報文紹介「昆虫中の微量元素のデータ」

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 組成調査シリーズを展開していたが、恐らく今回が最終回。

 今までに調べてまとめたのは以下のとおり。

● 木材中の微量元素データ

● 主な添加剤の微量元素データ

● キノコ(ヒラタケ)の微量元素データなど

 今回のものは、昆虫に含まれる微量元素のデータ。

 これが調べられている背景としては食料不足問題があり、タンパク源として”昆虫”を食するために栄養学的な観点で調べられている。

 そこで今回紹介する報文は以下のとおり。

 Title: Review; Nutritional composition and safety aspects of edible insects
 Authers: Rumpold BA, Schlűter OK.
 Journal: Molecular Nutrition & Food Research, Vol.57, pp.802-823
 Year: 2013

 これは総説であり、多数の昆虫のデータが紹介されていた。

 またテーマが昆虫食であるため、ここで紹介する微量元素のデータ以外にも、タンパク質・脂肪、アミノ酸、脂肪酸やビタミンのデータが掲載されていた。

 そのデータの中から、ここではクワカブが含まれる甲虫類の微量元素のデータのみを抜き出してみた。

 まずは余談として、今回の紹介から除外された昆虫の種類とデータ数は以下のとおり。

イメージ 1

 次が本題の甲虫類についてのデータ。

 注意事項としては、昆虫は飼育条件によって、その栄養状態が変化するため、ここで挙げられたデータは、単なる一例であり、野生/飼育の違いや、飼育環境の違いによって、組成は変化することには留意が必要である。

 では、数が多いので二つに分けて掲載。まずは一つ目。

イメージ 2

 ここにはカブトムシが含まれており、ナイジェリアの野生の昆虫のデータである。

 なお、昆虫として幼虫なのか成虫なのか、記載がないものが多々あった。
 しかし、昆虫食であることを考えると、甲虫類については成虫は硬くて食べにくいので、注釈がないものは恐らく幼虫であろうと思っている。

 また、図の脚注に記載したとおり、総説の中では、ナイジェリアの野生昆虫についてはミネラル分が少なく、その原因としては栄養状態が悪い可能性があるようだ。

 また、図の下の方には文献の識別を記載しており、同じアルファベットのものは同じ文献に掲載されているもののため、同じ条件で測定されている可能性が高い。

 次は二つ目。

 ここでは、アメリカで(恐らくペットの食用として)飼育されている甲虫類たち。

イメージ 3
 ミールワームは幼虫と成虫のデータがあったり、幼若ホルモン様物質(pyriproxyfen)処理して蛹化を阻害し、大型化させたもののデータも含まれる。

 ちなみに、総説の結論的には昆虫を人間の食料とした場合には、おおよそ栄養バランスがいいものの、ナトリウムが少なめである。また、カルシウムが不足しているため、別途、補給が必要なようである。