母と話した。
近所のおばちゃん、元気かなって。

子供の頃、近所のおばちゃんがうちに来る。
顔中あざだらけ。
血まみれて来る。
昼夜を問わずに。

ただ事ではないと子供ながらに可哀想にと思った。
おばちゃんにはお子さんが三人いて、お姉ちゃんは看護師として病院の寮に住んでる。
長男は私よりも一つ年上。
次男は二つ下。

痛い思い出がある。
中学一年のときだったかな。
おばちゃんの長男と、如何わしい雑誌を見ているところにおばちゃんが踏み込んできた。
めちゃくちゃ怒られた後、こんな本見るんやったらおばちゃんの裸見ときっ!
あまりの形相に、どうしようかと真剣に悩んだ。
そして少し期待もあった。
もちろん裸はなし。
やれやれ。

おっちゃんは普段はとても温厚で優しい方でした。
歩いて20分くらいのところにある小さな鋳物工場の職人さん。
良く工場に遊びに行きました。
鋳物工場の砂はとてもきめ細やかで上質な砂だった。
お城を作っても、ちょっとやそっとでは壊れない。
おっちゃんはそんな私をにこやかに見守ってくれた。
ただ、飲む打つ買うは些か度を越していたらしい。

おばちゃんは必死だったろうな。
夜中の3時とかでも黙って入ってくる。
狭いうちの中。
夜の我が家は6人家族の布団で足の踏み場もない。
真っ暗な部屋に黙って入って来て、私のそばに座る。
おばちゃんはいつも私の布団の上で震えていた。
こんなときは声をかけちゃ駄目だ。
それは経験でわかった。

おっちゃんが末期ガンだと診断された時、私はようやくおばちゃんが自由になれると喜んだ。

でも、おばちゃんはずっと泣き崩れてどうしようもない。
本当に不思議だね。
昔の人は、好き同士で結婚なんて出来なかったってね。
お見合いでチラッと面影を見て、次に会う時はもはや結婚式。
それも近所の名士のご自宅でね。

でも、一生添い遂げようと固く誓うんだろね。
生涯この人を守ろうと。

おばちゃん、おっちゃんがなくなるまで離れなかったって。

なんだかんだ言ってもね。
そんなもんだよね。
夫婦って。

いいな。
素敵だな。