元々読書が好きだった僕。

貧乏家庭で娯楽も余りなかった僕は、暇さえあれば学校の図書室で借りた本を読み漁りました。

乱読・併読タイプ。
これは昔から変わらぬ僕の読書スタイルなのです。

そんな僕はここ数年、専ら電子書籍であるKindleで本を買うようになりました。

何しろ携帯性に優れ、沢山の本を持ち歩く必要がなくなって、いざとなればお気にの本の読みたいページに直ぐに飛べる。

これは読書家にとって、実に素晴らしい文明の利器であると思います。

パーソナルユースで個人で買える時代が来るなどと、子供の頃には想像だにしなかったですよ。


さて。

そんなありがたいデバイスで本を読むようになって、僕の読書ペースが上がったのかと問われれば、答えは否。

実は加齢とともに、根気と集中力が低下してしまい、なかなか頁が進まぬのです。

ここ数年は、チョイと優しめのお子様向けの本ばかり読んでいました。

吉川英治さんや阿刀田高さん、それにショートショートで有名な星新一さん。

特に吉川英治さんは、小学生、中学生の頃には随分とお世話になったものです。
三国志なんてもう十回以上読んでいます。


でも、便利になったのですが、何故か進まぬ読書ペース。

これはやはり「本」の温もりを感じないからなのかな?
そんな疑惑が首をもたげる僕。

そしてこの度、文庫ではありますが、紙の本を数冊書いました。

やはり手に持った感じが「らしく」って良い感じ。
老眼鏡をかけて、少しずつ読んで行くのです。

まあ、せっかく手に取って読み始めたのだから、ついつい頁をめくる手が進みます。

ただ、ちょっとお茶を取りに。
うん?トイレ行くか。

となると、栞を取り頁に挟んで本を置く。
この動作が億劫になるのですよ。


なんだろう。
便利になりすぎちゃったよ。

こうやって、技術はどんどん進化して、凄く便利にはなるのだけれども。

人間の気力・体力は、益々退化するのではないかしら。


若かりし中坊だった頃の僕は、それはそれは器用だった筈。

親がいないのを確かめながら、箪笥の後ろから禁断の本を取り出す僕。
そして頁をめくりながらハアハアと。
手には…。


おっと…。
誰か来たようだ。


ではまた。