怪物團 | From Rabbit House

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『見世物小屋』が舞台になっている映画を2本観ました。

 

2本とも100年近く前の白黒映画。

 

1本目は『怪物團』と邦題が付けられている『FREAKS』

 

 

こちらは実際の障がい(奇形)者がキャストとして出演されています。

 

なので賛否両論あったそう(アメリカ映画だけれども、イギリスでは30年も公開禁止だったとか)。

 

 

上はポスターのようですが、メインは健常者である2名(クレオパトラとヘラクレス)が大々的に描かれていて

 

上部(モノクロ)に小さく障がい者がいるのですが、障がい者と一見すると判らないような方が載っています。

 

 

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主人公は小人症の男性ハンス(↑ポスターの上部真ん中の黒い服を着ている男性)と美女クレオパトラ(以下クレオ。↑ポスターのメイン)

 

 

サーカス団の花形 美女クレオはハンスを誘惑する。

 

ハンスはクレオを好きになり、なんと婚約者(こちらも小人症)別れて「クレオと結婚する」と言い出す。

 

 

実はハンスは遺産相続で莫大な財産を手にし、金に目がくらんだクレオはハンスと結婚して

 

毒を盛って殺害しようと企てていたのだ。

 

 

結婚式の祝宴の席でハンスやサーカス団の仲間(障がい者)達を侮辱する美女クレオと その恋人ヘラクレス(健常者。↑ポスターでメインに描かれている)

 

を盛られたハンスは一命をとりとめるが、彼と仲間達(障がい者および健常者の仲間もいる)

 

クレオとその恋人に復讐しようとする・・・といったストーリー。

 

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いわゆる勧善懲悪・因果応報の物語。

 

とはいえ、主人公は婚約者を捨てるので良い人ってわけではないんだけれども。

 

(そこがモヤモヤポイント。でもだからこそ人間臭いし、ハンスを単なる可哀想な障がい者として見なくなるから、うまい手法だな・・と)

 

 

障がい者を一応「善」として描いているので、皆とても魅力的です。

 

特に主人公ハンスと婚約者フリーダは、こう言っては失礼かもしれないけれど

 

見た目が子どもみたいに小さくて声も高くて とってもキュートラブラブ

 

実際、きょうだい(ハリー・アールスとデイジー・アールス)で恋人役を演じてらしたそうですが。

 

 

彼らの仲間も愛嬌があってコミカルで可愛いです。

 

 

対して美女クレオは分かりやすく「悪」で、猫なで声や祝宴での下品な笑い方など実に嫌な人間を演じている(観ていてイライラする)

 

 

最後は美女クレオは醜い顔体は鳥?になってしまうし(←これが、あんまりよく分からないけど。どうやら、そこに至るシーンが数十分?カットされているらしい)

 

主人公ハンスと婚約者は結局は、やり直すことに・・一応ハッピーエンドなのかな?

 

 

このお話、主人公の婚約者フリーダが一番可哀想だった。

 

表情がなんとも辛そうで・・。

 

ハンスを心配して、身を引いて、でも愛していて、全て許して。

 

 

ハンスも婚約者を捨てて見た目の良い美女に心変わりしたんだから、

 

ある意味罰が当たった(毒を盛られた)のも仕方ないっちゃ仕方ない(もちろん人殺しはダメ!絶対!)

 

これはこれで因果応報だと思うんだけれどもね。

 

あ、違うか。元婚約者が毒を盛るなら因果応報になるかなw

 

 

・・・って思っちゃうぐらい、障がい者だなんだって関係ないぐらい

 

普通に現代社会に、自分たちの身の回りの出来事に置き換えられるような描かれ方だったので、健全っちゃ健全です。

 

 

それでも「こんな障がい者を見せ物にするなんて、こんな映画は流すべきじゃない!!」なんて

 

中にはトンチンカンなレビューもあったけれどね。

 

差別だなんだ言ってる人間が一番 差別的だって解らないんだろうか?

 

 

ほかに数名「海外版『少女椿』だ」って言っている人もいたけど、

 

確かに『少女椿』など丸尾作品には こんな障がい者(四肢欠損者)などが たくさん出てきます。

 

健常者である「みどりちゃん」が いじめられたりするしね。

 

 

私は子どもの頃からそういった物に(漫画ではあるけれど)触れていたので

 

障がい(奇形)者は目を逸らすものでも蔑むものでもない、

 

ごく普通の当たり前の健常者と同じ人間だと、ごくごく普通に当たり前に思っています。

 

 

邦題の『怪物團』怪物とは なんぞや?

 

サーカス団の障がい(奇形)者達?

 

障がい者を侮辱するクレオパトラやヘラクレス?

 

醜い姿となったクレオパトラを観て慄いた観客達?

 

 

答えは映画の冒頭にある見世物小屋の興行主のセリフ。

 

「ウソではありません

 

まさに生きた怪物が ここにいるのです

 

人は彼らをあざ笑い その姿に震え上がる

 

だが これはあなた方にも 起こり得たことです」

 

 

先天的あるいは後天的に障がい者になりうる可能性は誰にでもあるということ。

 

そして その障がい者を怖がったり差別したりする、その卑しい心そのものが怪物

 

誰にでも その怪物は棲みついているということ。

 

 

 

アマプラ等で鑑賞できますので、興味をもたれた方はどうぞ。

 

1時間ちょっとと短いので見やすいです。

 

 

↑空中ブランコに乗っているのが美女クレオパトラ。

 

※下の下半身欠損の男性は主人公ではありません。

 

 

 

2本目は、ずっと観たかった『カリガリ博士』

 

ですが、『FREAKS』が長くなってしまったので、こちらは また改めて。