東日本大震災の発生9カ月を前に、岩手、宮城、福島の被災3県で必要戸数の98%に当たる5万戸余の仮設住宅が完成した一方で、1割近い4839戸が空室となっていることが分かった。民間住宅が人気を集め、内陸の仮設住宅は敬遠されたためだ。福島県は原発事故による放射能の影響で県外避難者が戻らない事情も。自治体の中には、ボランティアなどに提供するところが出ている。

 岩手県は完成した1万3984戸に対し776戸が未入居(11月25日時点)。県内最多の308戸が空室となった釜石市は申し込みを基に建設戸数を決めたが、「ふたを開ければ、民間借り上げ住宅の利用が多かった」という。宮古市も内陸部3カ所の仮設住宅で入居者がゼロで、「沿岸部の被災者が内陸を嫌がった」と分析する。両市は一部にボランティアや警察官、工事関係者を宿泊させている。

 宮城県は2万2042戸のうち空室が1109戸(今月1日時点)。石巻市は入居率が92%と県内最低だ。山間部は人気がなく、入居率が2割に満たない場所も。市は「バスの本数が少なく、買い物に不便な地域は入居してもらえない」と嘆く。