ヤシカのハーフ 17です。
本日は修理対象の個体を分解していきます。
まずは前板を外していきます。
当面の目標はセレンを分離する事です。
革の一部を剥がします。
前板が見えてきました。
巻上げダイアルとシャッターを連結・連携している部分のEリングを外します。
この個体はセレンと露出計の結線が直結となっています。
以前分解した個体は結線の途中でハンダ付けされていて分離し易くなっていたんですがねぇ…。
仕方がないので露出計もボディから外します。
青い色の電線はストロボに繋がる線です。
それよりも.....
ナ、ナント!
セレンに繋がる日本の配線の片方は裸線ですよ!
まぁ、露出計本体にハンダ付けされているのでアースと同じですから短絡の心配はないのでしょうけど。
コストダウンのためじゃないかとは思いますけど…。
これだから作業をしていると気分が⤵になるのです。
セレンの配線がハンダ付けされている部分を画像にして記録してから外します。
後玉を外したらシャッターユニットを前板から外すため矢印のナットをカニ目スパナで緩めて外します。
ハーフ 17を分解した方々が何故か誰も指摘していませんが、このナットは異常なほどに固いです。ちょっとやそっとの力じゃ緩みません。カニ目の山をなめてしまう程です。
ですから画像の様にフォーカスリングをバイスで固定して緩めようとしないでください。矢印の所にフォーカスリングを貫通しているシャフトがあります。
これがストッパーになってフォーカスリングの過回転を防いでいるのですが、この方法で緩めるとそのシャフトに負担がかかりへし折れてしまいます。
私はそれでハーフ 14を二台破壊してしまいました。
この様に前板をバイスで咥え込むようにしてください。
ネジが固着して緩まない場合はCRC 5-56のような浸透潤滑剤が使われますが、
私はこのCRC 3-36を使っています。これは潤滑剤ではなく防錆剤なんだそうですが浸透力がとても強いようでかなり効果があります。
あと電池の液漏れによって腐食した電極の緑青の除去などにも素晴らしい能力を発揮します。
スプレー缶の場合は必要以上に大量に噴射してしまい油分を吹き付けたくない場所にまで噴霧してしまう場合があります。
そのため画像のような細いタイプのノズルに交換します。
ネットで探せば簡単に入手できます。
先端には更に細いパイプをエポキシ接着剤で取り付けて噴射量を制限させています。
先端を曲げておくと穴の部分から内部へ噴射する時に便利になります。
忘れていました!
ナットを緩める前に
矢印部分のネジを外して各アームを取り外します。
左がEE機構連動アーム、右がシャッター巻上げ連動アームです。
前板とシャッターユニットを結合していたナットは思いのほか簡単に緩みました。
今迄で一番の力いらずでした。
この事からこの個体は外観は今一でも内部の状態は上々のようです。
ナットを緩めるとこのように分離します。
上が前板
下がシャッターユニットです。
シャッタユニットにはこのように二枚の輪っかがついています。
白←の溝にシャッタボタンのピンがはまり押し下げられることにより
左斜め上にあるバネを介して下側の輪っかに力が加わり赤←の爪が押し下げられることで黄←の爪が押し下げられてシャッターが切れます。
水色←はタイマーとの連携用です。
ずいぶん複雑ですね。
この状態でシャッターの開閉動作の確認をしたらB(開放)でもキチンと動作しています。
昨日分解せずにフライホイール部にベンジンを流し込んだのが良かったみたいです。
という事で今回はフライホイールは分解せずにシャッター羽根だけを分解して洗浄します。
シャッターユニットを裏返して三カ所のネジを外します。
そうすると二つに割れます。
シャッター羽根が出てきました。
黒いビニール製のようなパッキンというかスペーサを破らないように取り外します。
シャッター羽根を挟んでいる前後のプレートのシャッター羽根面はベンジンで清掃しておきます。
シャッター羽根を取り外しました。
ん?
ん・ん・ん・ん・ん?????
羽根が4枚もある!?
昨日分解したユニットは3枚だったぞ!!!
上の小さい羽根が1枚しか入っていなかったぞ!
昨日分解したシャッターユニットのボディを調べてみたら
革を貼り付けた接着剤が純正とは違っていました。
それにセレンの配線が途中で切断されていてハンダで再び結線されていました。
明らかに過去に誰かに分解・修理されていますね。
その時に羽根を一枚紛失したのでしょう。
とにかく
羽根をベンジンに漬けこみます。
分解とは逆の順番でシャッターユニットを組上げ前板と合体させました。
昨日の部品取りでの練習が功を奏して大変スムースに組み上げることができました。
シャッターはB(開放)だけではなくマニュアル時のF1.7~F16.0まで全てスムーズに開閉するようになりました。
次に後玉を分解して清掃します。
後玉を取付ました。
これで前板とシャッターユニットの組上げは完了です。
今回はここまでとします。
次回はボディのモルト貼替から始めます。





















