オリンパス ペン EES-2 です。

ようやくこのカメラの無限遠の調整を行います。

 

 

ですが問題があります。

EES-2には前述の通りシャッターの開放機構がありません。

ですからシャッター羽根を強制的に開放させる治具のようなものが必要になります。

でも無理にこじ開けようとするとシャッター羽根を曲げたり凹ましたりと傷を付けてしまう可能性があるので慎重に行わないといけません。

 

 

最初は爪楊枝でシャッターが閉じるのを止めてそこに切り出した薄いアルミ板を差し込んで強制的に開いて固定しようかと考えていました。

しかしあまりスマートな方法には感じません。

この画像の状態でシャッター部を眺めながらしばし黙考してたらヒラメキました!

『シャッター羽根が開閉するこの丸い部分に内径より小さいプラスチックかアルミ製のパイプを差し込んでみたらどうか?』と。

であれば内径の正確な情報が欲しいけど手が入らないので測れない...。

 

 

というわけで分解してはみたもの再生不能と判断されてジャンク部品となった物の中をゴソゴソして画像のようなペンのシャッター部の部品を探し出してきました。

これによるとシャッター開閉部の内径(黄←)は13㎜でレンズ(後玉)の外径は10㎜でした。

という事は外径が12㎜で内径が11㎜のパイプが望ましいことになります。

 

 

 

ピッタリのサイズがありました!

しかもポリカーボネート製なので柔らかいのでシャッター羽根やレンズへの影響が少なそうです。

でも三本もいらなかったのに…。

その分値段がお高めだったので残念です。

これで治具を作成します。

 

 

まずは適当な長さにパイプを切断します。最初パイプカッターで切断を試みたのですが、材質が柔らかすぎてカッターの刃が食い込まずパイプが変形するだけです。

結局カッターで切断しました。

 

 

両端面のバリをカッターと耐水ペーパーで面取りを行い角を丸くしておきます。

全長は約31.5mmとなりました。

 

 

そしてこのようにシャッターを切って羽根が開放状態になった瞬間にパイプを差し込みます。

コレ、かなり難しかったです!

前面を机に向けて作業をすると赤ベロが出てしまってシャッターが切れなくなるし

シャッター羽根にパイプを強く当てすぎるとシャッターが開かなくなる。

何度も何度もトライ&エラーの繰り返しになりました。

せめてパイプの外径を11mmにしていればもう少し楽にできたかもしれません。

あと、パイプの長さは銀色の内側のレールまでの高さより低くなるようにしてください。そうしないとピントグラスを装着できなくなります。

 

 

ピントグラスを装着します。

(すみません!作業に夢中になり過ぎて撮影を忘れてしまいましたので代用です。画像はコニカ Eye3です)

 

 

さてこれでシャッターを開放にしてピントグラスを装着できました。

最後に絞り羽根も開放にしなければなりません。

まずレリーズボタンを装着してレンズキャップも装着します。

それからレリーズボタンを介してシャッターボタンを押します。(この時フィルム巻上げダイアルには触れない・動かさない)

レンズキャップによって光を遮られてしまい赤ベロが出る状態になりますので絞り羽根も開放となります。

レリーズボタンによってシャッターボタンが押された状態を維持するようになるので…。

 

 

このように絞り羽根が開放状態となります。

(注:この画像は無限遠の調整作業を完了させた後に本ブログを書いている最中に説明用に改めて撮影しているためシャッターは開放になっていません)

 

 

ようやく準備は完了しました。

そして前回のコニカ Eye3 と同様に光源を後ろにしてEES-2とデジカメを軸線を合わせて向かい合わせにします。

 

まずは現状を確認してみましょう。

 

 

まずは無限遠です。

ボケ過ぎて殆ど見えません。

 

 

次に3mです。

少し良くなったような感じがしますがまだまだお話になりません。

 

 

1.5mです。

変化無さそうですね。

 

 

1mです。

若干良くなった?

結局のところ全域でピントが全く合っていません。

やはり調整が必要になります。

 

 

EES-2の無限遠を調整するにはこの銘板リングを外します。

このリングがフォーカスリングと前玉を連動させています。

 

 

リングは側面にあるこの三本のイモネジを緩める(外さなくてもよい)と外れます。

リングが外れると前玉がフリーになりますので左右に回転させることでピントを調整します。

 

 

最終的にこのようになりました。

1/4回転(90度)以上ズレていました!

かなりピントが良くなったのではないかと思います。

自分なりにできる限りの事を成し遂げたという感はありますが…。

 

レンズの外径が小さいため左右に微妙に回転させるのが非常に難しい上に液晶モニターに映る画像も小さいため微妙なピントを調整というのが至難となり何度もやり直すハメになりました。

そのため作業に集中(熱中)しすぎて撮影を忘れて組上げてしまった箇所がいくつかありました。

 

更に銘板リングの取り付けの際に前玉に触れてしまうと、せっかく無限遠の位置を調整した前玉が再びズレてしまうんですよ!

これまた何度もやり直したり銘板リングをはめ込んだ後に前玉だけを微動させてみたりと結構手間取りました。

やはり『合わせマーク』は必要ですね。

コニカ Eye3の方は他の部品を組み込む前にしっかりネジで締め込んで固定できるのでやり易かったですね。

 

あとピント調整作業をしていて気付いたのですが.....

カメラとデジカメこれら双方のレンズの軸線を治具もなくフリーハンドの手作業だけで完全に一致させるという事は不可能でないかと思います。

軸線が左右または上下にズレていたら厳密にはピントが合っていないのではないかと思われるのです。

それでもやらないよりはやった方が良いとは思いますが…。

結果はテスト撮影してみれば判ると思います。

そうなってくると次回のテスト撮影は不安というかちょっと怖いですねぇ。