ワンピース 76巻。

当然のように、76巻は発売日に買ったのですよ。
もう去年の話ですが。



ワクワクしながら読んでるうちに、ふと思ってしまったんですね。

「ルフィって主人公だったよね･･･？」




このドレスローザ編、いや正確には3D2Y以後でしょうか。ここいらからのルフィの存在感の希薄さというか、「軽さ」は一体どうしたことなんだろうと。結構前からうすうす思ってはいたのですが、遂にそれを痛感してしまったと。


76巻では遂にルフィはドフラミンゴの元へと辿り着いたわけですが、なんの高揚感も湧いてこないのですね･･･

だって、今のルフィは何も背負ってないから。



昔のルフィはそうじゃなかったように思う。

アーロン編では、ナミに涙を流させた相手に怒りを向けていたし、アラバスタではビビの国を思う気持ちを理解していた。


「ここが本当にあいつの国なら　もっと･･･！！！笑ってられるはずだ！！！！」

とか最高にカッコ良かったし、チープな表現かもだけど

「心配すんな　おまえの声なら　おれたちに聞こえてる！！」

とか、すごく良いと思う。いやほんと、22巻はすごい。古今東西の全ての漫画を集めてきても、上位に位置すると思うくらい凄い。今読み返しても興奮するもの。


エニエス・ロビーでもロビンの思いを十分に分かった上で、最後の死力を振り絞って戦っていたし。



以前のルフィは主人公だった。

今は、なんというか･･･ただそこにいるだけ、のような感じになってるのが悲しい。




この違いはどうしたことだろう？と思うのだけど、ワンピの世界が広くなりすぎて、ルフィを中心にした物語では世界を描ききれなくなってるからなんだろうかと思った。

つまり、今のワンピは主人公の冒険譚ではなくて、世界を描く群像劇のような形にシフトしているんだろうと。





目下の状況だと、ルフィとドフラでは背負った「意識」「覚悟」「経験」が違いすぎて、勝ち目は無いと思うし、どちらかというとドフラの不遇さの方に感情移入してしまいそうだ。だって、ドフラ個人が望んで悪行に手を染めたわけじゃなくて、狂った世界によって振り回された結果だものね。


子供に罪は無いんだよ。天竜人なんて制度を作ったのも大人だし、そこから離脱しようとしたのも大人。神として悪行を重ねた天竜人も大人なら、そういう風に育てたのも大人。

何から何まで、根っこの所からおかしくなってる世界で、ドフラには他に選べる道があっただろうか。


このままルフィが勝利してしまったら、やっぱり何か釈然としない気がする。
でも、リク王やキュロスの無念も晴らせないのは嫌なので、色々困っている。

世界は、ままならない。