実は現在標準&広角レンズの分解&清掃デスマーチの一環としてキャノンの FD 28mm F2.8 S.C. を分解&清掃中なのです。

 

 

ところがこれがかなり訳ありのレンズでして非常に厄介な問題を抱えていたので分解&修理&清掃になってしまいとんでもない作業時間がかかっています。それでも何とか作業は前進しているのですが、無限遠のピントの調整をするために使用しているデジカメのバッテリーが空になってしまって動かなくなってしまいました。

おまけに予備バッテリー&充電器をこの作業部屋内で紛失してしまっているのです。

このため新たに中古の充電器を入手したのですがが、その到着まであと数日はかかってしまいそうなのです。

 

 

それで充電器が到着するまでの中継ぎとして同じくキャノンのNEW FD 28mm F2 を分解&清掃しようと考えたのですが、このレンズも何かおかしい?

フォーカスリングに微妙なガタが有るのです。

不審に思いネットで調べてみるとこのレンズのフォーカスには『フローティング式』というズームレンズみたいな機構でフォーカス(ピント調整)を制御しているようです。

これの調整というか修理なんですが部品がもう入手不可能で代替品を流用するしかないようなんですがそれがとてもハードな作業になりそうで、とても中継ぎなんて中途半端な気持ちで作業できない事が判明しました。

 

 

そこでこんなのをサルベージしてきました。

NEW FD 50mm F1.4 レンズなんですがマウント部のマウントロックボタンが欠品しています。

シリアルナンバーは 514780 です。

 

 

NEW FD 50mm F1.8 レンズこちらはマウント部がまるごと欠損しています。

 

 

こちらは NEW FD 35-70mm F4 X2本です。

この二本も NEW FD 28mm F2 同様にフォーカスの『フローティング式』に問題を抱えており、ほぼ修復不可能なレベルに達しています。

そこでこの二本のレンズのマウント部を二本の標準レンズへ移植してみようと思います。

先っぽ(レンズは)サイズによって色々あるけど、根っこ(マウント部)は同じじゃないかと思いまして…。

ただ…。

なぜ二本の標準レンズがマウント部の欠品&欠損しているかというと、それは過去に私が修理に失敗して部品を紛失または破損させて当時の私の力では修復不可能だったというわけです。

NEW FD シリーズのマウント部は FD シリーズのマウント部よりもさらに複雑で私が組上げを最も苦手とする部位の一つです。

このため今回あの二本の標俊レンズを復活させることができるかどうか、ハッキリ言って自信は無いのですがとにかくやれるだけやってみます。

 

 

まずはこちらの画像右側の50mm F1.4からです。マ赤矢印のウントロックのボタンが欠品しています。

左のズームレンズのマウント部の爪が黒いのでこのボタンだけを移植するつもりです。

分解してみたらボタン以外の欠品があればそれも全て移植します。

 

 

まず50mmのマウントから銀色の部分『バヨネットリング』(そう呼称するらしいです)を外していきます。

その理由はズームレンズのマウント部はおそらく『正しい状態』で組み込まれているはずなので後で50mmの方と比較して『正しい状態』を学べるからです。

まずは側面にある三本のネジを緩めるつもりだったのですが、ネジが紛失していますね。

これは非常に重篤な状態である=修理不能の可能性が高いシグナルになります。

私は過去に四輪・二輪共に旧車に乗っていたため関係で必要な部品を抜き取って修理不能となったジャンク品のスペアエンジンでも必ずカバー類のボルトやナットを締めて付けて取り付けて極力『原型』の状態に戻してから保存・保管する癖がついております。

ですからネジ(ボルト・ナット)が取り付いていない、締め付けられていない場合は『再生不可能』を意味する可能性がグンと高くなります…。⤵⤵⤵

それでもめげずに作業を進めましょう。⤴

 

 

左がズームの正しい爪たちと赤印とロックボタンの位置です。

右が50mmです。全く違いますね。ハッキリ言ってグチャグチャです。

 

 

マウント部を外してひっくり返してみました。

テ、テンションスプリングがぁ!なんとも悲惨な状態になっていました。。。

そしてこの状態を現認した事で過去の記憶がある程度甦ってきました。

 

 

私が『正しくない状態』で強引にマウント部を取付けた際にテンションスプリングを何かに挟み込んでしまい潰して伸ばしてひん曲げてしまったんです。

ここまでならまだ何とかリカバリーできたかもしれなかったんですが。。。

 

 

さらにピン等に引っ掛けるスプリングの先端部の90度曲がった輪っかの部分が錆びてもげてしまってるんです。

よく見るとこのスプリングの反対側もかなり錆びています。

以上の理由で修復不可能と判断したんですね。

ですからバヨネットリング取付ネジが付いていなかったんですね。

やはりあれは『再生不可能』の意味を示唆していたんですね。

 

 

ズームのマウント部を外してひっくり返してみたら…。

爪の長さが違いましたぁ⤵⤵⤵

鏡胴部が長くなるんだから爪が長くなるのも当然ですよねぇ。

この時点でマウント部本体が無い50mm F1.8レンズの救済・復活は不可能という事が確定しました。

 

 

50mm F1.4はマウント部本体があるのでズーム側(右)の黄色矢印の爪に掛かっているテンションスプリングの形状や長さが赤色矢印のスプリングと同じで、且つ50mm側(左)の黄色矢印の爪に引っ掛ける事ができればこちらのレンズは復活可能なんですが…。ねぇ…。

果たしてどうなるのでしょうか。

 

 

出来る事ならこのマウント部を完全に分解してテンションスプリングを取り外したかったのですが、分解方法がどうしても解らずピンセットで隙間から上手く取り外す事ができました。

 

 

長さもピンに引っ掛ける部分の形状も違うのですが、これを取付けてみます。

後にこの赤色矢印のピンに引っ掛ける部分の形状がこの形だったために非常に簡単に取り付ける事ができました。

 

 

上のテンションスプリングを爪に引っ掛ける部分が爪の内側の非常に狭い部分にあります。

茶色い昔の接着剤の残骸が視認できます。

 

 

錆びてもげてしまったオリジナルのテンションスプリングの端部がまだピンに付いていました。

 

 

接着剤の残骸を除去してから

 

 

新しいテンションスプリングを引っ掛けるのですが、上記のように新しいテンションスプリングの端部の形状が幸いして非常に簡単に装着出来ました。

装着が簡単という事は外れてしまう(脱落)のも簡単という意味になるので、脱落防止のエポキシ接着剤を塗布しました。

 

 

 

テンションスプリングの反対側もこのように装着し

 

 

もう片方のテンションスプリングの端部を上に引っ掛けてから脱落防止のエポキシ接着剤を塗布しました。

 

 

テンションスプリングの形状や長さが変わったためにスプリングの張力も変わったようで10%~程度テンションが強くなったような感じがします。

 

流石に全て自分の思い通りにはいかず 50mm F1.8 の方の復活を断念したり、当初予定していなかったテンションスプリングを交換するなど思った以上に手間がかかってしまいました。

 

エポキシ接着剤を使ってしまったため、完全硬化のために一晩放置するため本日はここまでとさせていただきます。

明日以降にマウントロックボタンの移植その他の作業を行います。