リヴァプールがニューカッスルからアンドリュー・キャロルを、アヤックスからルイス・スアレスを獲得し、チェルシーはそのリヴァプールからフェルナンド・トーレスとベンフィカからダヴィド・ルイスを“強奪”。マンチェスター・シティーはヴォルフスブルクからエディン・ジェコを買い上げて後半戦に備えた。

1月の移籍市場では例年以上に多くの大型移籍が成立した。そんな中でユナイテッドは静観を貫いた。ライバルを抑えてリーグタイトルを奪還するためには、彼らに負けないほどの補強が必要に思われる。しかし、首位のユナイテッドは移籍期限となる1月31日まで動かず、現有戦力で戦い抜くことを決めた。

厳密にはこの冬にアンデルス・リンデゴーアを補強している。だが、これは戦力強化というより、先行投資の意味合いが強い。リンデゴーアは今シーズン限りでの引退を発表したエドウィン・ファン・デル・サールの後継者候補。立場としてはトマシュ・クシュチャクと2番手の座を争うベンチ要員で、実質的には来シーズン以降の戦力だ。

では、この冬に有力な獲得候補に挙げられていたレアル・マドリーのラサナ・ディアラやペペ、バイエルンのバスティアン・シュヴァインシュタイガーやサンダーランドのジョーダン・ヘンダーソン、そしてポルトのフッキやスアレスの獲得をどうして見送ったのか。クラブの財政難が深刻だったためか、それとも交渉が不調に終わったためか。現有戦力を分析しつつ、補強が見送られた理由を考察してみよう。

まずはオーウェン・ハーグリーヴスの長期離脱により人員不足が懸念されるセントラルMF。このポジションはアンデルソンの急成長により補強の必要がなくなった。ハーグリーヴスは豊富な運動量と堅実な守備でチームに安定感をもたらすボランチで、つい数カ月前まで同じ働きが期待できるのはダレン・フレッチャーだけだった。それが今シーズン、アンデルソンが彼らと同等のパフォーマンスを見せ、中盤からチームを支えている。

アンデルソンは元々ハードワークができる選手だったが、今シーズンはポジショニングや飛び出しのタイミングが一段と向上。攻守に存在感を放っている。この成長を受けてクラブは1月に新契約を提示、2015年まで契約期間を延長した。セントラルMFは現状、アンデルソン、フレッチャー、ポール・スコールズ、マイケル・キャリックの4人をローテーションで起用し、故障者が出た場合は若手のダロン・ギブソンを代役として抜てき。人材難どころか最も充実したポジションであり、補強の必要性は感じられない。

次にサイドMF。このポジションはケガ人が多く、大ベテランのライアン・ギグスに“超過労働”を強いている状況で、昨秋からトッテナムのギャレス・ベイルやアストン・ヴィラのアシュリー・ヤングなど多くの名前が獲得候補として紙面を飾っていた。年末年始の過密日程の中でチームはナーニ、アントニオ・バレンシア、パク・チソンが欠場。その中でギグスはほぼ全試合に出場していたが、37歳という年齢を考えると明らかなオーバーワークに見える。

しかし、アレックス・ファーガソン監督は「ライアンの起用法については賛否両論あるが、私は適切な使い方をしている」と主張。実際、ギグスは全く疲れが見せず、多くのゴールとアシストを記録してチームを勝利に導いている。そしてこの好調ぶりを受けて、クラブはギグスとの契約を1年間延長。“生ける伝説”はクラブの最多出場記録を更に伸ばしていくことになりそうだ。

最もハードな時期に多くの主力を欠き、ベテランにハードワークを要求しながらチームはリーグ戦で首位の座をキープ。その間、ガブリエル・オベルタンやベベといった若手もまずまずの活躍を見せた。そこにナーニに続いてパク・チソンが戦列に戻り、半年以上離脱していたバレンシアも間もなく復帰してくる。この陣容に新戦力を加えてどれだけのメリットがあるだろう。このポジションもまた補強が必要とは思えない。

続いて最終ライン。ここも緊急に強化すべきポジションはない。リオ・ファーディナンドの復帰により安定感を取り戻した守備陣は質量ともに充実。パトリス・エヴラのバックアップ要員が不足しているとの指摘もあるが、これも戦列復帰したジョン・オシェイで十分にカバーできる。

また、ぺぺを筆頭に多くの獲得ターゲットが挙がったセンターバックも、ファーディナンドとゲームキャプテンのネマニャ・ヴィディッチに加え若手のクリス・スモーリングとジョニー・エヴァンス、更に万能型のオシェイとウェズ・ブラウンが控えており、あと数年は安泰と見て間違いない。

最後に前線。2カ月前のメンバー構成を考えると、クラブは本気で補強を考えていたかもしれない。だが、この2カ月間で状況は大きく変わった。絶不調のウェイン・ルーニーが徐々に調子を上げ、ルーニーの復帰でバックアッパーに降格したハビエル・エルナンデスも腐ることなく貴重なゴールを連発。故障が長引いていたマイケル・オーウェンも1月29日のFAカップ4回戦、サウサンプトン戦で復活のゴールを決めた。序盤戦から怒とうのゴールラッシュを見せるディミタール・ベルバトフも勢いに陰りは見られず、指揮官はフェデリコ・マケーダの放出が間違っていなかったことを見事に証明してみせた。

1月の補強を控えたとなると、「やはり財政難なのか」とネガティブな話題が先行しそうだが、今回に限っては補強個所が見当たらなかったため見送ったに過ぎない。ファーガソン監督は現陣容に絶対の自信を持っているからこそ静観を貫いた。その判断は間違っていないと思う。

個人的に心配なのはこの冬よりも次の夏。それも、補強面ではなく“現有戦力”の動向についてだ。マケーダを始め、ダニー・ウェルベックやトム・クレヴァリーといったレンタル組をどうするのか。戦力として復帰できる人数は限られる。いずれも高いポテンシャルを秘めた有望株だけに彼らにはクラブの将来を担ってほしいが、現在の主力を抑えてポジションを勝ち取るのは難しい。ファーガソン監督はいずれ非情な決断を迫られることになるだろう。もっとも、これはうれしい悩みと考えるべきか。それだけ今のユナイテッドが充実した戦力を誇っているというわけなのだから。一時は経営破綻が不安視されたユナイテッドが――少し気が早いが――再び黄金期を迎えようとしている。冬の“補強ゼロ”は前向きにとらえるべきであろう。



----公式より


確かにダニーやトムはどうするのだろうか?

ガブリエルはもうキツイかな・・・




とりあえず夏の補強期待。



でわ