おそらくこのレンズがデマーチの最後となるであろうキャノン の NEW FD 28mm F2 です。

 

 

このレンズもまた、いろんな意味で謎が多いんですよね。

そもそもなぜ私がこのレンズを所有しているのか?が記憶にありません。

ですから当然に購入理由も購入場所も記憶にありません。

 

 

野晒しにされていた割には前玉も後玉もとても綺麗です。

 

 

前玉を青色LEDで透過してみました。

 

 

後玉を青色LEDで透過してみました。

薄クモリがはありますが全体的に非常に良いコンディションです。

 

 

本体の外観もマァマァ綺麗です。

なのに何でこんなに長期間眠っていたのでしょうか?

レンズに問題がなければメカニカル的な問題が何か潜んでいるのでしょうか。

 

 

フォーカスリングに『流体研』と刻まれています。どこかの学校の学部また会社の研究所で使われていたのでしょうか?

この『流体研』という刻印を見て少しだけ思い出しました。

過去にこのレンズを検品したことがあります。その時にこの『流体研』という刻印を「醜い」と感じた記憶があります。

でもそれだけの理由で当時販売を諦めたとは到底思えません。

 

 

それと一つ気になったのが動画の様なフォーカスリングに『ガタ』が有る事ですね。

このガタはヘリコイドリングのグリス切れが原因のガタではなさそうです。

ですが5年前当時の私の実力ではこのガタを不審に思う事ができずにそのまま販売してしまったのではないでしょうか。

そしてガタが原因で購入者からクレームが来て返品になったのかもしれません。

今回このレンズについて事前にネットで既に過去に分解されている先輩方の記事を読ませていただいたのですが、このレンズは相当癖があるというか「とても修理が難しい」みたいです。

ですから当時の稚拙な私にはこのレンズを分解する事ができずにこのガタの意味も全く理解できずに殆ど分解できずに匙を投げたのかもしれません。

 

 

取り敢えず銘板を外してみたのですが…。

異様に緩く締まっていますねぇ。

更に前玉の一番手前のレンズを取付けていると思われるリングナットにカニ目スパナを掛けた痕があります。

しかもこのリングナットが手で簡単に緩んでしまいましたね。

こりゃぁ明らかに5年前の私が一度分解していますねぇ⤵⤵⤵

先の NEW FD 50mm F1.4 みたいにならなければよいのですが…。

 

 

フィルターリングを外してみると油染みがありました。

という事はここまで分解はしていないのかな?

5年前の俺でも油染みは見つければすぐ拭き取るはずですから。

だとすれば今後は安心できそうです。

 

 

このレンズはズームレンズのように中玉&後玉&絞り羽根ユニットのアッセンブリーがヘリコイドリングから3つの樹脂カバーされたピンに支えられて独立している『フローティングシステム』を採用しています。

そのためフォーカスリングが二分割式になっているためフォーカスリングに巻き付いているグリップゴムを外す必要があります。

 

 

スマホのプラスティックボディを開封するための特殊工具?を使ってゴムとフォーカスリングの間に隙間を作っていきます。

 

 

ゴムをフリー状態にして抜き取るつもりだったのですが、途中で切れてしまいました。

経年劣化が原因の一つでした。

ドライヤーで温めて柔らかくして外すべきでした。

 

 

フィルターリングを外す前にリングの窪み部分と指標線が一致している事を確認しておきます。

 

 

フィルターリングが外れたので(ごめんなさい撮影忘れました)

前玉を外します。

 

 

こちらも外す前に指標線とネジ穴の位置を確認して合わせマークをケガキ針で付けておきます。

 

 

前玉を外すとその下に真鍮製のスペーサーが入っているのでこれにも合わせマークを付けておきます。

 

 

前玉が外れました。

 

 

画像では既に外してしまっていますが、上側のフォーカスリングは三本のイモネジを緩めて外します。

次にマウント部&マウントロックボタンリング&絞りリングを外しましたが、先のNEW FD 50mm F1.4 で散々やりましたので割愛させていただきます。

 

 

次にフローティングシステムの肝となるピンを取り外します。

銀色のヘリコイドリングを飛び出る方向に回転させて側面にある三つの穴と内側にあるネジの位置を合わせます。

 

 

そしてネジを緩めて取り出します。

 

 

その後内側に残っているピンを頑張って取り外せるとレンズのアッセンブリーがゴロッと下側へ抜けてくれます。

 

 

そしてこれが問題のピンです。
長年グリス漬けにされていたために樹脂部が劣化してボロボロになって砕けてしまって樹脂部が脱落してしまってその分ピンが痩せてしまって細くなってしまっています。
これがフォーカスリングのガタの原因です。
しかしこの新品部品はもう入手不可能なので何頭化の代替品でカバーしなければなりません。
それが今回の最大の問題点です。
どのようにするか、無手勝流で工夫しなければなりません。
これがこのレンズの「とても修理が難しい」という理由です。
以上、
ここまで分解してきましたが、銘板と前玉のリングナットが緩んではいましたが、それ以外には手が加えられていませんでした。
やはり当時の私では修理できる自信がなくて必要以上に分解しなかったのでしょう。
それは良い判断です昔の自分。
 
という事で今回はここまでとさせていただきます。
次回以降はピンをどのように復活させるかという作業が全てになります。