報文紹介「森の危険な生物シリーズその1:スズメバチ類」
先日、(恐らく、オオ)スズメバチにくるぶしの上のあたりを刺され、その後
1週間以上経過したものの、まだ完治していない。
面白いのは、刺された患部よりも、その下のくるぶしが非常に腫れ、それが原因で、刺された翌日はスムーズに歩くことができず、足を引きずって歩いていた。
その後、刺された患部はすぐに腫れが治まり、今ではややしこりが残っている程度である。
しかし、くるぶしの腫れは、引きが遅く、未だに違和感がある程度に腫れている。
このため、スズメバチに刺されたときの対処などの知見を今更ながら調べていたところ、日本林学会の学会誌「森林科学」で、“森の危険な生物たちシリーズ”でスズメバチが取り上げられていることが分かった。
また、このシリーズは
2006~2009年の間に14回に亘って、他にもマダニなど、いろんな危険な生物が紹介されていたので、クワガタ採集に関連しそうなものについて、これからも取り上げて行こうと思う。
勿論、トップバッターはこれ。
題名:シリーズ 森の危険な生物たち2-スズメバチ類
著書:牧野俊一
雑誌:森林科学、
46(2)、pp.48-51
年代:
2006年
厚生労働省の「人口動態統計」によると、各種生物との接触による死因の中で、「スズメバチ、ジガバチ及びミツバチとの接触」が、毎年
30人前後で推移している。
これらの死亡例のほとんどはスズメバチやそれと近縁なアシナガバチ(ここでは、これらをスズメバチ類としている)によるものと著者は考えている。
そして、有毒動物である「毒ヘビ及び毒トカゲとの接触」による死亡数(
10名程度/年)を常に大きく上回っている。
攻撃性について
危険視されている要因として、外敵に対する働きバチ(ワーカー)の攻撃性と強力な毒液が挙げられている。
ワーカーは、自己を防衛しているのではなく、巣を守っている。
そのため、巣から離れて餌や巣材の採集に従事しているワーカーは攻撃性に乏しい。
しかし、オオスズメバチだけは、樹液浸出部などの餌場を占領すると、自巣と同様に防衛するので、樹液場でも要注意となる。
大型のスズメバチ属の場合は、攻撃対象の周囲をホバリングし、大あごをかみ合わせて「カチカチ」と警告音を鳴らす。
運悪くハチの巣を刺激し、多数のワーカーに襲われた場合、できるだけ遠くに逃げるのがよい。
最も攻撃性の強いオオスズメバチで追撃距離が
80mくらいであり、他の種類ではもっと短い。
遠くに逃げられない場合には、可能な限り、巣から離れ、頭部などを布で覆い、身を低くして少しずつ巣から遠ざかるのがよい。
(追記(2011.10.11):ただし、速く動くものには、ハチが反応するので、ゆっくりと移動する必要がある)
頭部を覆うのは、頭部を刺されると全身症状(後述で紹介)の出る確率が高いという報告があるからのようである。
興奮したワーカーは、黒い物体に対して異様に強い攻撃性を示し、体当たりしてくるので、髪の毛の露出など、注意が必要である。
一方、白や黄色の物体には、攻撃性が低いようである。
刺されたら直ちに毒を吸い出すのが、腫れ防止に効果的なようであり、専用の器具がある。
ハチ毒について
ハチ毒は、アミン類、酵素類、低分子ペプチドからなる混合物である。
アミン類にはヒスタミン、セロトニンなどの発痛物質、ペプチドにはハチ毒キニンがあり、巣を狙う捕食者を痛みによって撃退するという特徴が顕著である。
刺されてから数時間ほどで局部が腫れあがり、数日続くようである。
また、毒液には揮発成分が含まれ、それが警戒フェロモンとして巣仲間を攻撃に駆り立てることが知られている。
さらに最近、ジュースや化粧品に含まれる芳香成分のなかに、オオスズメバチの警告フェロモンに含まれる物質が入っていることが明らかになったようだ。
ハチ毒アレルギーについて
ハチ毒は、痛みだけではなく、アレルギー反応により全身症状が起こることがある。
症状として、蕁麻疹、発汗、失禁、悪心や嘔吐などがあるが、最も重篤な場合には激しい血圧低下、意識喪失などを伴うアナフィラキーショックにいたる。
ハチ刺されによる死亡事故のほとんどは、これによるものであり、直接の死因の多くは、上気道浮腫による窒息死のようだ。
なお発症は、接触から短時間(
1時間以内のことが多い、別の報文では30分以内)で起こるようであり、別の情報では、発症時間が短いほど重篤になる可能性が高いようである。
「ハチに刺されると
2回目以降が危険」とよく言われている。
たしかにアレルギー反応は、一旦、抗原に感作して体内に抗体ができることが必要なので、間違いではない。
しかし、
IgE抗体の作られやすさには、個体差があり、アナフィラキーショックの発症や全身症状の強度には、その他にさまざまな要因が関与している。
したがって、どんな人でも
2回目以降に危険性が高まるというわけではないようである。
また、アナフィラキーショックに陥ると、短時間のうちに全身の血管が拡張し、血圧が極度に低下して危険な状態になるので、現在では自動注射器を、医師の処方があれば一般にも使用できるようになっている。
ちなみに、アナフィラキーショックは、ハチ毒だけではなく、食べ物、薬物などもあるようだ。
最後に
以上で説明したとおり、ハチに刺された場合には、痛みを伴い、またアレルギー症状の可能性がある。
これよりも恐ろしいことは、パニックになったときの二次災害のようであり、樹上などの高所や急斜面でのパニックは重大な事故をもたらすので要注意であり、(困難なことは承知の上で)冷静に振舞うようにと書いてある。
所感
実際にハチに刺されて分かったことは、ハチ刺されは、注射の一刺しよりも痛みが大きく、また数時間持続するので、刺された場合に冷静さを保つことは、やはり難しいように思われる。
また、私のハチ刺されの症状を解析すると、このようになる。
刺された後の腫れの引きが遅く、
10日以上を要した(通常は数日で引く)ため、その間は、ハチ毒の炎症が持続していたと考えられる。
これは、体内にそれだけの期間、ハチ毒に対する反応があったことを意味し、すなわちこれは、抗体が作られた可能性が、通常よりも増したことが想定される。
したがい、次にハチに刺された場合には、自分の身にアレルギー反応が起こる可能性について、やはり注意が必要である。
そのときに注意するのは、発症の時間であり、短い時間での発症の場合には、危険が伴うことを留意しようと思う。
今になって後悔していることは、ハチ刺されの後には、病院に行き、炎症を抑える処置をしてもらっておれば、この懸念は少しは緩和されたに違いないと思っていることだ。
ハチ刺されには注意して頂くとともに、事後の対処も忘れずに。
次のこのシリーズでは、“マダニ”を紹介する予定である。
以上が本題である。
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本日のマンホールは、富山県富山市。
富山県は、これが初めてである。
これは、ちなみさんから、ご提供頂いた。
画像のご提供は非常にありがたいことである。
↓ マンホールはこれ。
(アザミ(市の花)がカラフルに配置されている)
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