オリンパス ペンEES-2修理の続編です。

 

実は先日のセレンユニットの鏡胴への取付時に大失敗してしまいました。

 

 

表面の透明なプラスチック部分とセレンの取付ベースのプラスチック部分はASA調整用の金属リングを挟んで組付けるのですが、透明無部品の向きを間違えて逆に組付けてしまい再組付けをしたのですがその際に既に乾燥してしまった接着剤を再利用しようとして有機溶剤を流し込んだのですが、過量に流し込んでしまった為に各々のブラスチック部品が画像の様に溶けてしまいはASA調整用の金属リングを挟んで溶着してしまいました。

このためASA設定ダイヤルが動かなくなってしまいました。

まったく持って愚かですね。

仕方ないので予備に取っておいたジャンク部品を移植して事なきを得ました。

 

 

このように綺麗に組み上がりました。

 

次に前玉の組付けです。

前玉は分解時に無限遠の位置が判るように(忘れないように)必ず目印(合わせマーク)をペイントマーカー等で付けておくことを沢山の方々が口を酸っぱくして説明されています。

ですが私はもう一点追加して

「前玉がヘリコイドから外れる位置」にも目印をつけています。

私は何故かヘリコイドにネジ込むのがとても下手で最悪の場合はこのオリンパス ペン

シリーズだと30分以上かかってしまいます。

そのため前玉がヘリコイドから外れる位置をなるべく正確にマークすることで時間と手間を大幅に削減できるようになりました。

またペンシリーズの前玉はとても小さいため親指と人差し指でつまむような感じとなり非常に滑りやすくなるのでゴムの指サックを付けて作業すると更に効率が上がります。

 

 

ちょっと見にくいですが右側の黄色が無限遠の合わせマーク

左側のピンクがヘリコイドの合わせマークです。

 

 

更にフォーカスリングを取り外す前に無限遠の合わせマークを付けて画像に残しておきます。

見にくいですがにLensの文字の「s」の位置に銀色のマークが付いています。

こちらの方が先程の黄色のマークよりも正確です。

 

 

こちらが際組上げした状態です。

ほぼほぼあっています。

これでレンズユニット&鏡胴の組上げが完成しました。

 

次はタッチアップです。

 

 

製造されてから60年近く経過していますからこういった部分的な塗装の剥がれは仕方ありません。

しかし色が灰色というのが問題です。

黒だったら単純に黒の塗料を使えばよいのですが(光沢加減の調整は必要です)、

灰色だと色んな色調の物があるため困りものです。

 

 

私は塗装の塗料はガイアノーツのプラモデル用塗料を使っています。

密着力や耐久力に問題はありますが使いやすさと好みでこれを使っていきます。

ガイアノーツには灰色はI~Vまで5種類あります。

それで始めにIVをチョイスしましたが明るすぎる

次にVを入手したら今度は暗すぎる。

仕方がないので両方の灰色Vと黒を適当に混ぜて自分で調色していきます。

オリジナルの色に完全に合わせることはできないかもしれませんが努力します。気の長い時間のかかる作業です。

あと塗装の光沢加減も調整するのでフラットベース(艶消し材)も必要であれば添加します。

 

 

プラモデル用の塗料で金属に塗装をすると非常にはがれやすいので密着性を上げるためにガイアノーツのマルチプライマーを下地材として塗装します。

これはナカナカの優れもので強力す。

 

 

更にスプレー塗装と違って筆を使って塗装すると筆跡や筆ムラが残るといった事をよく聞きますので、私はこのリターダーを塗料に対し15%程度添加して塗料の感想を遅らせて筆跡や筆ムラが残らないようにしています。

これもかなりの優れものです。

 

 

ようやく調色が完了しました。

段差が無ければほとんど違いが判りません大成功です。

ほんの少しずつ黒または灰色Vを足して実際に塗ってみて乾燥させて(乾燥すると色味が変わるので)何度も繰り返して色調を確認してオリジナルに近付けていったので5時間くらいかかってしまいました。

乾燥を待つ間にモルトの貼り替え等他の作業をしていました。

黄←の方は光沢強い感じがしたのでフラットベース(艶消し材)を少々添加して光沢を落としたのが赤←です。

今回は灰色だったので取り敢えずは白と黒色の混合比といった感じなのでここまで上手に調色できましたが、もし赤や青、黄、ピンクといった色だったらここまで同じ調色はできないはずです。

 

 

次にモルトの貼り替えです。

私はこの作業がカメラ修理の中で一番嫌いです。とても面倒くさいですから。

軍艦や底蓋を取り付ける前に作業をした方が貼り付ける溝部へのアクセスが楽になります。

先ずはラッカーシンナーと細いマイナスドライバーを使って古いモルトのカスを除去します。

モルトは様々な機種に合わせてカットされた糊テープ付きモルトを 

Aki-Asahi.comさんが販売してくれています。

カメラ革専科 [Aki-Asahi Custom Camera Coverings]

興味のある方は覗いてみてください。

本当は糊テープの付いていないモルトを自分寸法通りにカットして接着剤を使って丹念に張り付けなければダメだと師匠に教わったのですが、それでは時間がかかりすぎるので費用対効果でAki-Asahiさんのお世話になっております。

 

一晩経過して塗料が乾きました。

結果は大成功です。

 

 

画像があまりよくないせいもありますがどこをタッチアップしたのか判別不明です。

 

 

こちらでは塗料に若干の段差が付いているので判別できますが色と光沢は全く同じと言えそうです。

段差ができた理由として、このように微細なタッチアップの場合は塗料を筆で塗るのではなく筆で置くという感じで行うからです。

このため塗料が盛り上がって乗る(付着する)からです。

この段差が気に入らなければ耐水ペーパーで磨きだす方法もありますがここまで小さいとそこまでする必要はないと思います。

まぁなんにせよ、今回はオリンパス ペン用のタッチアップペイントの調色に成功したことで今後のペン修理の強力なツールが完成したことになります。

 

次に革を貼り付けます。

 

 

私が革の貼り付けに使用している接着剤はコニシボンドのG103です。

どこでも簡単に入手できる接着剤です。

ただ、このままストレートで使用すると粘度が高いため膜厚な塗布となってしまい革を貼り付けると余剰な接着剤が端部からはみ出してとても醜い仕上がりになってしまいます。

そこで溶剤で希釈してこれくらいまでサラサラにします。

これ以上サラサラではなくシャバシャバにしてしまうと乾燥時間が早くなってしまい接着力が落ちてしまいます。

特に鋭角な端部が…。

元々劣化しているので反り返っている場合は尚更です…。。

だったら新しい革で張り替えれば良いのでは?と思われるかもしれません!

ですが私はこのカメラが半世紀以上の時間を生き抜いてきた証として敢えて当時からのオリジナルの革を慎重に剝がして再利用します。

ですから革の剝がしと貼り付けには最重の神経を払って時間をかけて作業をします。

 

 

とはいってもこのように接着剤がはみ出してしまう場合があります。毎回の事です。

この様な時は…。すぐに対処せずに10分程度放置して少し乾燥させて粘度を高めます。

 

 

そうしてからピンセットで摘まんで引っ張るとこのようにまとまってくれるので

それを更にピンセットで除去していきます。

 

 

するとこのように綺麗に仕上がります。

 

フィルム巻上げボタンを取り付けてから底蓋を取り付けます。

 

次に軍艦の取付です。

 

 

オリンパスの設計者の設計の崇高さがこの画像から見て取れます。

製造後に分解修理された時のことを想定していることが伺われるのです。

まず赤←です。白のストロボ用の電線が途中でハンダ付けされています。

これは後々に軍艦が取り外されることを想定しているので、わざわざ一手間掛けているのでしょう。他のメーカーは一本の電線で直付けしています。

黄←の部分。ここにはセレンからくる黒と緑の電線と露出計からくる赤と黒の電線が抵抗を介して結線されて余った電線をクルクルと巻き上げてまとめられています。

つまり電線の長さにかなり余裕(長すぎ)を持たせています。

これは断線防止のために余裕を持たせているという理由もありますが、後々の修理の時に電線を切ってしまった場合に再結線しやすい様に電線の長さに余裕を持たせているのではないかとも思われます。

弱電の電気工事士の中にはこのように後の修理を想定して敢えて電線に余裕を持たせる方がいます。

 

 

私はハンダ付けがあまり上手ではないのですがこのようになっていると結線作業が楽になります。

ハンダ付け作業が下手な私はその対策として高級(高額な)ハンダごてを使って自分の未熟な能力を補っております。

そうでなければ出力が10W程度の小さなハンダごてを使用することです。

カメラに使われている電線の太さだと30Wでも熱量が多すぎて不必要な部分にまで熱が伝わってしまい溶解してしまう場合があります。

 

 

ハンダ付けした部分をビニールテープで絶縁します。

 

 

3個のネジで軍艦を取り付けます。

もう1個のネジはストラップホール直近です。

 

 

フィルム巻上げハンドルを取り付けます。

 

 

ストラップを取り付けて完成です。

 

それではテスト撮影を近日中に行います。