ようやくラスト。
思いついた順に考察を進めてきましたが、ラストは長谷川千雨というのだけは、最初から決めていました。考察開始前の予想では千雨が嫁候補No1だったからです。
ですが、考察を進めるうちに意外な人物が台頭したり、落選したりで、なんだか事前予想なんてアテにならないなぁと痛感。さて、千雨はどうなるやら…
ここまでの暫定結果は
亜子=このか>刹那>くーふぇ>その他
事前予想では、いいんちょ、アキラ、エヴァ辺りがもっと奮闘してくれると思ってました。
では、れっつごー。
25番 長谷川千雨の場合
千雨にも、ひとつだけいいんちょ的な煩わしい外部事象がある。
「ISSDA特別顧問」という肩書がそれだ。この特別顧問というのが、公の地位なのか、それともネギの私的な相談役を表す便宜上の肩書なのか。
前者だとすれば、意外と難題になってくる。
ISSDAは(おそらく)世界で最も巨大なプロジェクト組織であり、そこに集まる人材は文字通り国家を代表するレベルになるはず。その中で如何に千雨が電脳系に強かろうが、「特別顧問」として活動するのは能力的に無理がある。
もし、公の地位である特別顧問なのだとしたら「縁故採用」しかない。嫁をそのような地位に縁故で就けるか?となると読者のネギくん像が音を立てて崩れてしまう。
とはいえ、おそらく後者の私的相談役であるとワタシは思っている。
というのは、例えネギが縁故採用を許したとしても、「いいんちょは許さない」からだ。
夕映がプロジェクトへの参加意思を示した時に、「私やネギ先生のコネは使わせない」と断言している。そして、この姿勢はプロジェクトの中枢に居る者として極めて正しい。頭の良いいいんちょならば、この姿勢を貫いてくれるだろう。
あぁ、、ゆえきち。。がんばってくれ。
あとは、両想いかどうかを考えれば足りそうだ。
千雨の場合、ネギくんに対して告白をしておらず、確たる証拠が作中にない。面倒ながらも傍証を拾っていくしかないようだ。
魔法世界突入後、ネギと最も多くの時間を共有したのは千雨だ。それ以前の学園祭までは、他のクラスメイトと比べて特に嫁候補足り得る描写はない(と思う。
千雨は魔法世界突入後に、ネギの人生を左右する大きな選択に直面する。「闇の魔法」の習得時のことです。
段階を追って見ていこう。
まず、エヴァの巻物を開ける前。
「どうせもうあんたの心は決まってんだろ? ったく無茶な結論だぜ」
「これでも あんたのコトは結構見てるつもりだからな それくらいわかる」
(中略)
「けどな・・それは・・あんた自身が選ぶ道だ!!・・あんたがあんた自身で踏み出す一歩だ!」
このセリフはネギの選択を押すことになる。千雨のアップで語られる決め台詞だが、要は「ネギ自身が決める事だから胸を張ってやれや。但し、私には責任は無いがな」ということになる。まだ千雨は"傍観者"の立場を動かない。
だが、試練に苦しむネギを介抱する千雨に、ラカンは衝撃の事実を告げる。
「ぼーずがこの試練を乗り越えられなければ 二度と目を覚まさねぇか 少なくとも魔法を使えねぇ身体になっちまうだろうな」
「なっ・・そんな話聞いてねぇぞ 知ってたんなら止めっ・・」
"二度と目を覚まさない"は当然のこと、ネギにとって「魔法を使えなくなる」という事態は人格への死刑宣告に等しい。ネギの原衝動は父を探すことも含めて「父親を目指しマギステル・マギ」になることだ。
試練の前に聞いていたなら千雨は止めただろう。知らなかったからこそ、傍観者の立場から背中を押せたのだ。この段階で、千雨はネギの今後の人生に何パーセントかの責任を負うことになってしまった。ネギ自身の決定とはいえ、ネギはまだ10歳の子供であるし、千雨が背中を押した事実は揺るがない。
まるで、千雨を追い込むためだけに練られた構成だと思う。
ラカンは容赦ない。アホキャラのくせに意外と思慮深い。
「ぼーずの選択の最後の一押しは どー見てもあんただったぜ♪」
と、客観的にも千雨に責任が生じていることを突き付けてくる。
そして決定的に千雨を追い込んだのが
「もしあんたがどうしても無理だと判断したら このナイフでエヴァの巻物を刺しな。闇の魔法は二度と使えなくなるが ぼーずの命は助かるぜ」
「・・・・・(判断わたしかよっ)」
追い込まれた千雨は、二日二晩寝ずにネギの介抱をする。既に千雨はラカンによって、傍観者たる位置から当事者に引きずりおろされている。
千雨自身もネギがどうにかなってしまったら「半分は私の責任」と自覚している。
ネギの今後の人生に対する責任をかなりの割合で負っていることを知った千雨。
この段階で、早々にネギが試練をクリアしていれば、千雨も自身の心の揺れをとやかくせずに「ふぅ、心配したぜ・・」程度でエピソードクリアになる可能性もあった。
しかし、ラカンはまだ容赦がない。
「~言ったように二度と目覚めねぇか 魔法を使えなくなっちまうか・・今日の夜明けがリミットだろう・・・嬢ちゃんも覚悟決めといた方がいいぜ?」
いよいよ崖っぷちまで追い詰められた千雨。
試練をキャンセルしなかったら、魔法をつかえなくなる。最悪そのまま死ぬ可能性もある。ナイフで巻物をキャンセルしても、魔法使いの能力に後遺症が残る。
ネギ自身の死、ネギの原初風景の死、魔法使いとしての未来の死。どう転んでも「最悪」の結末を千雨はその手に握らされてしまった。この時点で傍観者→当事者を超えて、運命共同体にまでなってしまう。
「私がなんか偉そうなこと言えるのは・・私が常に「傍観者」だからさ クラスでも 家でもな・・」
「それがいいと思ってたし これからもそうするつもりで・・・・」
そうするつもりでいたのに、あんたの未来を左右する関係に引きずり出されちまった、といったところか。
千雨は覚悟を決める。
「私も覚悟を決めて あんたを信じて待つのが筋ってもんだよな 仕方ねぇ 信じるぜ先生 あんたがやり遂げるのを」
この覚悟は重要で、このとき千雨はネギの今後の人生に対して責任を負うことを決意したのです。それはまだ千雨にとっては「降ってわいた予想外の災難」であって、愛とはほど遠いけど、それになり得る感情の萌芽であることは間違いない。何より千雨は戦うこと=ネギの未来から逃げなかった(逃げようもなく追い込まれたのだが)。この事が大きい。
実際にはラカンによってなし崩しに追い込まれたわけで、千雨自身の意思で選んだ選択ではない。それでも、その場に踏みとどまり覚悟を決めたことに意味がある。他にどうしようも無かったのも確かだけど、"この通過儀礼に対して千雨の意識が覚悟を決めた事自体"が大きな意味を持つ。
ここが千雨にとってのポイント・オブ・ノー・リターン。後戻り不能地点。
千雨はこのとき、確かに何かを踏みしめてしまったのだ。もう後戻りできない何かを。
つづく
思いついた順に考察を進めてきましたが、ラストは長谷川千雨というのだけは、最初から決めていました。考察開始前の予想では千雨が嫁候補No1だったからです。
ですが、考察を進めるうちに意外な人物が台頭したり、落選したりで、なんだか事前予想なんてアテにならないなぁと痛感。さて、千雨はどうなるやら…
ここまでの暫定結果は
亜子=このか>刹那>くーふぇ>その他
事前予想では、いいんちょ、アキラ、エヴァ辺りがもっと奮闘してくれると思ってました。
では、れっつごー。
25番 長谷川千雨の場合
千雨にも、ひとつだけいいんちょ的な煩わしい外部事象がある。
「ISSDA特別顧問」という肩書がそれだ。この特別顧問というのが、公の地位なのか、それともネギの私的な相談役を表す便宜上の肩書なのか。
前者だとすれば、意外と難題になってくる。
ISSDAは(おそらく)世界で最も巨大なプロジェクト組織であり、そこに集まる人材は文字通り国家を代表するレベルになるはず。その中で如何に千雨が電脳系に強かろうが、「特別顧問」として活動するのは能力的に無理がある。
もし、公の地位である特別顧問なのだとしたら「縁故採用」しかない。嫁をそのような地位に縁故で就けるか?となると読者のネギくん像が音を立てて崩れてしまう。
とはいえ、おそらく後者の私的相談役であるとワタシは思っている。
というのは、例えネギが縁故採用を許したとしても、「いいんちょは許さない」からだ。
夕映がプロジェクトへの参加意思を示した時に、「私やネギ先生のコネは使わせない」と断言している。そして、この姿勢はプロジェクトの中枢に居る者として極めて正しい。頭の良いいいんちょならば、この姿勢を貫いてくれるだろう。
あぁ、、ゆえきち。。がんばってくれ。
あとは、両想いかどうかを考えれば足りそうだ。
千雨の場合、ネギくんに対して告白をしておらず、確たる証拠が作中にない。面倒ながらも傍証を拾っていくしかないようだ。
魔法世界突入後、ネギと最も多くの時間を共有したのは千雨だ。それ以前の学園祭までは、他のクラスメイトと比べて特に嫁候補足り得る描写はない(と思う。
千雨は魔法世界突入後に、ネギの人生を左右する大きな選択に直面する。「闇の魔法」の習得時のことです。
段階を追って見ていこう。
まず、エヴァの巻物を開ける前。
「どうせもうあんたの心は決まってんだろ? ったく無茶な結論だぜ」
「これでも あんたのコトは結構見てるつもりだからな それくらいわかる」
(中略)
「けどな・・それは・・あんた自身が選ぶ道だ!!・・あんたがあんた自身で踏み出す一歩だ!」
このセリフはネギの選択を押すことになる。千雨のアップで語られる決め台詞だが、要は「ネギ自身が決める事だから胸を張ってやれや。但し、私には責任は無いがな」ということになる。まだ千雨は"傍観者"の立場を動かない。
だが、試練に苦しむネギを介抱する千雨に、ラカンは衝撃の事実を告げる。
「ぼーずがこの試練を乗り越えられなければ 二度と目を覚まさねぇか 少なくとも魔法を使えねぇ身体になっちまうだろうな」
「なっ・・そんな話聞いてねぇぞ 知ってたんなら止めっ・・」
"二度と目を覚まさない"は当然のこと、ネギにとって「魔法を使えなくなる」という事態は人格への死刑宣告に等しい。ネギの原衝動は父を探すことも含めて「父親を目指しマギステル・マギ」になることだ。
試練の前に聞いていたなら千雨は止めただろう。知らなかったからこそ、傍観者の立場から背中を押せたのだ。この段階で、千雨はネギの今後の人生に何パーセントかの責任を負うことになってしまった。ネギ自身の決定とはいえ、ネギはまだ10歳の子供であるし、千雨が背中を押した事実は揺るがない。
まるで、千雨を追い込むためだけに練られた構成だと思う。
ラカンは容赦ない。アホキャラのくせに意外と思慮深い。
「ぼーずの選択の最後の一押しは どー見てもあんただったぜ♪」
と、客観的にも千雨に責任が生じていることを突き付けてくる。
そして決定的に千雨を追い込んだのが
「もしあんたがどうしても無理だと判断したら このナイフでエヴァの巻物を刺しな。闇の魔法は二度と使えなくなるが ぼーずの命は助かるぜ」
「・・・・・(判断わたしかよっ)」
追い込まれた千雨は、二日二晩寝ずにネギの介抱をする。既に千雨はラカンによって、傍観者たる位置から当事者に引きずりおろされている。
千雨自身もネギがどうにかなってしまったら「半分は私の責任」と自覚している。
ネギの今後の人生に対する責任をかなりの割合で負っていることを知った千雨。
この段階で、早々にネギが試練をクリアしていれば、千雨も自身の心の揺れをとやかくせずに「ふぅ、心配したぜ・・」程度でエピソードクリアになる可能性もあった。
しかし、ラカンはまだ容赦がない。
「~言ったように二度と目覚めねぇか 魔法を使えなくなっちまうか・・今日の夜明けがリミットだろう・・・嬢ちゃんも覚悟決めといた方がいいぜ?」
いよいよ崖っぷちまで追い詰められた千雨。
試練をキャンセルしなかったら、魔法をつかえなくなる。最悪そのまま死ぬ可能性もある。ナイフで巻物をキャンセルしても、魔法使いの能力に後遺症が残る。
ネギ自身の死、ネギの原初風景の死、魔法使いとしての未来の死。どう転んでも「最悪」の結末を千雨はその手に握らされてしまった。この時点で傍観者→当事者を超えて、運命共同体にまでなってしまう。
「私がなんか偉そうなこと言えるのは・・私が常に「傍観者」だからさ クラスでも 家でもな・・」
「それがいいと思ってたし これからもそうするつもりで・・・・」
そうするつもりでいたのに、あんたの未来を左右する関係に引きずり出されちまった、といったところか。
千雨は覚悟を決める。
「私も覚悟を決めて あんたを信じて待つのが筋ってもんだよな 仕方ねぇ 信じるぜ先生 あんたがやり遂げるのを」
この覚悟は重要で、このとき千雨はネギの今後の人生に対して責任を負うことを決意したのです。それはまだ千雨にとっては「降ってわいた予想外の災難」であって、愛とはほど遠いけど、それになり得る感情の萌芽であることは間違いない。何より千雨は戦うこと=ネギの未来から逃げなかった(逃げようもなく追い込まれたのだが)。この事が大きい。
実際にはラカンによってなし崩しに追い込まれたわけで、千雨自身の意思で選んだ選択ではない。それでも、その場に踏みとどまり覚悟を決めたことに意味がある。他にどうしようも無かったのも確かだけど、"この通過儀礼に対して千雨の意識が覚悟を決めた事自体"が大きな意味を持つ。
ここが千雨にとってのポイント・オブ・ノー・リターン。後戻り不能地点。
千雨はこのとき、確かに何かを踏みしめてしまったのだ。もう後戻りできない何かを。
つづく