カラーアイの仕組み

 私はホワイトアイのカブトムシとオオクワガタや、レッドアイのパラワンオオヒラタを飼育しており、基本的にカラーアイが好きである。
 
 そこでそのメカニズムには非常に興味があった。その一端が分かったので、ここで紹介させて頂く。いや、これは私の備忘録であるため、記録することにする。
 
 ここ最近、ホルモン関係の勉強をするために、一番下に記載した参考文献を購入し、専門用語を勉強していた。その本を本日、昆虫雑誌代わりにパラパラと眺めていると、カラーアイについての内容を発見したのだった。
 
 この内容は、ショウジョウバエについての話である。正常なショウジョウバエの眼色は赤褐色であり、これは水溶性の赤色色素と、不溶性の褐色色素(オモクロム)を含んでいるためである。
 
 そこで、突然変異による朱色眼のvermilion (v )とcinnabar (cn )の系統について調べてみると、いずれもオモクロムの色素を合成できないことが明らかになった。
 
 この色素のオモクロムは、アミノ酸であるトリプトファンから、下図のような経路で合成されるが、v 系統ではキヌレニンを合成する酵素(トリプトファンピロラーゼ)がなく、cn 系統ではキヌレニンは合成できるが、その次の酵素(キニレニンヒドロキシラーゼ)がないためにその後の代謝が進まず、色素であるオモクロムが合成できないことによることが分かった。
 
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 ちなみに、v cn の染色体マップは既に分かっており、キイロショウジョウバエの染色体地図を読んで見ると、v は第1(X)染色体の33.0の位置に、cn は第2染色体の57.5の位置にある。
 
 また白眼(w )についても、地図上に書いてあり、第1(X)染色体の1.5の位置にある。
 
 なお、遺伝子記号のアルファベットにはルールがあり、大文字で始まるものは優性形質、小文字では劣性形質のようだ。
 
 また、雄はX染色体を1本しか持っていないため、X染色体上に劣性遺伝子が生じると、その形質が発現することになる。したがい、キイロショウジョウバエでは、ホワイトアイやレッドアイが多そうである。
 
 キイロショウジョウバエでの遺伝子解析が進んでいるため、このような知見が古くから得られているようだ。クワガタムシやカブトムシの同様の手順を踏めば、いずれはカラーアイ遺伝子だけではなく、大あごや角の伸張に関係する遺伝子も分かってくる時代が来るかも知れない。
 
【参考文献】
松香光夫ら著、昆虫の生物学[第二版]、玉川大学出版部
 
 
関連内容:「ホワイトアイとなる原因」、「レッドアイなどのカラーアイ 最新情報」