元妻が出て行ったのは、確か2001年9月のことだ。
娘のぷりんは、はっきりと日付まで憶えている。
元妻は嬉々として、そそくさと私とまだちいさかったぷりんを捨てて出て行った。
その日、ぷりんが義母宅から帰ったときにはもう既に元妻はいなかった。
自分の気持ちが揺らがぬよう、ぷりんの顔を見たくなかったのだろう。
自分が不倫をしておきながら、出て行くときは散々悪態をついて出て行った。
それでも最初は元気にしているかな、さみしくしていないかなとか、いろいろ心配したものだ。
ぷりんには、当初嘘をついていた。
「ママはお仕事で遠いところに行ってるんやで。」
いつかきっと帰ってきてくれると信じていた時期もあった。
最初出て行くときは、もう不倫相手とは別れたが、一人になりたい。
もっと遊びたい。
妻であり、母であるよりも、女でいたい。
あんたとはもう終わったんや。
なんてね。。。
ついては、一人暮らしをするのでアパートの敷金24万円をよこせと言う。
私も今思えばバカだった。
「盗人に追い銭。」
24万円を借金でまかない、元妻に渡した。
「いつか返す。」
嘘とはわかっていたが。。。
ホントにバカだ。
最初の一年は、3人で遊園地に行ったりもした。
だが、一年ほどたったある日のこと、3人で食事に行ったときだった。
元妻は、別れたはずの不倫相手と一緒に住んでおり、ぷりんを引き取りたいと言い出した。
もちろん私はブチ切れた。
もうぷりんとは会ってはならないとも言った。
元妻は泣きながら帰って行った。
それ以来もうずいぶんになるが、元妻と話しらしい話しもしていない。
近所に住んでいるので時々顔を合わせることがあるが、どちらが悪いことをしたのだろうかと思うくらいふてぶてしい態度だ。
ぷりんとはしょっちゅう遊びに行っているようだが、ぷりんがそれで幸せならいた仕方あるまいと思い、したいようにさせている。
しかしもう、ぷりんもそろそろ巣立ちの時。
私もそろそろ自分の将来を考えねばならない。
そうしなければ、ぷりんの自立の足手まといになることは間違いないだろう。
もちろん、ぷりんが成人するまではぷりんが第一である。
なぜ、いままで元妻にこんな仕打ちを受けてまで、同じ姓を名乗らせたのだろうか。
なぜ、もっと早く悪縁を断ち切らなかったのだろうか。
鏡を見ながらこれまでのぷりんとの生活を振り返る。
私は間違いなく幸せだった。
ぷりんも本当にまっすぐに、純粋に育ってくれた。
時々喧嘩もするけれど、私のことを大好きと言ってくれる。
最高に幸せだ。
さて。。。
そろそろ。。。
しかしぷりんの笑顔が辛かったすべてを忘れさせてくれる。
ぷりんやい、ありがとね。