ペトリのカラー35 シルバーボディです。
昨日(前回)からの続きです。
ファインダー内の各レンズの清掃とフォーカスインジケーターの調整が終わったので蓋をします。
電池室のマイナス側から来ている二本の青い電線が一本に結合されているハンダ付部分絶縁対策を施すために液体ゴムを塗布しておきます。
絞り値ダイアルの黒い塗装部分が剥がれているため部品取り機のを移植します。
絞り値ダイアルとシャッタースピードダイアルの比較です。
各々左側がオリジナル(シリアル番号:430584)
右側が部品取り機(シリアル番号:614639) となります。
絞り値ダイアルの文字は左右どちらも同じ様ですが
シャッタースピードダイアルは部品取り機の方が文字が若干大きくなっています。
ペトリカラー35はこの様に細かい部分が多岐に渡り変更されています。
こういった設計変更は例えばキャノンのキャノネットQL17からキャノネットQL17 GIIIと名称を変えてさも更なる上位機種へマイナーチェンジしたかのように思わせておきながら実際は材質等の品質を変更してコストダウンを計るように往々にして初期型の方が品質が良いというケースが多いです。
ペトリカラー35も銘板リングが初期の銀色から黒色になって材質が変わったり内部構造の部品点数が減ったりとしたコストダウンが伺えるのですが、分解・修理する者にとってはそのコストダウンのおかげで構造がより合理的になり作業性がアップするという副次的なメリットが付加されるケースもあります。
そういう意味ではペトリカラー35は後期型の方が良いかもしれません。
ただ初期型か後期型かの見分けはかなり難しいです。
二つのダイアルは裏側から真鍮製の平ワッシャーに圧入されて固定されているだけのようです。
これだと一度分解してしまうと真鍮ワッシャーの穴が大きくなってしまい再組み立てが不可能になってしまう可能性があります。
かなり強力なエポキシ接着剤で補強する事もできなくはないですが
できれば分解したくないです。
幸いな事に部品取り機の方は真鍮よりも固い金属製のワッシャーだったのでなんとか再組付けできましたが、もう二度とこの部分には手を付けないつもりです。
さて今回のメインディッシュとんる露出計の眼となる光センサーcds素子を新品に換装します。
巷間ではcds素子は壊れやすいとか壊れたら修復不可能とか云われたりしてますがそんなことはありません。トランジスタ式の光センサーではないのでいたってシンプルな構造なので意外と壊れないみたいです。
cds素子が原因で露出計が動作しなかったという事例は今まで(私自身は)なかったと思います。
とはいっても50年半世紀以上前に製造された電子部品ですから
中国製であっても現在の技術で生産された電子部品の方が優れているのではないかと私は思うので換装可能なカメラにはこのように施します。
私は古い機械製品が大好きですが、スマホやPCといった電子製品のような物は新しい方が良いと思っています。
オリジナルのcds素子の足(電極)は正しく挿入されていませんでした。
これでもチャンと動作していたのだから大したもんです。
私がAmazonで購入したGL5528というcds素子は裸の状態でケースには入っていないのでケースを外径6.5mmのプラパイプで自作しました。
裏側にエポキシ接着剤をたっぷり充填して固定します。
光を遮蔽するために裏側は黒く塗ります。
足(電極)をオリジナルと同じ形状にします。
元の位置に挿入します。
cds素子を固定するロックプレートを取り付けます。
そしてシャッタースピード変速リングを取り付けます。
今回はとても綺麗にセットできました。
足(電極)も正しい状態で差し込まれています。
次にレンズの状態をチェックします。
前玉の前面です。
非常に綺麗でカビはおろか傷もありません。
後面です。
こちらも全く問題あありません。
クリーニング液で清掃して取り付けました
後玉前面です。
こちらも綺麗で全く問題ありません。
後面です。
こちらも全く問題なかったのでクリーニング液で清掃して元に戻しました。
どうやらこの個体は外見とは違いかなり程度が良いようで素性も良さそうです。
入手当時の外観は汚れや塗装剥げが有ったりして見劣り感がありました。
しかし電池室には全く腐食がなく露出計の動作も上々で配線も再利用が可能なレベルでした。
電気系統が良好な個体はレンズも綺麗な場合が多いです。
ASAリングを取り付けます。
クリックボールが脱落しないようにクリックボールの取付穴にモリブデングリス塗布しておきます。
ASAリングの内側にもモリブデングリスを薄っすらと塗布しておきます。
これでASAリングの動きがとても軽くスムーズになりました。
フォーカスリングに関連するすべての歯車にもモリブデングリスを塗布したので動きがとても軽くスムーズになりました。
銘板リングを取り付けます。
この時裏側にあるcds素子の窓の光の量を調節するリングの突起とASAリングの外周にある凹みを合わせて取り付けます。
前板を取り付けます。
新しいモルトに貼り替えるために旧いモルトとのカスと糊をラッカーシンナーを使って綺麗に取り除きます。
この作業が非常に面倒くさいので私はモルトの貼り替え作業が嫌いです。
あと一歩で完成といったところまで来たのですが本日はここまでとさせていただきます。