ボディブローに耐える腹筋

ボディブローに耐える腹筋

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リョウタはあれほど拳をほどくのだけは頑なに拒んでいたのに、一瞬で両の掌を開き、腹筋の抉られたあたりにあてがった。

田植えをするみたいな姿勢のまま、くの字の姿勢で一歩一歩ゆっくり後退し、ゆっくり少量ずつゲロった。ほとんど水分で、あと白い柔らかそうな固まりが混じったんで、バナナでも食ったんかな、と俺はぼんやり思った。

「ぐ、え、ぇ、ぇ、ぇ……」

と呻いたあとは、ひたすら無言で吐いていた。
それなのに畳にケツをつけないので、俺はすっかりリョウタを尊敬しかけていた。

(俺が逆の立場だったらムリ!コイツスゲーのかも……。)

ギブアップする様子もないし、タオルも入らない。リョウタ陣営はリョウタがゲロっても動揺する様子もなく、「リョウタ!!根性みせぇ!!笑」と言い、なぜか半笑いである。

リョウタは顔面蒼白で、全身痙攣を起こしながらゲロを吐ききると、「オッス!!」と超でかい声で言った。

俺はまた格闘家ハイが疼き、
「よっしゃ!」
と叫んだ。
俺の最高のボディブロー食らえや。

ようやくなんとかファイティングポーズをとったリョウタだが、もう服装を整える気力もないのか、完全に空手着をはだけさせ、ただ肩にかけているだけのような状況になっている。帯も結び目が完全に浮いていて、腹筋が波打つのに合わせて隙間が空いていた。

リョウタは足が一歩も動かないようであったが、必死で子供のような突きを出して俺の接近を拒んだ。突きながら、唇の端から胃液をこぼしている。毎秒ごとに大量嘔吐しそうな衝動を堪え、えんえんとえづいていた。

俺はまず、ひっかけるような上段蹴りをリョウタのガードめがけて放ち、リョウタを無理矢理前方によろけさせた。

そして俺はぐいっと膝を折って屈み、一瞬リョウタの視界から消えた。朦朧としているリョウタは、視線を泳がせて俺の姿を探した。俺はこんなに超近距離にいるのに。リョウタの腹筋が目の前に広がるような懐から、ふくらはぎの筋肉が破裂しそうなほどの爆発力を発揮してからだでを起こし、全力ジャンプするような勢いのアッパーを、超至近距離のリョウタの腹筋めがけてブチ込んだ。

ズッブッム……ッ!!!

リョウタの腹筋は完全に俺の拳を警戒していなかった。今までにないほどの、まるでぬいぐるみを殴ったぐらいの手応えで、俺の拳がリョウタの腹の肉にくるまれ、リョウタの腹の汗で拳がビショビショに湿っていくのがわかった。今までにない熱さを、拳に感じた。肉布団のなかに、かんぜんに俺の拳が密閉されたみたいだ。

(拳があちー!!)

俺がようやく拳を抜くと、リョウタはのたうち回りながら、吐くものを出しきったあとの透明な水分を何リットルも吐いた。

「……ッ!ッァッ……!ウッボェ……!!ウッ……ゲェッ!ェ、ェェェ……ェ……」

数分のたうち回ったあとでようやく「ギブアップ……す……」となんとか言った。





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