minolta HI-MATIC C です。

 

レンズイン

淡い緑のボタンがクリームソーダの色に似ていてとてもチャーミングです。

このボタンを押すと

 

レンズアップ

ポン!とバネの力でレンズが飛び出します。

レンズを収納する時は再びボタンを押しながらレンズを押し込みます。

 

ボタンの色といいレンズが飛び出すギミックなど玩具チックな感じがそれなりに面白いですね。

でもこのレンズが飛び出す構造に難があります。

私が入手した個体はレンズが沈胴した状態で長期間放置されていたようでボタンを押してもレンズが出てきません。

 

腐食による固着

しょうがないので全バラに分解して見ると前板のレンズ可動部ががこのように腐蝕して固着していました。

 

腐食

原因はレンズが飛び出す構造上本体とレンズユニットの間に隙間があるため遮光の為に使われていたモルトプレーンが経年劣化で加水分解した時に腐蝕したのでしょう。

これらの腐蝕を全て取り除かなければなりませんが、この時重宝したのが

 

CRC 3-36

呉工業のCRC 3-36です。

これ、同社の有名なCRC 5-56より浸透力がはるかに優れていて金属の腐蝕部分に吹きかけるか腐蝕が酷いときはをこの液に漬け込んでから除去をすると作業がはかどります。

特に電池の液漏れで腐食した電極の清掃時に使用すると素晴らしい効果があります。

でもこれ実際は防錆剤なんですけおどね。

なぜかこの商品は殆どのホームセンターに在庫されていません。

こんなに優秀なのに勿体ないです。

 

稼働部品

 

レンズユニットを稼働させる一番重要なリングもこのように腐蝕していました。

これらの腐蝕を全て取り除かなければなりませんが稼働部品なので更にある程度磨き上げる必要があります。(仕上げた画像がなくてすみません)

 

プラスチックボディ

 

カメラ本体はプラスチック製で外側をアルミの最中に覆われています。

おかげでカメラ本体はとても軽量なのですが、プラスチックの欠点で以前このカメラを修理しようとした人の技量がかなり低かったようで数か所のネジ山が潰れてしまって外すことはできても再び締めこむことができませんでした。

このような場合は

 

JBウエルド

 

こういった強力なエポキシ接着剤を大量にネジに塗りたくってネジ山がバカになった穴に一番奥まで締めこみます。そして硬化するまでそのまま放置しておけばネジ山を再生できます。

 

電気基板は腐食無し

前の修理人は露出計に通電されないため修理しようと露出計付近の電線をはんだごてで外そうとして失敗した跡がありました。(画像とは違う場所です)

結局自分では修理する事ができずにヤフオクに出品したようです。

通電しなかった本当の原因は電池室で+,ーの電極が短絡していたんです。

まさかこんな所が短絡しているとは思わないでしょうねぇ。そこは同情します。

これもエポキシ接着剤で絶縁させました。

 

しかし...。

修理に失敗したからといってヤフオクに売りに出すというのはいかがなものかと思います。

私は自分で壊したものを出品するという行為を非難しているのではありません。修理人としての自覚があるのならなぜ失敗したのか反省&反芻して残念がらジャンクとなってしまったカメラはそのまま在庫しておいて次回同じカメラを修理する時の貴重な部品取り、ドナーとして活用するべきだと思います。

そうじゃないとただ臭いものに蓋をするだけで自身の修理能力のスキルアップにはならないでしょう。そんな付け焼刃な姿勢では成長は望めません。

 

正直修理に失敗したカメラをヤフオクで掴まされた時は首を捻りながら悔しく思ってしまいますが、出品者が修理できなかったカメラを再生できた時は心の中でドヤ顔になります。

また、再生不能であっても貴重なドナーとして活躍してもらいます。

ドナー無しにカメラの再生は無理でしょう。

 

思ったよりも文章が長くなってしまったので今回はここまでとさせていただきます。

テスト撮影の結果は次の投稿にさせていただきます。

果たしてここまでボロボロだったカメラの写りはどんなもでしょうか。