生活習慣病を良くしよう!!
■仲の良かったおばあさん
これは私が老人ホームで働いていた頃のお話です。
そのおばあさんは、お部屋にいる時はほぼ寝たきりで、排泄はベッド上でおむつ交換。食事と入浴の際に、車椅子に移るくらいで自走はできません。
性格もネガティブで、周りに迷惑をかけていることをとても気にされている方でした。
私はそんな彼女と接する時には、そういったネガティブな話題に入ったり、入りそうな時は、彼女が楽しみにしているNHKの朝ドラや、天気の話、お部屋の外に見える花の話など、別の話題で会話をするように努めました。
そんな折に自分の身の上話など、当たり障りのない程度で話しているうちに、彼女も自分自身の身の上話や家族のことなどを話してくださるようになりました。
私に心を開いてくださったのかな。と少し自惚れるくらいには、私はそのおばあさんと仲良くさせていただけていました。
■おばあさんの楽しみ
そんなネガティブなおばあさんにも、一つ大きな楽しみがありました。
それはお風呂です。
週に2度の入浴を楽しみにされていて、自身のカレンダーには毎週の入浴日をしっかりと記載していました。寝たきりの彼女は、入浴専用の車椅子に移り、車椅子のまま専用の湯船に浸かります。
しかし、その湯船には湯を満杯に入れることはできず、車椅子のリクライニングを倒さないと肩まで浸かることはできません。
リクライニングを倒すと、体が浮いて溺れてしまう危険性があるため、私以外の職員は倒しません。
つまり私は倒していました。
何を考えているんだ!!と思われるかもしれませんが、例えリクライニングを倒したとしても、そばで職員が見守り、支えてあげれば安全を保ちながら肩まで浸かることが出来ます。
つまり、リクライニングを倒さない職員は、利用者の側から離れているということです。その間彼らは何をしているかというと、入浴で使ったタオルなどを洗っています。
確かに、リクライニングを倒すことで、溺れるリスクは上がります。しかし、そのリスクを回避する方法として、職員が支えとなることではなく、利用者さんに肩まで浸からせず胸下までで我慢させることが正解でしょうか?
仲の良いおばあさんのお部屋に行く際に、「今日のお風呂は、あなたが入れてくれるの?」「すみません、私じゃないんです」「そう、残念ね」と言われると、嬉しい反面、歯痒い気持ちになります。
■おばあさんの職員間での評判
認知症やその他の病気、性格など、利用者との関わり方などで気をつけることは十人十色存在します。そういった情報を職員間で共有するわけですが、中には「あの利用者は苦手・嫌い」などといった話も流れてきます。
また、私が仲良くしていたおばあさんは、どちらかというと職員に嫌われていました。その理由を並べますと。
- ネガティブな発言ばかりで嫌になる
- 夜間にナースコールを頻繁に鳴らす
- しょうもない事(テレビのリモコンを取って欲しい・布団をかけなおして欲しい)で呼び出される
■おばあさんの爪