話が逸れてしまいますが、4~5日前にヤフオクをダラ見(ダラダラよ見る)していたらこの子の姉にあたるAuto S 1.6が500円で出品されていました。ウォッチはいくつか付いていますが入札はゼロ『そ、そこまで人気がないのか.....。』あれほど映える写りをするのになぁ。いや、わかっているんですよ。いくら実力があっても容姿がねぇ.....。
これはもう入札・落札・購入という普通の流れではなく『保護案件』です。私にとっては。
ということで我が家にやって来た Auto S 1.6 です。
軽く検品してみましょうか。
レンズはとてもキレイですね。というか私が手にした個体は全てこんな感じです。
後玉はチョットカビてましたけど、全然大丈夫です。
フィルムの巻き上げレバーが動かずシャッターも切れない。固着していると判断しようとした時に「そういえばEEモードで電池が入ってないとシャッターがきれないんだっけ」と思い出してマニュアルのF1.6にして巻上げレバーを動かそうとしても動かない。既に巻上げ状態にあると判断しBにしてシャッターボタンを押したけど切れない。
でも蚊の鳴くような音量で「チリ,チリリ」と音が聞こえる、まるで私はまだ活きていますと訴えんがばかりに...。「こ、これは!スローガバナーだ!」とばかりに思わずタンッ,タンッとカメラをひっぱ叩くとチリチリ,チリリと鳴く。これを繰り返していたら「パシャンッ」と音がしてシャッターが切れました。以降は全ての速度で切れるようになったのでレストア時はスローガバナーの清掃ですね。
次に毎度毎度定番の電池室です。
あれま!意外や意外とても綺麗です。でも電池を入れても露出計は動きません。
なので裏蓋を外してみるとこれまた綺麗。
こんな綺麗なAuto S 1.6 は初めてです。
でも赤(プラス)と青(マイナス)の線は腐食して断線状態でした。
まぁ、これなら比較的気楽に復元できそうです。
さて、お待たせしました本題です。
晩御飯の買い出しから帰ってきたら待っていた熱収縮チューブが届いていました。
たった数百円の品物ですが手を抜くわけにはいかないので一日待ちました。
このチューブを適当な長さに切ってcdsセルの二本の足(電線)に被せます。
こんな感じ。
そしてドライヤーでこのチューブに熱風を当てると熱でこのチューブが収縮します。
すると足にピタッとフィットして絶縁してくれます。
これを銘板に嵌め込んで足を適当な長さに切って銘板にあるベースプレートに
ハンダ付けします。
ハンダが飛び出していますが今はこの状態でO.K.です。
部品待ちの間に革を張り付け、底蓋と裏蓋を取付ました。
軍艦は最終露出チェックがO.K.になるまで取付しません。
露出計から来ている配線を銘板のベースプレートにハンダ付けします。
この2本の線はプラス・マイナスの極性がないので同じ色をしています。
適当にハンダ付けして繋いでかまいません。
よく見るとcdsセルの付け根が裸線の状態になっていたので液体ゴムを塗って絶縁させます。
それとcdsセルを銘板に固定するために接着剤を使います。強度はそんなに必要ないので取り外しができるようにボンドGクリアーを使います。
そして乾燥するまで待ちます。
銘板が組み付きました。
ASAダイアルを回すと露出計の針がピクッ,ピクッと針が動きます。
これで軍艦を載せることができます。
完成です。
と画像ではたったの一枚ですがこの間にフィルムカウンターの調整やシャッタの微調整,ファインダー内のゾーンフォーカスの指針の調整等で三回革を剝がして前板を外しています。
その結果判明した事として、
Eye2 はEEモード時にバテッリー(電池)が入っていないとシャッターが切れなくなる。
しかしEYE3はセルフタイマーを装着するためにシャッターロック機構を取り外してそこにセルフタイマーを装着してしまったためEEモード時でバテッリー(電池)が入っていない状態でもシャッターが切れてしまう。
最初は私の調整不良と思ってしまい前板を外して再確認したらシャッターロック機構そのものが存在しない事が判明しました。
そんなこんなで前の画像から4時間近く経過しています。
その甲斐あって手を付ける前のジャンク状態とは見違えるように美しくなりました。
外見だけではなく中身の機能も現役に復帰しcdsセルは現行品を使用して更新修繕されています。
こんな状態でしたからね。
さぁ、後は実写あるのみです!