ヤシカのハーフ 17です。

名前に「ハーフ」と入っているようにハーフサイズフィルムカメラです。

 

 

以前にこれの上位機種となるハーフ 14というカメラを修理したのですが...

いやあれは修理というよりもレストアという言葉の方が相応しかったのですが...。

レストア作業をしているとどうしても気分(モチベーション)が下がってしまうんですよ

理由は「え!こんな構造でイイの?」,「もう少し丁寧に作れなかったのかなぁ⤵」

「だからまともに動かなくなるんだよ!」といったような独り言が連発してしまうんですよ。

つまり『もっと各部品の品質や精度を上げるべきじゃないだろうか⤵』と思ってしまうのです。(これはあくまで私個人の客観的な感想であってこれらのカメラ達を誹謗・中傷しているわけではありません)

ハーフ14はがんばって手を入れてもなかなか復活してくれなくて結局は5台を同時に並行に分解して3台がレストアに成功しました。

しかしそれでも『おそらく6ヶ月、いや下手すりゃ数ヶ月でシャッターが切れなくなるかもしれないな。』

と判断し販売時には「受け取り後に不具合が発生たら即刻返品してください。」という文言を書いた手紙を同封しました。

 

 

ですから今回のハーフ 17を修理する場合も予備にとあと三台用意して分解・修理をしようと思います。

一台は以前にハーフ 14との構造の違いを確認するために途中まで分解しています。

 

 

三台のカメラの裏蓋は錆が浮き出ています。

塗装が剝がれて錆びたという感じではなく塗装の下から錆びたような感じです。

更に蓋と干渉するボディ本体の上下部分も腐食しています。

残りの一台だけはとても綺麗でした。

塗料に何か問題があるのでしょうか?他のメーカーではここまで高確率でこのような状態なる機種はあまりないと思うのですが…。

この辺のクォリティ(品質)がいかがなもんかぁ~。と思ってしまうのです。

 

 

更に

ファインダー内の露出計の指針です。

三台とも(一台は不動)光量はほぼ同じです。

一台目の指針は250の下おそらく500辺りをほぼ平行に指しています。

 

 

二台目はひょっとしたらセレンが劣化しているのかも知れませんが

指針が250の上を指しています。

しかし指針が左に下がっていますね。

 

 

そして三台目です。

指針の位置は一台目とほぼほぼ同じです。

しかし指針が二台目よりはましですが一台目よりは少し左に下がっています。

 

こういったバラツキがあるため???となってしまいうのです。

他メーカの製品はキッチリと揃っているんですがねぇ…。

いったい当時の部品の精度や歩留まりといった管理はどのようにしていたのだろう?

と疑問に感じてしまうのです。

 

『そんなに悪態ばかり出てくるなら修理なんかしなければよいではないか!』とご指摘される方もいるかと思いますが…。

『できの悪い子ほどかわいい!』ということわざがあるやないですか。

当にこんな感じで、放っておけないんですよね...。

できの悪い子だからこそ何とか修理して元に戻してやりたいと思ってしまうんです。

(正しいことわざは「できの悪い」ではなく違う言葉を使っていますが、あまり良い表現じゃないのでこの様に変更しました)

 

 

ということでまずはファインダー内の露出計の指針が正しいと思われた一台目のカメラの軍艦を外してみました。

すると指針が見事に曲がっています!

しかも意図的に曲げたような感じもします。

光源を遮って確認するとやはり上部のアンダーを指し示すどころか1/30秒にも届きません。ファインダー内を掃除する時に針を修正します。

まぁ、指針が正しい値を指し示していなくてもあまり問題はないはだろうと私は思っています。

要はセレン電池や露出計が正常でそれに連動して動くEE機構が正しく動作していれば良いのですから。

ですから指針が曲がっていても結果的に綺麗に写っていればそれで良いのではないかと思いますしこの機構では正確な値を指し示すのはかなり難しいとおもいますから。

とはいえ理屈ではなくズレているのは気分が悪いので極力修正します。

要は気分の問題ですね。

機動戦士ガンダムというロボットアニメの名台詞の一つに

『(宇宙区間での)あんなの(ロボットの足)は飾りみたいなもんですよ!上の人たちはそれが解らんのですよ!』

という台詞があるんですが言いえて妙だなと彷彿させられました。

現代のカメラでは考えられない事、というよりもあり得ない事でしょうが

それが60年に及ぶ技術の進歩なんでしょうねぇ。

 

 

さて、ハーフ 14&17でよくある不具合の症状として

 

1, 露出計が動かない

2,フィルム巻上ダイアルが巻き上げても定位置でロックが掛からない

3, シャッターが開かない

 

があります。

 

1, はセレンの劣化または接触不良、配線の劣化等が原因です。

2, ストッパーになるロックが所定の位置まで飛び出していない事が原因です。ちょっと解りにくいのですが洗浄したり微調整で治ります。

一番厄介なのが3, です。ハーフ 14&17のシャッター機構はちょっと変わっていて画像の様に黄←のレバーがスプリングの力で赤←のフライホイールを蹴飛ばしその遠心力と慣性力でシャッター羽根を開閉するシステムです。

 

 

そして上の動画の様に

シャッター羽根が開閉していなくてもシャッターボタンが押せてしまい、しかも『カシャ!』っというシャッターが切れたような音がするのです。

ですからシャッター羽根が開閉しない又は少しだけ開いた状態であっても『シャッターが切れている』と勘違いされて売られていることがあります。

特にハーフ14はほぼ全てが羽根はまともに開いていません。

非常にややこしい問題です…。

 

このような症状はいったい何が原因なのでしょうか?

どの様に対処するべきなのでしょうか?

実は原因と対処方法はかなり簡単なのですが、このシャッターの構造は単純なようで実はかなり複雑な理論が関係するのでそれらの説明は次回とさせていただき本日はここまでとさせてください。