昨日、露出計の不調を修理したヤシカ Lynx-14のテスト撮影をしようと思っていたのですが、本日から台風接近の影響でしばらく天気が悪いみたいなので天気が良くなるまでカメラの分解・修理をしていきたいと思います。

 

今回はペトリのカラー 35 ブラックボディです。

 

 

私はブラックボディは好きではありません。

塗装が剥げ易くて地金が露出してしまうからです。

この個体は8点まとめ買いをした中に入っていました。

革の一部が剥がれていて

鏡胴はご覧のようにベコベコに曲がっています。

 

 

ブラック塗装もご覧のようにそれなりに剥がれています。

 

 

ファインダーをのぞくと汚れで曇っており

フレーム枠も脱落して斜めになっています。

このため露出計の動作確認ができません。

どうやら随分とぞんざいな扱いを受けてきたようですね。

かわいそうに。

辛かったろうに。

しかしシャッターと絞り羽根の動作は良好でレンズもそれなりにキレイなのが幸いです。

 

 

こういった状態なので今回の修理に当たり部品取りを二台スタンバイさせます。

上の個体は右上角にリング状の謎の物体が取り付いています。

 

 

カニ目スパナで画像のリングを外して変形した銘板というかASAリングを外します。

 

 

シルバーボディのASAリングには銀色と黒色の2タイプあります。

ブラックボディなら当然黒のリングが必要になります。

 

 

軍艦を外すためにフォーカスダイアルをカニ目スパナを使って外します。

 

 

ダイアルを外すと中にシムワッシャーがあるので紛失しないように注意します。

 

 

巻き戻しハンドルを外すとリングナットが出てくるのでカニ目スパナで外します。

 

 

側面のネジを外します。

 

 

軍艦を取り外す前に(私は)シャッターダイアルをB開放に、絞りダイアルを2.8に設定します。

 

 

各ダイアルとバッテリーチェックボタンの位置決めと脱落防止のため上から養生テープを貼り付けます。

 

 

軍艦が外れました。

 

 

フィルムカウンターのインジケータープレートはアルミ製のため脆くて折損しやすいので保護のため取り外します。

 

 

シャッターボタンの下に非常に小さなピンが入っているので取り外して保管しておきます。

 

 

ファインダーの蓋(紙製)に有機溶剤を浸して丁寧に剥がしとります。

すると右側のミラーが脱落してました。

これがフレーム枠が斜めになっていた原因です。

三本のネジを緩めてファインダー本体を取り外します。

そしてこの段階で露出計の動作チェックを行いました。電池室に電池を入れても露出計は動きませんでしたが露出計本体に直結したら動きました。

 

 

そこで底部の蓋を開けて配線をチェックしたら案の上腐食によって断線していました。

 

 

ということで電池室を分解して再配線のためにハンダ付けをしたいのですが取付ネジが見当たりません。

 

 

取付ネジが見当たらないためにこれ以上の分解を断念される方がいますが、分解手順というかアクセスの方法が間違っています。

電池室の取り外しよりも先に電極を取り外すのです。

電池室の側面をよく見ると矢印の位置に小さいい穴が開いています。

ここに細い千枚通しを差し込んでコジると上手くすれば電極が外れてくれます。

失敗すると電極のベークライトがバラバラに破損します。

 

 

今回は上手くいきましたがそれでもベークライト部は損傷してしまいました。

 

 

電極の下から電池室の取付ネジが出てきます。

 

 

ベークライトの中心の穴部が損傷して拡大してしまっています。

 

 

電極(端子)部をエポキシ樹脂を盛り付けて接着します。

エポキシ接着剤は熱に強くないので本来であれば電極に配線をハンダ付けしてからこの作業をするべきです。

欠損部位の補修等の場合はJ-B Weldのような強力な接着剤を使いたいのですが、

将来再び分解・修理する事になった際に電極部の分解が困難になってしまうので

その辺を考慮するとわざと接着力を弱くしておく必要があります。

 

 

電池室の横に電気の接点があります。

ペトリカラー35はその構造上フィルムを装填してしまうと電池の取り外しができなくなります。

そのため通常時は上の画像のようにここの接点が開いて(常時)電源オフとなります。

 

 

フィルムを巻き上げてシャッターチャージをすると上の画像のようにここの接点が閉じて電源がオンとなり露出計が作動します。

 

 

念のためこの接点を磨いてから接点クリーナーで清掃しておきます。

この接点の片方は青い色の電線がハンダ付けされています。

電池室の電極の電線も同じ青色でこの二本は共通です。

 

 

この部分で結線されて一本になっています。

この青い電線を新たに引き直します。

 

 

そのために前板を外します。

 

 

そうすると配線が見えてきます。

右下に小さな基盤のようなものがあります。

 

 

このネジを緩めて基盤を本体から分離します。

 

 

このようになります。

 

 

先程の接点もこのネジを緩めて分離します。

 

 

これで日本の青色電線にアクセスできるようになりました。

 

本日はここまでです。