キヤノンのDemi EE17です。
何故か絞り羽根の制御レバーの動きが固くなてしまいこのままでは組上げる事はできても使用する事はできません。
過去にも同じような症状が発生する事は何回もありましたがその度に原因不明としてシャッターユニットを丸ごと交換していました。
ですので私には現在のところ原因不明です。
シャッターユニットの裏側の画像です。
動かなくなったマニュアルの絞りレバーは赤矢印の銀色のリングに付いています。それと同じく赤矢印のネジが絞りリングを支えるサポートする三本のネジです。
このネジのおかげで銀色のリングは自由に回転できます。
黄色矢印の黒いリングが AUTO 側の絞り制御機構のリングと支えるサポートする三本のネジです。
シャッターユニットを側面から見ますとこのように銀色のリングからレバーが生えています。
そしてレバーを左に動かそうとすると画像のようにその力を受けて黄色矢印のリングの部分が変形しています。
なぜこのような現象が発生するのでしょうか?
銀色のリングは三本のネジで支えられてサポート(フォロー)されていると前記しました。
しかしネジがリングを支えている・サポートしている部分(面積)はネジの頭のほんの一部分にしか過ぎません。
これではリングを面でも線でもなく点、たったの『三点』だけで銀色のリングの回転を支えてるのです。
銀色のリングは摺動しながら回転するわけです。摺動運動をするということはリングとサポーターは『面』で接触した方がより安定するはずです。
それなのに外径40.0mm、幅2.0mm、厚さが僅か0.6mmしかないリングをたったの『三点』だけで支えるというのはかなり無理があると思われます。
そしてネジとリングの隙間は画像のようにほんの少ししかありません。
(といっても実はココの隙間を大きくしてしまうと結果的に更に動作が悪く不安定になりますから隙間は少ない程よいのですが)
実はこの銀色のリングは無負荷の状態でも既に歪んでいるんです。
赤矢印の隙間がその証拠です。
これでも万力に挟んで修正した方でして分解時はもっと大きく歪んでいて隙間が大きかったです。
更にレバーが若干右に傾いています。
このように歪んでしまうと、変形してしまうと右画像のネジ部の隙間と激しくし接触してしまい摩擦抵抗が増えてスムースに回転が出来なくなります。
そこへ更にレバーに無理な力を加えて動かそうとするとリングは更に歪み変形してしまいます。
あとレバーが回転方向に曲がってしまいます。
このレバーが長いのにも問題があります。
構造上このレバーは上端部のみに回転力が加えられてしまいます。
そうなりますとレバーに掛かる回転力は黄色矢印のようにはならず、レバー下端を軸として回転モーメントが発生してしまいます。
その結果赤矢印の様な方向への回転力になってしまいます。
この赤矢印方向の力の中には緑色矢印のような銀色のリングを下方向へ押し下げる力を含んでいます。
このリングを押し下げる力を『面』で支える、サポートできれば何とかなるのですが…、
しかし面ではなく上記のように三点の『点』で支える、サポートしている構造ですとその『点』以外の部分では押し下げる力を全く支えられていないので厚さが僅か0.6mmしかないリングは一定い以上の力をうけてしまうと下方向へたわむ(変形)してしまいます。
そして一度リングが規定量を超えて変形してしまうとリングの動きが渋くなり以降は繰り返して下方向の力を受ける事になり変形量が増大していきます。最後には動けなくなてしまいましてレバーが回転方向に曲がってしまします。
ですから一度マニュアル絞りのレバーの動きが悪くなり始めてしまうとどんどん動きが悪くなって最終的には動かなくなってしまい修復不能となっていたわけです。
これはキャノン Demi EE17 の意外な弱点ですね。
もし絞りリングの動きの渋い・悪い個体に出会ってしまったら無理に力ずくで回転させようとしない事です。
弱点といっても生産から半世紀以上も経過してしまいシャッター羽根や絞り羽根及びそれらの制御リング等が油分等で固着してしまったために発生するトラブル・現象とも言えますので、正常に動作している個体がこのようなトラブルに見舞わられる可能性は少ないと思います。
ということで原因は判りました。
しかし完全な修復方法は無いと言ってしまっても過言ではないと思います。あるとしても費用対効果を考えると…。
別の個体から変形していないリングと交換するしか方法はないかと思います。
文章では非常に説明が難しい内容というか私の文章表現の稚拙さから上手にお伝えすることが出来ず、理解し難い部分が多々あるかと思いますがご容赦ください。
閑話休題
今回の再分解ではヘリコイドリング部分まで分解したので完全にシャッターユニットのみになりましたので今回こそベンジンに漬け込みます。
今回はかなり難しい話となってしまったので短いですがここまでとさせていただきます。