報文紹介「森の危険な生物シリーズその5:ヤマビル」

 雑誌「森林科学」に掲載されていた森の危険な生物たちのシリーズの中から過去に、スズメバチ類、マダニ類、毒蛇類、イノシシを紹介しており、これが第五弾となる。
 
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師匠からは、このシリーズにおいて、ムカデの紹介を期待されていたが、ムカデはこの雑誌のシリーズでは取り上げられていなかったため、予告どおり、これで最終である。
 
 今回紹介するのはヤマビルであり、私のイメージでは沖縄など温暖なところや、水生のヒルの話かと思っていたが、本州にもいる陸生のヒルで、ここ最近問題になりつつあり、身近な話題であることが分かった。
 
   題名:森の危険な生物たち7 ヤマビル―日本で唯一の陸生吸血ビル―
   著者:山中征夫
   雑誌:森林科学、
51(10)、pp.43-46
   年代:
2007年
 
 ヒル類は世界に約
650種、日本に約60種が生息しているようだが、日本で人間の皮膚に傷をつけて吸血するヒル類は、ヤマビル(陸生)とチスイビル(水生)の2種類のみである。
 
 ここで説明するのは、陸生生物であるヤマビルであり、このヤマビルの亜種としては、沖縄県石垣島や西表島に生息するサキシマヤマビルと、東京都硫黄島に生息するイオウジマヤマビルがある。
 
 日本産のヤマビルは冷温帯の秋田県から亜熱帯の沖縄県まで広く分布しているが、各地での生息範囲は狭く、また生息密度も低く、かつては一般にはなじみの薄い動物であった。
 
 しかし、今日、千葉県房総半島や秋田県、静岡県、神奈川県、岐阜県、鹿児島県屋久島などでは、ヤマビルの分布域の拡大や個体数の増加が認められ、農林業などの野外作業での被災や、飼い犬や猫などにも吸血被害が頻発し、地域住民の日常生活にも深刻な影響を及ぼしている。
 
 ヤマビルの大量発生が認められる地域では、緊急の防除対策として、殺虫剤などによる化学的防除が試みられているが、落葉や倒木の下に隠れているヤマビルには直接的な効果はない。
 
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ヤマビルの概要
・体形はやや扁平な円錐形で、徳利やボウリングのピンに似ている
・体長は産卵可能な成熟した個体で、静止時に
2~3cm、伸長時には約2倍の4~6cmになる
・背面には黒い
3本の縦線があり、体色は赤褐色で、落葉や土の色に似ている
・通常は森林の落葉の下などに隠れ、寄主である哺乳類の呼気(
CO2)・振動、熱・臭いに素早く反応し、体の前後にある吸盤で尺取虫のように寄主に近寄る
・寄主の皮膚に付着すると、細いほうの吸盤のなかにあるノコギリのような鋭い口で皮膚に傷をつけ、口から血液を固めない作用があるヒルジンという物質を傷口に注入する
・傷口にヒルジンが残っている間は、血液の凝固が阻害されるため、
2時間ほど出血が続く
・ヤマビルの吸血による出血も含め、吸血前のヤマビルの体重の約
10倍の血液を人間から奪うことになる。
・傷口からの出血で衣服が汚れたり、傷口からへばい菌が侵入し、傷口の腫れやかゆみなどもあるが、今のところ、吸血による人間への病原菌の感染の報告はなく、この点は唯一の救いである
 
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ヤマビルの増加要因
・寄生動物の増加と天敵の不在が考えられる
 房総半島においても、ヤマビルが大量発生しており、その要因は、まさにこの理由のようだ。
つまり、
30年ほど前まではごく限られた地域にしかヤマビルは生息していなかったが、1975年ごろからニホンジカの禁猟により、ニホンジカが増加し、また活動範囲を広げ、それと連動するように、ヤマビルが増加した
・そのため、ニホンジカなどの大型哺乳類の増加は、ヤマビルの増加を引き起こすことになった
・森林生態系における大型哺乳類の適正な保護管理のあり方とも関係し、山奥から人里に進出したヤマビルの増加防止対策には、現在のところは名案がない
 
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被害防止策
・市販の虫除けスプレーも効果はあるが、安全で簡単で安価方法として、「塩靴下」がある
 これは、ヤマビルはナメクジと同様、塩にはとても弱いためだ
・侵入経路としては、大部分が足元からの侵入で、その他には、地面に置いたリュックサックやヘルメットなどに付き、そこから首筋や頭に侵入することもある。なお、樹上から落ちてくることは滅多にない。
・「塩靴下」の作り方は、厚手の靴下を濃い塩水につけ、それを取り出して軽く絞り、天日で干せば完成である
・着用の際は、必ず「塩靴下」をズボンの上にたくし上げることが重要
・吸血された場合は、傷口を消毒し、できれば吸引器などで傷口からヒルジンを吸い出し、素早く絆創膏などで傷口を塞ぎ、傷口からのばい菌の感染を防ぐ
・これは、吸血による人間への病原菌の感染はないが、森林の土壌中には破傷風菌がいるため。
 
 以上が本題である。
 
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 本日のマンホールは、大阪府門真市。
 これは、アカモビ提供のもの。
 カラーバリーションが豊富なものを選択した。
 
 マンホールはこれら。
 
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モノクロのもの、サツキ(市の花)
 
 これが、カラー版になるとこんな感じ
 
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 他にも、赤色バージョンや、市章入りの普通のマンホールの赤バージョンもある。
 
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 これらのマンホールも、マンホールギャラリーのブログ(下記リンク)に追加させて頂きます。
 
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