さて、出品の作業が一段落ついたので
PETRI Color 35 の分解&修理の続きです。
まずはシャッタースピード "B" でシャッターが閉じない件です。
この黒い変形した輪っかのような部分がシャッタースピード調整ダイアルとリンクしている部品です。これを取り外します。
するとこうなります。
右側のプレートの下の約13時から15時30分の辺りにスローガバナがあります。
この辺りにベンジンを適量流し込みます。
そして巻き上げ&シャッターを切るを何回も繰り返します。
しばらくしてベンジンが乾くとシャッターがキチンと閉じるようになりました。
羽根に油じみが無いのでこれでO.K.でしょう。
ちなみにベンジンですが私は試薬の特級を使っています。
不純物を極力含んでなくて蒸発の速い物の方が良かろうという考えからです。
そしてシャッターダイアルとリンクする部品を取り付けます。
しかしこれが少々癖がありまして、例えば1/300秒の位置でもこれだけ差があります。
これだけ位置のズレがあります。
これがいわゆるガタです。とても大きいガタですね。
だから歯車の位置を一山分間違えてしまうんです。
次に前板を外します。
軍艦から順次外していきますが其の分解方法は他の諸先輩方が紹介されておりますので当方は割愛させていただきます。
ただ一点
シャッター部の中心にあるこのピンの紛失にはご注意です。
これです。
おや、なんかモダンな部品で電線が結束されていますね。
ということは電池室に繋がる電線の延長は製造時にされたものですね。
とか考えながら弄っていたら取れちゃったので
収縮チューブ使って
このように絶縁します。
そして前板を取り外しました。
すると.....。
レンズ&シャッターユニットが4本の柱(シャフト)に支えられて天上にせり上がっています。あまり見ることのない異様な光景ですね。
まるでエヴァンゲリオンの第三新東京市(使徒迎撃専用要塞都市)みたいです。
沈胴させるとこのようになります。
付随する4本の電線も見事に収納されています。
更に凄いのが
この2本のシャフトがな、なんと回転するんです!
このように歯車がが嵌合されています。
右のシャフトがシャッタースピードを
左のシャフトが絞り値を
それぞれ天上にあるユニットに伝達しているんです!
一体どうやってどのように考えたらこの様な発想に辿り着くんですかねぇ❓
これだけのギミックをあの小さなボディに内包しているんですから
実にあっぱれです。
更にレンズが沈胴している時はシャッターロックが掛かるようになっていたり
電池の寿命を気にしてかシャッタチャージされた時しか露出計が動かないよになっていたりと、
王様のアイデアがてんこ盛り状態です。
さて、
ハイライトはここまででして以降は地味な作業に戻ります。
黒い電線をハンダ付けするために電池室の穴に電線を通したいのですがこのままでは通りません。
そこで
呼び水ならぬ呼び電線です。
白い電線を電池室の穴から通して外に引き出して
黒い電線とハンダ付けで接続します。
そして白い線を引き戻して黒い電線を呼び込みます。
ハイ、黒い電線が穴から出てきました。
次に電極のハンダ付けする端子部分をヤスリで削って腐食を取り除き
端子をハンダメッキしてハンダを乗せて
電線をハンダ付けします。
老眼のため小さ過ぎて上手にハンダ付けできませんでした。
最後に電極を接着剤で固定して完成です。
今日はここまでです。
この個体は非常に程度が良いので電線は全て当時のオリジナルを再利用しました。
cdsセルは安全を取って新品に交換予定ですが一晩寝ながら考えます。