映画『害虫』 | From Rabbit House

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RSR2022ナンバガ『I Don't Know』で、ちょっと触れたけれど映画の『害虫』・・・十数年ぶりに観ました(以下、敬称略)

 

2022年は映画公開から20周年ということで、なんとリバイバル上映もあったんだそう気づき

 

 

「久しぶりに観たいな、どこかにないかな?」と探したら、YouTubeにあったので消される前に視聴。

 

懐かしさもありましたがラストを覚えていなかったので「ああ、こういう終わり方だったんだなぁ」と。

 

 

「宮崎あおい」と「蒼井優」のWあおいが中学のクラスメイト役で共演しているのが見所のひとつ ラブラブ

 

あと当時は あまり有名ではなかった俳優陣も、ちょい役で多々登場。

 

(光石研・大森南朋・木下ほうか・伊勢谷友介・寺島進など)

 

 

以下ネタバレ有り。

 

※※※※※

 

母子家庭で暮らす北サチ子(宮崎あおい)は、母親(りょう)の自殺未遂が原因で学校で噂を立てられ不登校に。

 

常に彼女は、あらゆる男性から性的対象として見られている。

 

少女らしいサラサラで綺麗なロングヘアと、制服のミニスカートから覗く細長い足が魅力的で私でも惚れる。

 

 

小学校6年の時の担任である緒方(田辺誠一)とも噂があり、彼は教師をやめ原発で働いている。

 

現在の二人の手紙でのやり取りが劇中に度々挟みこまれる。

 

 

そんな中、“当たり屋”などで金を稼ぐ青年タカオ(沢木哲)と浮浪者キュウゾウ(石川浩司)に出会う。

 

特にキュウゾウと仲良くしたのはサチ子を唯一 性的な目で見ていない男性だからなんだろうなとも思う(クールなサチ子も彼の前では満面の笑顔を見せている)

 

 

学校をさぼって彼らと なんとなくダラダラ過ごすものの 急にタカオもキュウゾウも姿を消し、夏子(蒼井優)の声かけによってサチ子は学校に通い始める。

 

しかし母親の恋人(天宮良)からのレイプ未遂事件が起こる(たまたま家に夏子が訪問したことによって未遂で終わる)

 

帰宅した母親は、またもや精神が崩壊するのだった。

 

 

再び学校へ行かずにキュウゾウとつるんで「実験(悪事)」は日に日にエスカレートする。

 

火炎瓶を投げ、炎に包まれる家。

 

そこでようやく我に返って、自分のしたことの重大さに気付くサチ子。

 

 

説明がなかったので私はサチ子自身の家だと思っていたのだけれど(よく見れば確かに階段も坂もないし違うと分かるんだけど)

 

どうやら夏子の家とのこと。

 

この映画は「会話」や「状況説明」が少なく、分かりづらい部分も かなり多い。

 

 

優等生の夏子が内心、偽善者に思えて うざかったのだろうか?

 

(サチ子は知っていて夏子の好きな男子と付き合ったりもする。それに夏子のせいで学校に通ってないことが母親にバレるし

 

レイプ未遂事件が学校に広まったのも、そもそも現場にいた夏子以外に知っている人間はいないわけだし)

 

 

サチ子は緒方(元担任)に会いに向かうも、トラブルで待ち合わせ場所に来られない緒方。

 

ひとり喫茶店で待ち続けるサチ子は風俗まがいの男(伊勢谷友介)からの誘いで車に乗り込み、走り出した所に緒方の車が!!

 

 

ここで車を下りていれば まだ救われたのかもしれないのに、サチ子は後ろを振り返るも「なんでもない」と言い、

 

覚悟を決めた(全てから決別する)ように じっと前を見据える。

 

※※※※※

 

 

 

思春期特有の危うさや閉塞感、鬱屈した もやもやした感じ、その雰囲気はうまく描かれている(思春期 詰め込みましたって感じの『リリイ・シュシュのすべて』には、遥かに劣るけれども)

 

劇中、BGMがなく(エンドロールですら無音の中 サチ子の鼻歌が流れる)

 

所々ノイズ(電球を割る音・夜の荒れる海の波音・ドラム缶を叩く音・犬の鳴き声・車のクラクション・ビー玉が床に落ちて転がる音・机を引きずる音など)が差し込まれ

 

そして更にナンバーガールの曲が相乗効果で不安高揚感を掻き立てる。

 

 

不遇な家庭環境や好奇の目にさらされる状況、人との出会い、物事のタイミングによって、人生は簡単に変わってしまうんだなと。

 

最後は自ら破滅の道に足を踏み込んでしまったけれど、彼女の心(感情)が常に見えず淡々と描かれているのが逆に恐ろしい。

 

13歳にして全てを諦めてしまったのか。

 

 

ちなみにタイトルの『害虫』とはサチ子の周りの大人(男)のことではなく、監督によればサチ子自身のことだそう。

 

害虫は自らが他者に害を及ぼしているとは微塵も思っていない。

 

ただ生きているだけで周りを巻き込んで不幸にしてしまう“ゴジラ”のような少女サチ子そのものが害虫だということらしい(←酷い。でもそういう人って、まれにいるんだろうな)

 

 

興味をもたれた方は、どうぞ(フル動画です)下矢印