ヤシカのハーフ14です。

 

 

『特殊な治具でも自作しないかぎり無限遠の調整はできない』と判断して前回の分解修理では手付けずとしましたが、それが仇となりテスト撮影は失敗に終わりました。

こうなってしまっては『治具が…。』なんて言い訳なんて言っていられません、何が何でも無限遠の調整をしなければなりません。

ということで『我ニ策アリ!』とばかりに再度分解をいたします。

 

 

まず、フォーカスリングを外さなければならないのですが構造上前板を外してシャッターユニットまで分解しなければならず、ほぼほぼ全バラです。

えらい面倒くさいです。

 

 

不運な事に何故か前玉が固着していて緩みません。

仕方なく破壊して外します。

とても残念です⤵⤵⤵

 

 

この状態でフォーカスリングの側面にある三本のイモネジを緩めてフォーカスリングを外します。

 

 

すると前板がこのような状態になり金色の真鍮製のヘリコイドリングが見えるようになります。

 

 

フォーカスリングを外せたらシャッターユニットを組付けて再び組上げていきます。

本当に面倒くさくて手間がかかります。

 

 

ピンセットで押さえている真鍮のリングがフォーカスリングと直結する部分なので

このリングを左右に回転させたいのですが、この状態ではプライヤー等で咥えて動かすことはできません。

画像のようにピンセットで押してみても力が足りず全く動かないのです。

ですから何か特殊な治具を作るしかないと考えました。

しかしどんな治具を作ればよいのか見当も付きません。

 

 

そこで禁断の方法に手を出すことにします。

直径0.6mmのドリルを使ってピンバイスでリングに穴を開けます。

私はカメラも時計もバイクも自動車も当時からのままの「オリジナルコンディション」を維持するという事をモットーにしています。

ですからカメラの革も新しい物に貼り替えずオリジナルの革を丁寧に剥がして再使用します。

この私自身のモットーからするとドリルで穴を開けるという行為はオリジナル性を損ねる行為となるため本来なら受け入れられないのですが、事ここに至っては致し方ありません。

やはりカメラは写って映ってなんぼなんですから。

 

ピンバイスはかなり精密な作業に使う工具になります。

ですからアマゾンで売っているような中華製の安物は絶対ダメです!

品質が悪くて精度がゆるいしガタも多くて使い物になりません。

私はタミヤから販売されているピンバイスを買い直しました。

 

 

オリジナル性を極力損ねないように浅く浅く掘ります。

穴というよりも溝や段を付ける感じです。

およそ0.5mmほど掘りました。

 

 

やはり!

これで動画のようにヘリコイドリングをピンセットで動かせるようになりました!

発想の転換、アイデアの勝利、まさに『我ニ策アリ!』です。

 

 

B(開放)で固定するために軍艦を仮組してレリーズを装着します。

あとはいつもの手順で無限遠を確認して調整します。

 

 

と思ったらピントスクリーンが見当たりません!

数時間前にリコーオート35Vの無限遠再調整で使ったばかりなのに⤵⤵⤵

机の上があまりにも散らかっているため短時間での発掘は難しそうです。

だったら仕方がないので再び自作します。

今回は最初にアクリル板を黒く塗ってカッターで線引いた格子が目視できるようにしてから作業をしました。

 

 

 

線を引き終わったら黒い塗装をラッカーシンナーで全部剥がします。

その後黒い塗料で墨入れを行います。

 

 

出来上がりました。

ピントスクリーンMkIIの完成です。

製作にまたもや数時間かかりましたが、紛失や行方不明時に予備があった方がいいと思っていたので納得です。

不毛な捜索活動をするよりもましです。

 

 
ピントスクリーンを養生テープでカメラのフィルム室に貼り付けるのですが、隙間の発生しないようにピッタリと貼り付けなければなりません。
以前ここに隙間が発生してしまい無限遠のピントがズレてしまいました。
ですから動画のようにピントスクリーンを貼り付けた後にプリントスクリーンを指で叩いてみます。
「コンコン」という音がすればO.K.です。
「パコパコ」といった音がしたら隙間があります。

 

 
いつものように無限遠の調整をします。
 
 
いい感じでピントが合いました。
 
 
「合わせマーク」を付けておきます。
これからフォーカスリングを取り付けなければならないのでその間にズレる可能性があります。
 
 
この状態から再びシャッターユニットを取り外すまで分解します。
やれやれです⤵⤵⤵
つまり今回の無限遠の調整の作業工程は
 
① シャッターユニットが外せるまで分解してフォーカスリングを取り外す。
② フォーカスリングを外したら前玉まで仮の状態で組み戻す。
③ 無限遠の調整。
④ 再びシャッターユニットを外すまで分解してフォーカスリングを取り付ける。
⑤ 本組み立てを行う。
 
となりまして途方もなく手間と時間のかかる無限遠の調整作業となります。
「手間のかかる子ほど可愛い」とはいえ、いくらなんでも手間にも限度があると思いますが…。
 
しかし、このカメラは以前に誰かが分解したような跡はない感じがします。
仮に過去に分解されていたとしてもこんな手間のかかる無限遠の調整には手を出さなはずです。
だとすると製造工場出荷時からこのような状態だったような気が…。
 
 
フォーカスリングを取り付けてみたらやはり位置が変わりましたね。
黒い色の中にある線が調整前でピンクの中にある線が調整後です。
 
これ以降の作業は以前投稿した記事で紹介した内容と重複するので割愛いたします。
 
 
何回も何回もバラして組んでの繰り返しにウンザリしてしまい集中力が低下してしまったので本日はもう組立を止めようと思っていたのですが、もう指がこのカメラの構造を憶えてしまったかのように動きサクサクと組み上がって完成してしまいました。
各部を調整しながら動作チックをして問題無ければ再びテスト撮影を行います。
 
当初は『特殊な治具でも自作しないかぎり無限遠の調整はできない』と判断し治具の製作方法などを真剣に考えていたのですが、そういう時に限って全くアイデアは浮かばないものです。
それなのに全く別の作業している最中なのに突然「あっ、そうだ!治具なんかじゃなくてピンセットが引っ掛かる穴をヘリコイドに掘ればイイんじゃね?」と全く違う方向から発想のアイデアが浮かんだりするのですから不思議なものです。
結果につながるアイデアの種となるヒントを頭の引き出しの中にどれだけ持っているかが肝心なのかと思います。