運転免許証を自主返納した際、
身分証明書代わりとして希望者に交付している
「運転経歴証明書」について、
警察庁は10日、交付の申請期間を従来の
「返納から1カ月以内」から「返納から5年以内」
に大幅延長するほか、
再交付に関する規定も新設することを決めた。
11日に道路交通法施行令の改正案を公表して意見募集を実施。
寄せられた意見も踏まえた上で、来年4月1日の施行を目指す。

 今回の改正に併せ、
犯罪収益移転防止法に関する施行規則も改正され、
運転経歴証明書が同規則で定める本人確認書類として明記される予定。

 運転経歴証明書の制度は平成14年6月にスタートしたが、
15年1月に本人確認法(20年3月の犯収法の施行に伴って廃止)
が施行され、運転経歴証明書については有効期限がないことから、
交付後6カ月を超えた時点で銀行の口座開設や保険の契約など
金融機関の本人確認書類として使うことができなかった。

 今後は犯収法の施行規則に
本人確認書類として明記されることで、
運転経歴証明書も免許証と同様に金融機関で
本人確認書類として使えるようになる。

 また、これまでは運転経歴証明書に関する
再交付規定は設けられておらず、
紛失したり破損したりしてもそのままだった。
今後は再交付に関する規定を新設することで、
再交付が受けられるようになる。
現行の運転経歴証明書についても、
希望者には新しい運転経歴証明書を交付する。

新しい運転経歴証明書では、
これまで裏面に記載されていた
「自動車などの運転はできません」という文言を表面に記載して明記。
また、免許証の番号もそのまま引き継がれ、新たに表面に記載される。

 住所と氏名に変更があった場合には
届け出を義務づけるが、罰則は設けない。
有効期限はないため、免許証のように更新する必要もない。

 返納後、改めて免許証を取得した場合、
運転経歴証明書は返納させることで二重発行を防止する。

 警察庁では「身分証明書としての機能に実効性を持たせることで、
自主返納がさらに促進されることを期待したい」と話している。

 意見募集は11日から12月10日まで。
あて先は東京都千代田区霞が関2の1の2、
警察庁交通企画課パブリックコメント担当。
ファクスは03・3581・9337。
電子メールはkoutsukikakuka@npa.go.jp