オリンパスのPEN-Dです。

巷間ではあまり認められていない(良く思われていない)セレン式の露出計を装備したハーフサイズカメラでは珍しいフルマニュアルのカメラです。

果たしてセレン式露出計というのは本当に良くないのか?を検証するために今回は分解・修理して更に無限遠のピントを再調整してからテスト撮影を行いました。

どうしても天候不順による遅れや更に現像を専門業者さんに依頼するためテスト撮影後3~4日かかってしまいます。

 

 

今回使用したフィルムはいつものKodak UltraMax ASA400

電池はセレン式のため使用しません。

WALTZ単独距離計で距離を測定してから撮影しています。

 

 

本題・本編に入る前に今回はいくつか説明させていただいて皆様の頭に留めておいていただきたい事柄があります。

長文となりますが、どうかお付き合いください。

今回オリンパスPEN-Dの露出計がセレン式ということで精度に不安があったためテスト撮影前に単独露出計のセコニックL-188と精度を比較してみました。

すると、驚いたことにセコニックがEV14=F11を表示した時にPEN-DはEV15=F16を表示しました!

これはセコニックよりもPEN-Dの方が露出が-1.0アンダー(暗く写ってしまう)ということになります。

つまりこれが事実ならばセコニックよりもPEN-Dのセレンの方が精度が過敏だという事になります。(正常の状態よりもセレンの発電力が強い)

しかしセコニックも中古の不動品を私が修理して使用しているため精度が完璧であるという保障はありません。

また撮影シーンによっては両者の差が-2.0になったり、±0.0になったり変化します。

そのため今回は撮影前に露出を両者で測定し、差異がある場合は両者の指標でそれぞれ撮影し(つまり同じ被写体を2回)撮影して結果を比較できるようにしました。

2回撮影した場合は先の画像がPEN-Dのセレン露出計の数値、次がセコニックの数値でそれぞれ撮影しております。

差異が無かった場合は一回だけの撮影としました。

以上を踏まえて以下の記事をご覧&お読みください。

なお、今回画像は縮小せずオリジナルの大容量状態にて掲載しておりますので拡大してより詳細に精査して視ていただく事ができます。

 

 

毎回基本となる自宅窓からの撮影画像です。

じつはこの時のPED-Dの表示はEV17=F32若しくはメーターを振り切っていました。

今までの経験からそれはあり得ない事が判っているのでEV15=F16に設定して撮影しました。

過去にヤシカのLynx-14の時と同じ状態です。

どうやら不必要な光を取り込んでしまっているのではないでしょうか?

それが何なのか私には解りませんが。

 

 

コチラはセコニックが表示したEV14=F11で撮影しました。

私が目で視ていた時の明るさと全く同じです。

この事からセコニックが表示する数値の方が正しいようですね。

しかし…。

この画像はハーフサイズカメラで撮影したものですよ、フルサイズカメラではありません。

それなのに東京湾の向こうの千葉県の市街の方まで確認できます。

やはりオリンパス解像度は群を抜いています。

 

 

PEN-Dです。

暗い場所での撮影だったのですが…。

これはちょっと如何なものかと…。

実は右の窓から斜光が入っていたんです。

斜光の何かしら余計な光を取り込んでしまってこの様になってしまったのでしょうか?

ここまで悪い画像が撮影できたのは今までで三本の指に入りそうです。

 

 

セコニックです。

こちらもやはり私が目で視た情景と全く同じ感じですね。

因みにこれらは同じカメラでの撮影です。

 

 

この画像は距離を3mに固定して1/125秒でF11かF16で撮影いしています。

PEN-Dの被写界深度、懐の大きさが解っていただけると思います。

最大限迄拡大して画像を視てみてください。

 

 

ASA400の粗さを感じますがピントは悪くありません。

 

 

植物の葉一枚一枚まで見事に描写されています。

 

 

PEN-Dです。

まぁまぁな感じというか悪くないのではないのでしょうか。

 

 

セコニックです。

ンン?こっちの方がPEN-Dより若干暗いというか発色の色が濃い感じがします。

PEN-Dの露出がー1.0なのですから本来なら向こうの方が暗く写るはずなんですが…。

今回のテストは今までには起こらなかった不思議な現象が続発しますねぇ。

 

 

PEN-Dです。

これは別に問題ないのではのでしょうか。

綺麗に映っています。

 

 

セコニックです。

こちらの方が明らかに明るいですね。

私はこちらの方が好きです。

 

 

PEN-Dです。

右下辺りが白く飛んでいるような…。

フレアなんでしょうか?

 

 

セコニックです。

どうしてこちらの方が暗く映るのでしょうか?

本来ならPEN-Dの方が暗いはずです。

しかもどちらも同じカメラで撮影しているのにどうしてPEN-Dの方が白いフレアが発生しているのでしょうか?

不思議というか私には理解できません。

同じカメラでの撮影なんだけどなぁ。

 

 

PEN-Dです。

光が直接当たらない日陰の部分での撮影です。

かなりシャープに写っていますね。

 

 

 

セコニックです。

ピントはどちらも同じですから画質は変わらないはずです。

しかし…。

たった1絞りの違いでこんなに違ってくるんでしょうか?

やっぱり明るい方が良いというか、発色まで違うような感じがします。

 

 

安定の無限遠での撮影。

 

 

近距離での撮影です。

確かピント1.2mか1.0mだったと思います。

拡大して視てください。

 

 

 

 

 

こちらも無限遠での撮影です。

子供たちが沢山いるので各距離でのピントが確認しやすのではないでしょうか。

 

 

ピントが2.5mm前後での撮影です。

ハーフサイズカメラでもっとも使われる距離ではないでしょうか。

 

 

一直線の道路です。

最大限まで拡大して視てください。

 

 

逆光気味なので右上にフレアが発生しています。

 

 

この画像こそ本カメラのパフォーマンスを如実に表現していると思います。

ピンとの距離は無限遠(5m以上は殆ど無限遠になる)でした。

針葉樹の葉一本一本まで確認する事ができます。

これハーフサイズカメラの撮影ですから。

剃刀のようにシャープな画質

幹の下部ある看板の絵や文字まで認識できそうです。

これぞオリンパスクオリィティです。

 

以上です。

 

という事で今までに経験したことのない摩訶不思議な現象が多発しましたがその原因・真相は私には判明できませんが今回のテスト撮影の結果を簡単にまとめると

 

① セコニック単独露出計はほぼ精確である。または撮影に充分使える。

② 本機のセレン露出計は-1.0なので表示された指針よりも+1.0で撮影する。

 

という事になります。

二つの別のカメラを使って撮影して比較したのなら斜光の影響とか何らかの余計な光を取り込んでいるのではないかといった問題になりそうです。

ですが今回は同じカメラで露出の数値を変えて撮影して比較しているだけなので原因はカメラではなく露出の数値だけという事になります。

『セレンだから露出が安定しないのでは?』と思われるかもしれませんがそれは違います。補正値さえ頭に入れておけばそれで解決します。本機では+1.0という事です。

 

今回の結果『セレン式露出計は良くない』と云うのは不適切な表現ではないでしょうか…。

むしろ今回の場合は露出の補正値が+1.0になったという事はセレン素子の出力電圧が『強過ぎる』状態であると認識できます。

これはちょっとしたレアケースかもしれません。

しかし、劣化してしまって出力電圧がゼロになってしまっているセレン素子が多数存在するのも事実です。

本機を修理する前に別のPEN-Dの露出計のみを修理しました。

しかし数日が経過すると本機の露出計の指針数値と著しく乖離してしまいました。

セレン素子の出力電圧が急に下がってしまったのです。

『セレン式露出計は使える。しかし個体ごとの状態(出力)の程度の差が激しすぎて当たりと外れがあるので扱いにくい』というのが実情ではないでしょうか。

 

無限遠のピントの再調整の結果について。

以前から私は自分の記事でオリンパスのカメラを『剃刀のようなシャープな描写力』を持ち他とは群を抜く映りであると書いてきました。

ですから今回の素晴らしい画質の結果は私が無限遠のピントを再調整を行った結果であるとは言いきれません。

むしろオリンパスのカメラが元から持っている本来のポテンシャルだと考えた方が辻褄が合うような気がします。

もし私が行った無限遠のピントの再調整に効果があったとしたらそれは『本来のポテンシャルに多少貢献できた』といった程度ではないかと思います。