標準レンズ分解&清掃デスマーチの番外編?
とでも云いましょうか、キャノンの FL 50mm F1.4 を分解&清掃してみようかと思います。
FD レンズの前の世代になります。
いやぁ~、このレンズなんですけどもぉ、おぼろ気の記憶によると3-5年前に自分で分解&清掃に挑戦して途中で構造が判らなくなった or 部品を紛失したかの下手を打って組上げることが出来なくなったのでふてくされてその辺にブン投げられて野晒しにされてしまいホコリだらけになってしまったレンズだったと思うんです。
それを今更ながらに引っ張り出して再分解&清掃をするのは如何なもんかとも思うのですが。
更に運が悪い事に完動品の状態というか他の FL レンズが見当たらないために確実に修理を完成されられたかどうか確認する事ができないんです。ですから出品は現状できません。
そのような状況下でわざわざ再分解&清掃に挑戦してもあまり意味がないかもしれないんですけど…。
ただ、当時の私の実力ではそれほど凝った部分に迄アクセスして分解&組立が出来る実力は無かったはずなので手を出せなかったハズだと思うのです。ですからそれほど重篤な症状にはなっていないと思うのですが。。。
FD レンズとの比較という意味合いを含めて取り敢えず作業をしてみます。
レンズの表面の状態を確認するためにまずは軽くクリーニングしてみました。
まぁまぁ悪くは無いですね。
カビはあちこちにありますね。
シリアルナンバーは 103134 です。
ネットでこのレンズについて調べてみたのですが、
どうやらこのレンズには構造やレンズの厚み等の違いで2~4種類のタイプがあるようです。
シリアルナンバー5桁の最初の一桁が1,2,3,4,5,7 で始まるロットがあるそうで、1,2の初期型と3以降の後期型に大まかには分かれるらしいのですが画像に写っていた内部の構成部品の形が私のレンズと違っていたり、私のレンズのシリアル番号は 103134 ですから5桁ではなく6桁なのでもう何が何やら全く分からなくなってしまいました。
なので他の先輩方の記事は参考にせずに独自で行き当たりばったりで分解していきます。
後玉もクリーニングしてみると
表面はきれいです。
内側にはカビがありますね。
前回は確か…。
マウント部の組上げ方が判らなくなってしまったような記憶があるのですが…。
でも赤矢印のピンの組み合わせの一カ所だけですからそんなに難しくはなかったはずなんですがねぇ。
今回サルベージした時にはこのピン(レバー)が絞り羽根と連動していませんでした。
ですので連動するように組み直してからマウント部を再び組付けました。
ですが絞り羽根をマニュアル状態にするとこのピンは全くのフリーになってしまってまるでプラプラしたような感じになってしまいます。果たしてこの状態で正しいのかどうか確認する術が現在私にはありません。この件は取り敢えず保留にします。
そしてこの先からは前玉の方を先に分解していきます。
銘板とフィルターリングを外すと FL シリーズは絞りリングが前にあるためアクセスできるようになります。
ここでちょっと不審に感じたことがあります。
赤矢印の部分に穴がありその中に微小なコイルスプリングが入っています。
どうやらココにクリックボールが存在していたようですね。
それを紛失してしまったために(当時の私は)修理不能と判断したのかもしれません。
現在ではいくつかのメーカーのクリックボールに使われているスチールボールのサイズ(直径)を調べてEXCELで管理しているので紛失時の対応としていくつかのサイズのスチールボールを在庫しています。(それだけ紛失するミスを起こしやすい)
キヤノンの場合は直径1.6mmのスチールボールが使われることが多いみたいです。
ピルケースの一区画の中で長期間コロコロしていたスチールボールが適合しそうなので挿入してみたら、バッチリ適合しました!
実によい心地のクリック感です。
念のため取り外して直径を確認したら1.6mmでした。
ドンピシャです!
クリックボールの確認と補充が出来たので
次は絞りリングを外します。
赤矢印の部分の溝を記憶しおきましょう。
いよいよ前玉ユニットの取り外しです。
カニ目スパナで黄色矢印の溝のリングナットを外せば取り外せるのですが、その前に赤矢印の一つ内側のリングナットをカニ目スパナで緩めておきます。
そうしておくとこの後の前玉の分解作業が楽になります。
前玉が抜けました。
そして絞り羽根の制御機構の動きを確認すると…。
なるほど FD シリーズに比べてとてもシンプルな動きでした。
あの FD シリーズ独特の『絞り羽根が半開き』になるような制御機構はありませんでした。
こちらは内側のレンズもクリーニング&マイクロファイバークロスで拭き上げ後に青色LEDで透過してみた画像です。
残念ながら前玉二番目のレンズに通常光でも視認できるほどの薄クモリがあります。
クリーニング&マイクロファイバークロスでの拭き上げを完了した前玉を本体に取り付けます。
同じくクリーニング&マイクロファイバークロスでの拭き上げを完了した後玉を本体に取り付けます。
これが前後玉レンズを取付けた状態で青色LEDを透過させた画像です。
前玉表面には非常に細かい傷と薄クモリが、その他のレンズにも薄クモリが視認できます。
これだとちょっと残念な仕上がりですねぇ。
本体もかなり汚れてくたびれた感があります。
イオン電解水で清掃しましたら多少は綺麗になりました。
フォーカスリングです。
こちらもくたびれた感が出ています。
中性洗剤でガシガシ洗ったらかなり綺麗になりました。
赤矢印のプレートがヘリコイドリングの無限遠方向への回転量を制限する役割を持っているのでこの状態で無限遠のピントの再調整を行おうかと思ったのですが、このプレートは既に限界の位置にありこれ以上は無限遠方向へ回転させることは出来ないのでフォーカスリングを取付けます。
約5mの位置を暫定的な無限遠としてフォーカスリングを取付けました。
またしても無限遠のピントの再調整を行っているシーンの撮影を忘れていました。
オリジナルの状態の無限遠のピントの撮影も忘れてしまいました。
画像は無限遠のピントの再調整を行った後のものです。
もうこれ以上はヘリコイドを無限遠の向こう側に回転させることができない目一杯の位置でした。
恐らくオリジナルもこの同じ位置だったのではないかと思います。
無限遠のピントの再調整を完了したら今まではフィルターリングを取付けているのですが、今回は絞りリングをセットして取り付けます。
まず溝の位置を合わせて絞りリングを本体に嵌め込み
1.6mmのクリックボールをモリブデングリスで仮止めをしておきます。
フィルターリングのクリックボールと接する部分にモリブデングリスを塗布してから
フィルターリングを3本のネジで取り付けます。
鏡胴前面に絞りリングがあるのは操作的にも作業的にもよろしくないですね。
最後に銘板を取付けて完成です。
前玉はご覧の感じです。
後玉はこんな感じです。
外観はこんな感じです。
一応現在のところ販売の予定はありませんが、もし販売するとしたらジャンク扱いでの出品でしょうね。
どれだけ手間暇をかけたかが重要なんじゃなくて
結果的にはレンズの状態が良いか悪いかが重要というかそれが全てですから。
そうなると悲しいかなこのレンズは状態があまりよろしくないです⤵⤵⤵
クリック感は最高なんだけどなぁ~⤵⤵⤵
できれば程度の良い状態の同じレンズをもう一度分解&清掃をしてみたいです。
































