしよう」
リリンもお前達次第だという含みを持たせた言葉でそれに返した。
ゼルナを両手で持ったまま、どうしたものかと思案しながらアテナは取り合えず鋼牙にそう苦言を刺す。
そんなアテナの横の空間に煌めきが起こり、白い輝きに囲まれた姿が現れた。
この場に居るゼルナとリリン以外で、アテナの結界を超えて来れる者など1人しかない。
そう、元老院最高位の神官であるグレスだ。
『”神”よ、ご挨拶が遅くなり申し訳ございません』
アテナが思い他強く掴んでいたので、苦しかったようだ。
───── グレス、今の騎士達は本当に”逸材揃い”だね ─────
グレスに優しく抱きかかえられてゼルナもやっと落ち着けたのか、満足そうにそう告げた。
『では優斗にも称号騎士の鎧をお与え下さったのですね。それは私も是非拝見しとうございます』
『しかしグレス様・・』
アテナはグレスがまさか鋼牙に賛同するとは思ず、急いで立ち上がると言葉を挟もうとした。
『分かっていますよアテナ。もちろんここでということではありません。これ以上元老院の業務を妨げられては困りますからね』
そこには、やんわりとだがこの場に者達を諫めるモノが含まれている。
『リリン様もよろしいですね』
「迷惑を掛けて悪かった。今後はこのようなことがないよう気を付けるとしよう」
リリンもお前達次第だという含みを持たせた言葉でそれに返した。
『では建物の外にて鋼牙と優斗の御前試合を行うとしましょう』
これにはこの場に居る全員が驚いた。
もちろん、ゼルナもリリンもである。
元老院の空間内での鎧の召喚はもちろん、御前試合などという模範戦のような騎士同士の戦いも前代未聞だからである。
『よろしいのですかグレス様?』
『”神”がお認めになった騎士達であり、それに元老院の中にも称号騎士の姿を見たがっている者が多く居ると聞き及んでいます。これは彼らの願いを叶える、よい機会でもあると思いませんかアテナ』
『グレス様がそれでよいのであれば、我に異論はございません』
アテナはグレスに対し数歩下がると、その頭を下げた。
『鋼牙も優斗もそれでよろしいですね』
鋼牙は無言で頷き、優斗は立ち上がれないまでも姿勢を正し頭を下げた。
カオル、静香、レオは心配そうな表情を浮かべ、零はどこか楽しそうな雰囲気を出し、リリンは真面目な顔でそんな者達の姿を見ている。
グレスは優斗の意志を見て取ると、その姿を白き光で包み力を回復させた。
優斗も初めてのことに驚きながらも、内から漲るような体力の回復に腕や足の動きを確かめながらゆっくりと立ち上がった。
『では場所を外に移しましょう、アテナ』
『かしこまりました』
アテナはグレスの命を受け大回廊の結界を解くと、この場に居る全員をゼルナ作の魔道具ごと元老院の庭とも言える広大な緑の上へと瞬時に移動させたのである。
そして、
もちろん、ゼルナもリリンもである。
元老院の空間内での鎧の召喚はもちろん、御前試合などという模範戦のような騎士同士の戦いも前代未聞だからである。
『よろしいのですかグレス様?』
『”神”がお認めになった騎士達であり、それに元老院の中にも称号騎士の姿を見たがっている者が多く居ると聞き及んでいます。これは彼らの願いを叶える、よい機会でもあると思いませんかアテナ』
『グレス様がそれでよいのであれば、我に異論はございません』
アテナはグレスに対し数歩下がると、その頭を下げた。
『鋼牙も優斗もそれでよろしいですね』
鋼牙は無言で頷き、優斗は立ち上がれないまでも姿勢を正し頭を下げた。
カオル、静香、レオは心配そうな表情を浮かべ、零はどこか楽しそうな雰囲気を出し、リリンは真面目な顔でそんな者達の姿を見ている。
グレスは優斗の意志を見て取ると、その姿を白き光で包み力を回復させた。
優斗も初めてのことに驚きながらも、内から漲るような体力の回復に腕や足の動きを確かめながらゆっくりと立ち上がった。
『では場所を外に移しましょう、アテナ』
『かしこまりました』
アテナはグレスの命を受け大回廊の結界を解くと、この場に居る全員をゼルナ作の魔道具ごと元老院の庭とも言える広大な緑の上へと瞬時に移動させたのである。
そして、
『皆の者に告ぐ、今より元老院前において称号騎士によるグレス様への御前試合を行う。見学したき者は直ちに職務を一時中断し集まるがよい』
と元老院内に居る全ての者に告げたのだ。
すると正面の入り口からは大勢の元老院勤務の者達が溢れ出し、鋼牙達が居る場所が見れる窓にも鈴生りの人影が作られていく。
皆やはり称号騎士には興味津々なのだ。
しかもその中には黒騎士や闇法師達の姿まで垣間見れる。
更にはアテナの声を聞きつけた番犬所の神官達までもが、その姿を現したではないか。
優斗の属する”白の番犬所”神官セシルを始め、”赤の番犬所”神官晴明、”翠の番犬所”神官ラデル、”朱の番犬所”神官ネフィスがグレスとアテナの後ろに控えたのだ。
すると正面の入り口からは大勢の元老院勤務の者達が溢れ出し、鋼牙達が居る場所が見れる窓にも鈴生りの人影が作られていく。
皆やはり称号騎士には興味津々なのだ。
しかもその中には黒騎士や闇法師達の姿まで垣間見れる。
更にはアテナの声を聞きつけた番犬所の神官達までもが、その姿を現したではないか。
優斗の属する”白の番犬所”神官セシルを始め、”赤の番犬所”神官晴明、”翠の番犬所”神官ラデル、”朱の番犬所”神官ネフィスがグレスとアテナの後ろに控えたのだ。
『鋼牙、魔導馬は波動が強すぎる為召喚は出来ぬがよいな』
「承知した」
あ、だったら、と未だ鋼牙の腕の中に居るカオルが、その顔を見上げた。
「おうちゃんも牙狼と一緒に呼んであげて」
「いいのか?」
「だって優斗さんの武器は弓なんだから、鋼牙は飛べた方がいいんじゃない」
「そうだな」
鋼牙はそんなカオルに淡く微笑むとその額にそっと口付けた。
もちろん周りからドヨメキが起こるが、鋼牙もカオルもまったく気にしていない。
むしろそれを目の当たりにされたレオは固まり、零と静香は苦笑いを浮かべている。
『鋼牙、いい加減にしろよなぁ』
これが優斗への威嚇でもあることが分かっているサルバが、元老院に来て初めてその口を開いた。
「承知した」
あ、だったら、と未だ鋼牙の腕の中に居るカオルが、その顔を見上げた。
「おうちゃんも牙狼と一緒に呼んであげて」
「いいのか?」
「だって優斗さんの武器は弓なんだから、鋼牙は飛べた方がいいんじゃない」
「そうだな」
鋼牙はそんなカオルに淡く微笑むとその額にそっと口付けた。
もちろん周りからドヨメキが起こるが、鋼牙もカオルもまったく気にしていない。
むしろそれを目の当たりにされたレオは固まり、零と静香は苦笑いを浮かべている。
『鋼牙、いい加減にしろよなぁ』
これが優斗への威嚇でもあることが分かっているサルバが、元老院に来て初めてその口を開いた。
どうやらゼルナの魔道具のせいでホラーであるザルバとシルヴァはいつしか眠らされていたようだ。
するとカオルが何を思ったのかザルバを睨む為に持ち上げた鋼牙の腕から抜け出し優斗の側に駆け寄ると、その魔法衣をくいっと引っ張って優斗の額にチュッと口付けたのだ。
「優斗さんも頑張ってね」
まったくもってカオルは無自覚にやっているのだが、やられた優斗とそれを見ている鋼牙にはかなりの衝撃を与えたようだった。
カオルはただ、自分を守る為に頑張ってくれている優斗を励ましたかっただけなのだが。
「優斗さんも頑張ってね」
まったくもってカオルは無自覚にやっているのだが、やられた優斗とそれを見ている鋼牙にはかなりの衝撃を与えたようだった。
カオルはただ、自分を守る為に頑張ってくれている優斗を励ましたかっただけなのだが。
「あちゃ~~」
鋼牙の覇気が急に激しく膨れ上がった為に、零が気の毒そうに優斗を見てからその顔に手を持っていった。
「カオルって天使っていうより小悪魔かも」
静香も流石にカオルのこの行動には、驚き半分呆れ半分といった感じだ。
鋼牙の覇気が急に激しく膨れ上がった為に、零が気の毒そうに優斗を見てからその顔に手を持っていった。
「カオルって天使っていうより小悪魔かも」
静香も流石にカオルのこの行動には、驚き半分呆れ半分といった感じだ。
『ではこれより、黄金騎士牙狼こと冴島鋼牙と天弓騎士牙射こと楠神優斗の御前試合を行う。場所は我が作りし結界内、時間は鎧の召喚内とする』
アテナの宣言を聞きながら、鋼牙と優斗が広場の中央に歩み出て互いに睨み合う。
優斗も鋼牙の覇気に気圧されないよう、魔法衣から蒼銀色に光る大きなソウルメタルの弓を出すとその左手に携える。
すでにその姿はかなり手慣れた様子だ。
やはり3年という修練期間は、優斗には十分なものだったのだろう。
優斗も鋼牙の覇気に気圧されないよう、魔法衣から蒼銀色に光る大きなソウルメタルの弓を出すとその左手に携える。
すでにその姿はかなり手慣れた様子だ。
やはり3年という修練期間は、優斗には十分なものだったのだろう。
アテナがその右手を上げると、巨大で透明な球体が2人を包み込み上空へと浮かび上がる。
多くの者達が見守る中、前代未聞の称号騎士同士による鎧を召喚した状態での戦いが始まろうとしていた。
多くの者達が見守る中、前代未聞の称号騎士同士による鎧を召喚した状態での戦いが始まろうとしていた。
