金曜日の夕方。
次第に景色はどこを見ても山になりました。
そんな大自然の中にMさんの家はありました。
実は、ここからの主役はMさんの妹、8歳の、はっちゅです。
ちょうどスクールバスで夕方4時半ごろ帰宅。
はっちゅにしてみたらびっくりした事でしょう。
家に着いたら知らないのっぽの人が立ってるんですから。
立ち尽くし、一言。
「だれ?」
まあ、普通はそういう反応でしょう。
泊まらせていただくんだけど歓迎して頂けるのだろうかと一抹の
不安がよぎりました。
二言目が、
「泊まるの?」
ますます不安に。
お姉さんのMさんが「そうだよ」と言うと、はっちゅは
「やったぁ!」
ここから急に心開いてくれて、私の持っていたリサガスのタオルや
帽子やリコーダー・アース・ブリッジの名札まであっという間に
とられちゃって、全部身に着けてるので何してるのか聞くと、
「原田さんになる」
だって。
「学校から帰ったら知らない人がいて、びっくりしたでしょ?」
と聞いたら、
「知らない人だけど、Mちゃんの友達なら友達だもん」
と、はっちゅ。
なんて心優しい小学生。
合鴨がカラスにやられてないか一緒に田んぼを見に行ったり、
ここからは全く経験したことのない時間が流れていきます。
夕食時になり、Mさんがはっちゅにお風呂の支度をするよう申しつけ
ました。はっちゅは私のリコーダーに目が釘付け状態になっていて、
腰が重そうでしたが、原田さんにいつもの様子を見せてあげて!で
急に調子が出てきたみたい。
ここで想像するのはお風呂掃除かもしれませんが、なんと、
はっちゅが手にしたのはぎらぎらとした刃が光る「なた」。
あなたが手にしているのはなたですね。
なんてつまらない冗談はさておき、なたで丸太を切って薪を作る
ところからお風呂の準備なのです。薪をくべて、火を付け、
ふーっ、ふーっ。なたを手に薪を作るはっちゅ、8歳です。
その一生懸命な姿に心がキューンとしました。
そのあと、にこっと笑っておんぶをせがまれたので、はっちゅを
おんぶしていると、可愛らしさと、さっきの一生懸命な姿、
いろんなことを思ってますます心がキュンとするのでした。
その日のお風呂の気持ち良かったこと。
はっちゅ、ありがとう。
夕食は豪華に豚の生姜焼きでした。
8人で囲む食卓は初めてで、サザエさんみたいだなあなどと一人で
思ってたのですが、やはり大家族ですから、食事はけっこう
スピーディーでした。生活って結構そんな感じです。
そのあと、お礼もこめて、リコーダー演奏したのですが、Mさん宅では
リコーダーがちょっとしたブームのようで、ここからは皆、
リコーダーをもってきての大合奏大会とあいなりました。
楽しかったです。
一日目にお世話になったFさんの妄想?通り、はっちゅはリコーダーを
吹きまくり。それどころか指使いの違うアルトリコーダーで、
もののけ姫やテルーの唄など吹きまくり。すごすぎます。
そしてその日は少し早め、22時半に床につきました。
しかし、その横には猫のさくらちゃん。離れたところで丸くなって
いたので安心していたら、なんと近づいてきて、私の布団に。
慌ててMさんが外に出してくれたので今度こそと安心していたら、
ん、冷たい。
土砂降りの雨の夢でも見たかなと思ったら、横にさくらちゃん。
外に出されたものの舞い戻ってきたようです。
外は雨。ずぶぬれのさくらちゃん。
猫に好かれるのは嫌いじゃないんだけどね…。
朝6時ごろからは私の布団からピクリとも動かず。
猫にまで歓迎されたらありがたい限りですが、あなたは
ぬれてるんだよぉ。
そして、ついに最終日の土曜日。
お別れの時が近づいてきます。
Mさん宅で床について目をつむり、水俣最後の夜かと思うと、それまで
2日間の事が頭を駆け巡り、すーっと涙が伝ったのでした。
最近、涙もろくなったなあ。
繰り返しになりますが、夜中に冷たく感じたのは、涙ではなく、
さくらちゃんですからね。
水俣日記、次が涙?のフィナーレです。