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天候は昼間から思わしくなく、雨が落ちてこないことだけを玲斗は祈っていたのだが、どうやらその願いは◯◯。
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(東野圭吾著『クスノキの番人』より一文を抜粋)
あなたはこの夜、果たして雨が降ったと思いますか? それとも降らなかったと思いましたか?
一般的には、「だが」や「しかし」は逆説の接続詞。直前に語られたこととは正反対の文章がこのあとに続くのがセオリーですよね。
◇で囲った先の文であれば、「雨にならないことを祈っていた」の正反対であるわけですから「残念ながら雨粒が落ちてきた」ですよね。多くのかたがこう予想したのではありませんか?
ところが、さすがは東野圭吾さん。
セオリーを無視し、非逆説的接続詞としてしまいました。
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天候は昼間から思わしくなく、雨が落ちてこないことだけを玲斗は祈っていたのだが、どうやらその願いは叶えられたようだ。
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めちゃめちゃ驚きました。生憎の雨が振りだしたのだな、と想像した私は、同時にこのあとの展開までをも予想。二人で大きなクスノキの洞で雨宿りをして、そこで……。
なんということでしょう。雨、降らなかったんかい!
青天の霹靂とはまさにこのこと。
ただでも。
この結果を受け私の中に生まれたのはフラストレーションなどではなく、「やられた!」という、最高のオチを楽しめた爽快感のみ。ショートショート(短い小説)で味わうことのできるあれです。
すみません。
十万字を超えているであろう長編小説の中のたった一文にこれほどまでに強い反応を見せてしまって。
いやはや、本当にすごい衝撃を受けてしまって。語らずにはいられなくなってしまいました。
物語もいよいよ終盤。返却期限までに読みきるぞ!