報文紹介「ホワイトアイとなる原因」

 先日、教科書的な本から内容を抜き出し、「カラーアイの仕組み」を書いた。そこで、いろんなコメントや質問を頂き、カラーアイについて、まだまだ勉強不足であることを思い知らされた。
 
 そこで、もう少し踏み込んで調べてみたところ、面白い報文を発見したので、ここで紹介させて頂く。それが、下の報文である。なお、この報文も、題名をコピペしてネットで検索すると、オリジナルが得られる。
 
 
  題名:カブトムシの白色眼突然変異体
  著者:原田昌晃、中谷勇、久保田伸夫
  雑誌:Bull. of Yamagata Univ., Nat. Sci., Vol.16, No.2, pp.39-45
  年代:2006
 
 さて、この報文で余分なところは割愛し、ポイントを列挙することにする。また、ここでは文字だけであるので、必要に応じて、オリジナルをご覧になればと思う。
 
①遺伝
(既にご存知のことと思うが、)複数の検体で飼育した結果、ホワイトアイは劣性遺伝である。
 
 
②仕組み
ホワイトアイとなる原理は、眼のクチクラ層に接するところにあるべきメラニン色素が欠損しているため、眼が白く見える。
メラニン色素がないということは、所謂、アルビノ個体とも言えるだろう。
 
 
 さて、ここからは、私の独り言。
 
 カラーアイの仕組みで書いた朱眼の原因は、オモクロム色素の欠損であり、この色素はメラニン色素とは別物である。したがって、カラーアイとひとくくりにされているが、メカニズムが異なるものが纏められている可能性がある。
 残念ながら、クワカブのレッドアイの仕組みまでは確認を取ることはできなかった。
 
 他の方のブログを拝見すると、ホワイトアイとレッドアイを掛け合わせたF1は、ブラックアイのみなので、この知見を信じるならば、白眼と赤眼ではメカニズムが異なることが推察される。
 
 このメラニン色素の役目としては、複眼の場合、一つの眼に入ってきた光(像)が隣の眼に拡散して入ってこないような遮断効果があるようだ。したがって、このメラニン色素の無いホワイトアイの昆虫の眼は、あちこちの眼から光が混入することから、昆虫はどのような像が見えているのだろうか?
 
 とは言っても、カブトムシは夜行性の昆虫であり、もともとそれほど目が見えている訳ではないと思われる。したがって、ホワイトアイのカブトムシにとってはそれほど問題ではないのではと、個人的には思っている。
 
 クワカブを採集するとき、気をつけることとしては、音を出さない、(赤色光以外の)光を当てないことがポイントであり、実感としても、クワカブはトンボや蝶々などの昼行性昆虫ほど、見えていないとの経験がある。