昨日の続きです。
その前に一点補足説明があります。
先日この個体はもう一台といくつか違う部分があって特にシャッタースピードが1/250秒から1/300秒になっていると書きました。
実はこの個体、PETRI Color 35 の上位機種で PETRI Color 35 Delux という名なのだそうです。
ですから軍艦のファインダー右の黒い部分にDelux の ”D” の刻印が入っているそうです。
本当だ,しっかり ”D” の刻印があります。
だからシャッタースピードが1/300秒になっていて黄色の印字がされていたんですね。
それ以外は普通の Color 35 とは何も違わないそうです。
さらにこの個体は想像以上に程度が良く、ファインダーもとても綺麗なため分解・清掃といった手を加えません。
また電線も腐食がとても少なくハンダもまだピカピカに光っているのでこちらもそのまま再使用します。
悩んでいたcdsセルは今までの実績と撮影してみて以前のような大失敗だったらフィルム&現像代が無駄になってしまうことを憂慮して交換する事にしました。
上が今回製作した物で下がオリジナルです。
製作過程でスリーブのカットで失敗しまして長さ(高さ)が短くなってしまいました。
対策としてエポキシ接着剤を肉盛りして嵩を増やします。
換装後に成形・微調整を行います。
前板を取付ました。
エポキシが完全に乾く前に成形した方がやりやすいですね。
ホボほぼ同じさいずになりました。
キレイに嵌りました。
KONICA Eye 3 ほど寸法公差が厳しくないので多少雑な仕上げでも
問題ありません。
前面の固定プレートを取付けて完了です。
話は変わりますが60年代後半のカメラは+ネジと-ネジが混同しています。
右奥の前板を締め付けるネジは+です。
混同していると結構煩わしいです。
ASA設定ダイアルのクリック感を出すためにこの位置に1.2mmのスチールボールが入っていますので紛失に注意してください。
モリブデングリスを塗布してるのは潤滑のためというよりもスチールボールの脱落防止のためです。
因みに…。
私は作業時にスチールボールを発見すると直径を調べて一覧表に記入しておきます。
そうすれば紛失しても容易に代替品で対応できます。
というか私はそれほど良く紛失するという事です。
ASAリングをセットして銘板を締め付けリングで固定すれば鏡胴の完成です。
軍艦組付け時は特にこのフィルムカウンターの目盛りプレートに注意してください。
軍艦組付時に無理をすると軍艦と接触して折り曲げてしまいます。
アルミ製なのでとても脆弱です。
と、ここでトラブルが発生
軍艦を載せて露出計をチェックしたらなんと動きません
分解前はキチンと動いていたのに。
アレヤコレヤとイジッていたら今度はバッテリーチェック迄動かなくなってしまいました。
結局原因は分解して色々な場所をイジッたため配線のハンダ付けが数か所外れてしまっていたことでした。強化対策を施して再ハンダ付けをして修復を完了しました。
ヤッパリこうなるんですね。配線は血管のようであり神経のようなものでもあります。
という事で再度軍艦を載せます。
PETRI Color 35 は軍艦搭載時に注意点というかクセがあります。
右のシャッタースピードダイアルと絞り設定ダイアルが正しい位置にあって爪が中のダイアル本体の穴にキチンと嵌らないと動きません。
さらにこのピンがシャッターボタンの中心の穴にキチンと嵌らないとシャッターが切れなくなります。
これらがすべて合致していなくても少し無理をすれば軍艦が取り付いてしまうのでさらさらに厄介なんです。
そんなこんなでようやく完成です。
本来の予定では夕方にテスト撮影をするつもりだったのですが露出計が動かないという想定外のトラブルシューティングのため三時間程度ロスをしてしまいました。
明日の天気は雨だそうなのでテスト撮影は晴れるまでお手上げです。