先日修理を完了させて試写もしてみた PETRI Color 35です。

こちらもAE(自動露出)機能を持たないフルマニュアルのカメラとなります

 

非常に小型コンパクトに設計・製作されており、更にレンズが沈胴式になっています。それもMINOLTA Hi-Matic C のようなスプリングで飛び出す方式ではなくピント調節のヘリコイドを利用して沈胴させており『ムムム、やるなコイツ!』と思わず唸らせる造りをしています。なお沈胴時はシャッターが切れません。

前後に長距離移動をするレンズユニットは4本の柱で串刺しにされて支えられておりしかもその内の2本の柱はシャッタースピードと絞りの調節を司るために回転します。更に長距離前後するレンズユニットに合わせるため露出関係の配線を長くしなければならないのですがこれらもコンパクトにまとめられています。更々に露出計はフィルムを巻き上げないと電源がONになりません

外観の可愛らしさよりも、中身の構造の精巧さに惚れてしまう一台です。

 

 

ところが撮影した結果がグダグダでした。

 

 

 

コリャぁ酷い、あまりにも酷い写りです。

① ピンボケ?
フィルムのASAが200だったので絞り込む事ができず被写界深度が浅かった.

② 手ブレ?
シャッタースピードは1/125または1/60を使っていたので手ブレは無いと思うけど

中学生の頃は1/30でもブレなかった。お酒が原因?

③ 露出

暗い部分が真っ黒になっている。光センサー(cdsセル) に問題あり?

 

④ 白い霧のようなボケ?

唯一まともだったのが貴重なナンバーを纏ったカルマンギアなのだけど、よく見るとなんか白みがかった薄い霧のようなボケ?を感じる。

 

 

閑話休題

 

 

ということでここからはカメラの機構編となります。

撮影の失敗の一部は露出にあるかもしれないとの考察から露出計の光センサー(cdsセル)を新品のGL5228に交換してみることにしました。


以前 4台の YASHICA Half 14 を同時に修理した際に光センサー(cdsセル)の抵抗値が不安定な個体が一台ありまして、その苦し紛れにテストがてらこのGL5528に換装して試写したところとても良い結果を得られましたので今回もこれに換装します。

(YASHICA Half 14 についてはもう暫くしてから書きます)

 

ただオリジナルの光センサー(cdsセル)の形状がこのように

金属のケースに包まれているのでこれと似たような形状に加工します。

 

見た目は随分違っていますが、端子部直近の直径とセンサー表面の直径はほぼ同じです。当初は真鍮かアルミのパイプを使用するつもりでしたが、金属を使うと光センサー(cdsセル)の端子を短絡させる可能性があるため樹脂に変更しました。

そして取付けてみると

このように光センサー(cdsセル)固定プレートともピタリと嵌ってくれました。

まるで純正部品と見紛うばかりです。

 

光センサー(cdsセル)の取付が完了したらシャッタースピード調整ダイアルに連動するリングを取り付けるのですが、

この時点で私の組立ミスが発覚しました。

このリングの一部には歯の山が刻まれていてこの歯を赤丸の中にある歯車とを歯と歯の位置をキチンと合わせて嚙み合わさせなければならないのです。

が、車のエンジンのような組付の目印となるタイミングマークなどはなく、更にこのカメラの構造上クリアランス(ガタ)を大きく取っているために前回の組付け時に間違えて一山ずらして組み立てていました。

これが原因なのかどうか1/60秒で数十回に一回程度の割合でシャッターがスタックして動かなくなるという不具合が発生していました。

 

 

正しい1/125秒の位置は

 

ここですが

 

しかし前回の位置は

 

一段というか半段下になっています。

これだと1/60秒になってしまうと思います。

つまり前回は1/25 → 1/60, 1/60 → 1/30で撮影していた可能性が高くこれが手ブレの一因だったかもしれません。

 

 

更にこのカメラはレンズが沈胴している時はシャッターが切れないようにロックがかるのですが、このロックレバーの取付けネジが緩んでいるとロックの掛かりが緩くなります。

赤丸のレバー直立してシャッターをロックしてますが青丸のネジが緩むと画面の前後方向にガタが発生してしまい

本来ならば水色のレバーが赤丸のレバーの上に乗り上げる形でロックレバーを倒して無限遠の位置でロック解除となるのですがガタのせいで無限遠手前でもロック解除しなかったり、シャッター動きに悪影響を与えるようです。

 

これら双方の不具合が絡み合ってシャッタースピードに悪影響が出たのかもしれません。

今回歯車を正しい位置に組み直しロックレバーの取付けネジをきちんと締め付けたら

例のシャッターのスタックも起きなくなりました。

 

最後に霧のような白いボケ? なのですが、
これはなんと後玉に指で触ったような痕があり指油でレンズ表面が汚れていました。

これが原因だったと思います。あまりのケアレスミスに画像を撮るのを忘れてしまいました。

 

以上の不具合に全て対処し再組立後に動作チェックしたところ、現在は問題はなさそうです。

夜なので詳細の確認ができませんが露出計も心なしか敏感になったような気がします。

 

明日は車の継続車検取得のため外出します。

その後久しぶりに友人に逢いに行きます。

ですのでカメラに関する更新は明々後日以降になります。