R化以降顕著になった鯖全体の効率主義と、Gvのために必須のレベリングと、そういう色々な要素をまとめてひっくるめて、ああでもないこうでもないと考えた結果はこうだ。

 

 

 

Gvから撤退する。

 

 

 

同盟が連戦連勝中という状況で、一方のマスターがそんな事を考えていた。この事は全員に秘密にしていた。時が来るまで漏らすべきでないと思っていたからだ。

 

 

まず、Gvから撤退すると言っても簡単な事ではない。このギルドはワタシが創設したものではなく、先代のMさんから引き継いだものである。

 

ギルドの基本方針と言うべき部分にGvへの参加があった。現在集まっているギルメンはその基本方針を元に加入を決めたメンバーばかりなのである。

 

それがGvから撤退するとなれば、対人戦を続けたい人は全員脱退するのは当然だ。残る道理が無い。一体メンバーの何割が残るのか?ほとんど残るまい。ましてギルド同盟は連勝中なのである。

 

 

迂闊なタイミングでこの事を話せば、収集のつかなくなる恐れがあった。ワタシとて理不尽にみんなの居場所を奪いたくはない。だから時期を待っていた。

 

 

 

 

その機会は程なく訪れる。

 

 

とあるGv時の序盤戦での事だった。暫しの防衛タイムとして砦の防衛をしていた時、それは現れた。

 

レベル150のキャラである。何でわかるかっていうと、三次職にしてオーラを噴いていたからだ。

 

 

正直目を疑った。何をどうやったらR化からその日までの間にレベル150に到達できるのか。しかし目の前のそれは実在している。エンブレムを見ると鯖最大手のギルドだった。

 

 

一瞬である。味方のキャラは文字通り瞬殺されていった。ワタシもその光景を見つつ瞬殺された。こういう形で来たかと思いつつ。流石に予想外だった。もう少しジワジワと追い詰められていく展開を予想していたのだが。

 

 

 

 

ともあれ、みんなの中にその記憶が鮮明なうちに手を打つべきだと思ったワタシは、予てより考えていた事をギルドの掲示板に布告し、同盟ギルドのマスターに挨拶に行った。

 

布告であり、連絡であり、決定事項として伝えた。相談ではないのである。

 

ここで下手に相談すれば揉め事が長期化するだけであり、ROがゲームである以上、それは無駄な時間でしかない。決められる人間がスパッと決めて、後は一人ひとりが身の振り方を決めた方が良いと思っていた。

 

 

・今後もGvを続けるためにはパワーレベリングが避けられない事

 

・それは私の本意ではないこと

 

・Gvを続けたい人にはギルドをいくつか紹介できること

 

・ギルドとしては撤退するが、ウチのエンブレムでGvに参戦するのは各人の自由であること

 

 

等々の内容を伝えた。博打である。

 

 

博打ではあるけど、どこかのタイミングで針路を決めねばならない以上は避けられないことだった。このまま続けても大手ギルドの強キャラに蹂躙される未来しか待っていない事は、あのレベル150キャラが痛烈な形で教えてくれたことだ。

 

 

最悪の場合、ギルド解散の可能性もあるなと思っていたワタシは、先代マスターMさんの所属しているギルドのマスターに会いに行った。元々お付き合いのある方でもあり、撤退することや、解散になるかもという事を報告しておきたかったのだ。

 

 

 

全て予定通りの行動とは言え、流石に怖かった。だけど、どう逆立ちしたって効率主義に走れそうもないワタシにはこうするしかなかった。

 

思い切った行動に思えるが、あの時点でワタシにあった選択肢は、GVから撤退するか、自分がギルドを脱退するかしかなかったのである。しかし、ワタシはマスターなので脱退のしようもないのだ。