今日一番というか、今月一番驚いたニュース。

商船三井の船が中国に差し押さえられたとか。タイトル見てマジで目を疑った。というか、さっき見たんだけど眠気が飛んでしまったという。。。

それは法律のタブーだと・・・


簡単にまとめてみると、

・1936年に中国が三井に傭船契約で船を貸した

・その後戦争のアレやコレやで傭船料を払わなかった

・ちなみにその船は戦時運用で沈没した模様

・1972年の日中共同声明で、中国は二次大戦の損害賠償権を放棄。その代償として日本は多額のODAを行うことに

・1987年に中国で「民法通則」なる法律が成立。これが法施行後2年以内なら、時効になった案件でも提訴が可能というトンデモ法。

・そのトンデモ法によって被告となった商船三井は敗訴。

・件の差し押さえが遂に実行された


ってことみたいね。国際法のゼミを取ってた時に、この辺の日中共同声明やらなんやらも、ちょっとお勉強したことあったなー。



これは、、、やってはいけない法律のタブーだと思う。



そもそも時効という制度が出来た理由を超簡単に言うと、いつまでも裁判で争えるようだと、永遠に被告・原告の権利が安定しないので、色々と面倒な事になるから。


色字は難しいので読み飛ばし推奨


何故、時効制度が必要なのか一例を書いてみる。

たとえば、ある土地が長年に渡ってAさんの所有だったとする。そんで、その土地に関して賃貸やらの種々の契約が結ばれる。ところが、Bさんが現れて、それは私の土地だ!と訴えを起こしたとする。

係争中だと問題の土地の所有権がどう転ぶか分からないので、その土地で賃貸やらの法律関係を結んでいる人たちが恐ろしく不安定な状況になってしまいます。

そーなると、ビルのテナントだったりそういうのって事実上機能しなくなっちゃうんで、そういうのは非常に困ってしまう。

それを防ぐ為に、〇〇年経過したなら、その既成事実を法律上確かなモノとして認めましょうってこと。



つまり、時効制度は近代以降の法律では当たり前の原則なんですね。
ところが、中国の民法ではそこをバッサリと無視してしまっているみたい。


"同時に法律は遡及できない"という大原則を真っ向から否定してしまってるのね・・・

こっちは説明も簡単で、法律が過去に遡って適用されると、現在では違法ではなくても、新しい法律が出来た途端、いきなり逮捕されちゃうってことになるからね。

たとえば、自転車の右側通行が違法になったけど、それはあくまで法律施行後に違反した人だけが罰則を受ける。施行前に右側通行した人は罰せられない、とか。



日本政府の対応は後手に回ってると報道されてるけど、こんなもん後手に回るに決まってる。
よもやここまで近代法制度に真っ向から喧嘩を売るような事態が起こるとは、お釈迦様でも予測できまい。

と、言いたいところだけど、民法通則とやらが成立した時点でこの危惧はあったかもしれないですねぇ。。。



ともあれ、今回のコレ。凄まじく大きな大事件だと思うんだよね。

中国政府がこの船舶会社を支持するような事があれば、「中国では近代法の原則は通用しない」という証明になってしまうので由々しき事態になってしまう。


それになにより、中国政府が船舶会社を支持すると、、、すなわち

=日中共同声明の否定


になってしまう。悪くすると国交断絶というシナリオまで進む可能性もあるけど、中国政府もそんな馬鹿じゃないはずなので、あくまで一企業の訴訟というスタンスでいるとは思うけど・・・どうなりますやら。



他のニュースも大事なんだろうけど、このニュースはもっと大々的に取り上げた方が良いと思う。