夏休みのつづき
あの頃の ボク達はそれぞれ別の道を見据えていた
同じ家にいて生活を共にしている「カゾク」だった
それなりの一体感はあったのだが
ベクトルが交じり合わない油と水のように
ただ浮かんで消えてた
そんな三人の前に四人目が現れた
髭のおじちゃんは 後から解った事だけどパパの好い人だった
パパと呑んだくれてよくお家に泊まりに来るようになった
二日酔いの二人にママは「なんだか兄弟みたいね」って
髭のおじちゃんに笑っていった
パパのスエットを着る二人は暫く居間にて酔いをさまし
いつも出かけていった
ママはベランダのユリの花に水をやり小さく小さくなっていた
細い肩ごしに見る二人の佇まいにボクも違和感を感じていた
「今日はパパの手料理だな」
足が地面につき自分の目線に戻った
パパは二つの提灯を手に大きな湖を後にした
ゆっくりと湖底に沈んでゆく麦わら帽子
まるでボク達みたいだなって客観的に思った
望んでもいないことが現実に起こり
考えもしない間に時間が過ぎてゆく
ボク達はこうして歳を重ねてゆくのか
それぞれの瞬間的な幸せはあるけれど
それで良いんだろうか?
疑問はあるけど
こうしてまたパパに抱かれている時間も
ボクのかえってこない夏休み
お香の匂いと汗の匂いとユリの匂いとボク達の匂い