4月2日のテスト撮影日和を逸して以来、本日まで天気は雨またはクモリといった状態でなかなかテスト撮影の続きに出かけられません。

まだしばらく天気が悪いようです。

 

 

さて、ペンタックスのM42マウント一眼レフ用レンズ スーパー マルチ コーテッド タクマー 35mm F2 (トリウムレンズ)の組み立ての続きです。

トリウムレンズの黄変除去のために三日間ほど紫外線による日光浴をさせていたため、その間は作業ができなかったのでキャノンデミEE17をもう一台修理していました。

 

 

日光浴が終わったレンズです。

光の加減が悪いせいで若干レンズがくすんでいるように見えますが、そんなことは全く無く黄色味は完全に抜けてクリアな透明になりました。

 

 

後玉のレンズの中に繊維のような物が入っていたので分解して除去しました。

 

 

清掃の終わった後玉を組付けます。

 

 

分解時に無限遠の位置を確認する事ができず(忘れたわけではない)に分解してしまったのですが、過去に分解した人がケガいたと思われる「合わせマーク」がありました。おそらくヘリコイドリングにあるこのネジ穴(またはその直近)に合わせられているのではないかと思います。

 

 

フォーカスリングを仮組してみると無限遠が合っているように思えますが…

 

 

矢印の部分に邪魔されてフォーカスリングを取り付けるネジを締めることができません…。

私の予測した無限遠の位置が間違っているからかもしれません。

 

 

無限遠の正しい位置を改めて探し出すためにフォーカスリングを付けずに前玉を取り付けて仮組します。

この状態でカメラ本体に装着します。

 

 

 

本体にピントスクリーンとレリーズを装着して

 

 

いつもようにデジカメをセットしていつものようにヘリコイドリングを左右に動かしてピントの合う場所を探し出すだけなんですが、今回は何かがいつもと違います。

何かが変です。

何度もヘリコイドリングを動かしてみて理由が判ったのですが、ヘリコイドリングの動きに対するピントの変化がすごく敏感でその反応はカリカリのキレッキレッ過ぎるのです。ピントの変化度合いに私の眼が追い付かずベストポイントを見逃してしまうのです。

私のような老眼のオヤジには尚更です。

ヘリコイドリングに伝える指からの僅かな力加減だけでピントが微妙に変化してしまいます。

まるで1970~1980年代の大型バイクの4連キャブレターのシンクロ(同調)セッティングでいかにスムーズに加速させ且つ低いアイドリング回転数を維持できるようにするかのように調整した時みたいで久しぶりにシビれました。

 

 

当初私が予測していた無限遠ではこのようにボケていました。

 

 

それよりも少し緩めた方向でココまでのピントになりました。

私にはこれが精一杯です。

 

 

無限遠の位置がズレたので画像のようにフォーカスリング取付ネジが見えるようになりました。

なのでやはり私の予測は間違っていたのでしょう。

無限遠の調整が終わったので前玉は外しておきます。

 

 

新しい「合わせマーク」の印を付けておきます。

 

 

フォーカスリングの取付ネジだけがナゼかというよりも有難いことにプラスネジになっていました。

 

 

更にネジは磁力に反応してドライバーにくっついてくれます。

これはペンタックさんグットジョブですよ!

あんな奥まった所にネジ山があるのでマイナスネジだったらエライ苦労します。

 

 

フォーカスリングが組み上がりました。

 

 

前玉を組付けます。

 

 

フィルター取付リングを三本のマイナスネジで組付けます。

 

 

最後に銘板を取り付けて完成です。

 

アサヒペンタックスのタクマーシリーズは構造が素直で比較的単純なのでレンズ修理の入門者向けという雰囲気もあります。

この35mm F2はとても構造が単純で前玉も一番手前のレンズを外そうとすれば簡単にポロッとユニット一体で外れてしまいます。

後玉も最初のアクセスでユニット一体で外せます。

ここまで分解できればUV(紫外線)ライトが無くても太陽光線に数週間ぐらい当てれば黄変は無くなるのではないかと思います。

 

今回初めて一眼レフカメラのレンズの無限遠調整を行ったのですが、その敏感さとセッティングの難しさには驚かされました。

レンジファインダーカメラの時はヘリコイドリングを動かすとメリハリがあって簡単にピントの変化が判るので「まぁこんなもんだろう」という感じで簡単に落しどころを見つけて設定ができました。

しかし一眼レフカメラのレンズだとヘリコイドリングを動かすととても敏感に反応しながら無段階且つ微細な感じで「じわぁ~」という感じでピントが変化していくような感じがあるためどこから変化が始まったのかがわからず「ここが一番ピントが合っている」と判断するのが非常に難しく、何度も何度もヘリコイドを左右に動かしてやり直すことになってしまいました。

それだけコストをかけて高品質で精密な造りをしているのではないでしょうか。

 

まぁ、なんにせよ無限遠の調整したのだからこのレンズも確認のためのテスト撮影をしてみないといけません。

初めての一眼レフレンズでもありますし…。

最近フィルムの価格が上がっているので結構きついんですよねぇ~⤵⤵⤵

 

と、ここまで書いて昨日投稿したのですが

今朝になって『オリジナルの同じレンズがもう一本あるんだからそれと比較すればテスト撮影の必要無く無限遠を確認できるのでは?』と思いついたので早速やってみることにしました。

 

 

右側がオリジナルのレンズです。

 

 

矢印のフォーカスリング取付ネジの位置を確認したくて銘板とフィルター取付リングを外しました。

位置はホボホボ合っていますね。

 

 

いつもの通りデジカメで無限遠を測定

 

 

結果はこの通りです。

ゾーンフォーカスのハーフサイズカメラと違ってピントがきっちり追い込まれています

 

 

昨日修理した方はこんな感じだったので殆ど同じと言えるでしょう。

ここまで近似していればわざわざテスト撮影をして確認するまでもないでしょう。

ただし、上のオリジナルの方の画像が黄色味を帯びています。

これがレンズ黄変の影響ですね。

とうことでこちらのレンズも分解して前玉と後玉を取り出して紫外線浴をさせます。